ファクトシート
世界経済の安定性の促進に向けたIMFの取り組み
2013年3月
国際通貨基金(IMF)は、 安定性を促し危機への脆弱性を軽減するとともに持続的成長と高い生活水準を促進する、経済・金融監督政策の実施について、加盟国に助言を行います。さらに、国際通貨制度や国際金融システムの健全性に影響する、世界経済の潮流や動向をレビューするとともに、各国の経済・金融監督政策の地域的或いは国際的影響に関する加盟国間の対話を促します。IMFは、分析の大半を公表しています。上記の「サーベイランス」と呼ばれる活動に加え、IMFは加盟国の制度的能力の強化に資する技術支援を行うとともに、国際収支上の問題に直面した際、加盟国による調整を促すための資金を準備します。
世界経済の安定性が何故重要なのか
経済の安定性の促進は、経済や金融の危機を回避するための方法の一つです。また、経済活動の著しい変化、高インフレ、為替相場や金融市場の過剰なボラティリティの回避という側面もあります。不安定性は、不確実性を高め、投資意欲の減退を引き起こし、経済成長を妨げ、さらに生活水準を損ないます。ダイナミックな市場経済は、ある程度の不安定性と漸次的な構造的変化を必然的に内包しています。生産性、効率性、雇用の拡大を通し、生活水準を向上させる経済の力を損なうことなく不安定性を最小化することが、政策当局の課題だといえます。
経済と金融の安定性は、一国のみならず多国間レベルの問題でもあります。世界の金融市場での先の様々な経験が示すように、各国の相互連関性が一段と高まっています。一見したところ孤立した状況にある部門の問題は、他の部門に問題を引き起こし、国境を越え伝播していきます。経済あるいは金融の安定性の問題に関して言えば、「孤島」である国は存在しないのです。
IMFの役割
IMFは、サーベイランス(政策監視)、技術支援、および融資という主な機能を通し、健全かつ適切な政策の実施において加盟国を支援しています。
サーベイランス: IMFに加盟した全ての国は、国際社会による経済および金融監督政策の精査を受けるという義務に同意しています。IMFは国際通貨制度の監視とともに、加盟188カ国の経済・金融監督政策をモニターする権限を有しています。このサーベイランスとして知られるプロセスは、世界レベル、国・地域レベルで行われます。IMFは、国内・国際収支の安定性の起こり得るリスクを浮き彫りにし、必要な政策調整について助言を行います。
加盟国との協議: IMFは、加盟国の経済を通常年に一度行われる全加盟国を対象とした定期協議を通しモニタリングしています。経済と金融の状況および政策についてIMFスタッフは、加盟国当局に加え、多くの場合ビジネス、労働組合、市民社会の代表とも意見交換を行います。協議では、財政、金融、金融監督、および為替レート政策の、加盟国の国内および国際収支、そして世界の安定性への影響を検証するとともに、リスクと脆弱性の評価を行います。IMFは、 加盟国との経験を活かし、マクロ金融や国際収支の安定性の促進に向けた政策について助言を行います。
このような協議の政策枠組みは「統合されたサーベイランス決定」で定められており、また、以下のような加盟国全体を対象としたイニシアティブの内容が、協議に反映されます。
- 加盟国の危機への脆弱性の体系的な評価* のための作業
- 金融セクター評価プログラム(FSAP)* 。世界銀行と連携して行われるFSAPでは、各国の金融部門の評価を行うとともに、リスクや脆弱性への政策対応の組み立てを支えます。
- 基準と規範のイニシアティブ* 。 世界銀行との連携の下、同イニシアティブは、国際的に認められた様々な基準とグッド・プラクティス(良い慣行)の規範の遵守状況を評価し、関連した政策の策定および実施を支援します。
マルチラテラル・サーベイランス(多国間政策監視): IMFは、世界および地域レベルの 情勢も密接にモニタリングします。
世界経済見通し* 、地域に関する報告書である 財政モニター* 、および 国際金融安定性報告書* といった、 IMFの定期報告書は、世界・地域レベルのマクロ経済や金融の状況を分析しています。IMFは、加盟国グループに関連した若しくはこれらの国々の共通の懸念事項について、多国間協議を促進するとともに、その過程において、安定性促進のための諸政策に関する理解の共有を進めるユニークな立場にあります。これに関連し、IMFは G20* と連携し、G20各国の政策枠組みと、世界経済の均衡ある持続的な成長との整合性の評価を行っています。
世界危機を踏まえ、IMFは先日、サーベイランスのマンデートのレビューを行いました。加盟国内での或いは国境を越える金融部門のサーベイランスを改善し、(波及効果報告書などにより)マクロ経済と金融の動向の相互連関性に対する理解の深化を図るとともに、これらに関する議論を一段と広げるべく、複数の改革を導入しました。これらの改革は、2011年の3年毎のサーベイランス・レビューの後に行われている改革とともに、2011年の独立評価機関(IEO)の報告書* で指摘された問題の解決に大きく貢献するものと期待されます。
データ*: 金融危機を踏まえ、IMFは加盟国や金融安定理事会をはじめとする他の組織と協力し、世界の安定性に重要なデータのギャップの解決に努めています。
技術支援: IMFは、健全な経済政策の策定および実施能力の強化において、加盟国を支援しています。財政、金融、為替レート政策、金融システムの規制と監督、統計システムや法的枠組みなど、その責務と権限の中の多岐に渡る課題について、助言や研修を行っています。
融資* :最善の経済政策をもってしても、不安定性や危機を完全に根絶・回避することは不可能です。加盟国が資金調達において困難に陥った場合、IMFは金融支援を行い、根底的なマクロ経済上の問題を是正し、国内および世界経済の混乱を抑制するとともに、 信認、安定性、成長の回復に資する政策プログラムを支えることができます。IMFの融資制度は、危機防止の支援も可能です。
* 英語
