ファクトシート
IMFの低所得国向け支援
2013年4月12日
低所得国の経済状況の変化、及びこれらの国々の脆弱性が世界経済危機の結果増大したことを受け、IMFは2009年に低所得国向け支援の改革を実行しました。なかでも、短期的かつ緊急な支援のニーズに一段と迅速に応えることができるよう、融資制度を刷新しました。2009年から2012年までの間に譲許的融資額は100億ドル近くに達しました。全ての譲許的融資は2014年末までゼロ金利としました。IMFは、より長期にわたっては毎年約20億ドルの譲許的融資を支援する戦略を採用し、その資金の一部は金売却利益の配分によって賄われることが予定されています。
成功の兆し
これまでに、多くの低所得国(LIC)がマクロ経済の安定に向け大きく前進してきました。しかし1990年代に入り、低所得国の大半が長引く経済問題に直面しました。この結果、多くの場合、債務救済や債務帳消しを伴う抜本的で長期的な政策変化が求められました。現在では、これらの国の多くは、より開放的となり世界経済にこれまで以上に融合されています。多くのLICは、国際的資本市場に加わるようになり、また海外投資を呼び寄せ、自国の民間金融部門を育てています。
融資制度の見直し
金融支援が一段と多様化が進む低所得国により柔軟で適したものになるよう、IMFは3つの譲許性の高い融資手段を有する貧困削減・成長トラストを設立しました。2013年4月、これらの融資制度は、IMF支援の適応性と柔軟性を高めるために改善されました。2010年1月に実施となった、これらの融資手段は次のものです。
拡大クレジット・ファシリティ (ECF)。
- 中期的な国際収支上の問題に、中長期にわたり継続的に取り組みます。
- プログラムの延長、構造改革のタイミング、正式な貧困削減戦略の文書で示される要件について、これまで以上に柔軟になっています。
スタンドバイ・クレジット・ファシリティ (SCF)。これは、中所得国向けスタンドバイ取極と同様のものとなっています。
- 国内外双方に起因するショックもしくは政策のズレなどによる、一時的な資金および調整ニーズを抱える低所得国に、柔軟な支援を提供します
- 慢性的な国際収支の問題はないものの、散発的に支援を必要とする可能性がある国を対象としています
- 予防的な目的での使用が可能であり、保険的機能を提供します
ラピッド・クレジット・ファシリティ (RCF)。
- 緊急の資金調達ニーズに直面している低所得国に対し、一括払いで迅速な金融支援を行います、そして紛争後や他の脆弱な状況にある国には段階的な支援引き出しを提供します
- 上記2つのファシリティの使用が不必要(必要性が限定的)若しくは不可能(制度的或いは能力的制約から)である場合、プログラム・ベースのコンディショナリティーを設けることなく、柔軟な支援を実施します
これら全てのファシリティは、融資への非常に高いアクセスを、これまでより一段と譲許的な条件で提供します。低所得国は、IMFの譲許的融資制度の下での全ての利払いについて、2014年末まで特別免除を受けます。
政策支援およびドナー各国にシグナルを送信するためには、各国は既存の政策支援インストルメント(PSI)*の下で、非金融支援を要請することができます。PSIは
- マクロ経済の安定を確保しておりIMFの金融支援を必要としない低所得国を支援します
- 今後資金ニーズが生じた場合、新規に設立されたSCFへのアクセスを促進します
より多くの資金
世界金融危機の間、低所得国の資金調達ニーズが増加しました。これに応えIMFの譲許的融資は、2008年の12億米ドルから、2009年には38億米ドル、2010年から2012年の間は年平均20億米ドルでした。
以上に加え、2,500米億ドル相当の特別引出権(SDRs)の配分のうち、180億米ドル以上が低所得国に配分されました。低所得国は、SDRsを自国の外貨準備高の追加資産とみなすか、あるいは国際収支上の必要性からSDRs を売却し、外貨を獲得するといった活用が可能です。
また、IMFは2010年、災害後債務救済基金(Post-Catastrophe Debt Relief Trust: PCDR)を設立しました。これによりIMFは、最も壊滅的な自然災害に見舞われた最貧国に対する、債務救済の国際的な取り組みに加わることになり、2010年7月、地震により甚大な被害を受けたハイチのIMFからの借入残高の全てを削減しました。
2012年9月、理事会はより長期にわたりPRGTを維持可能にするための戦略の一環として、金売却利益によるIMFの一般準備の一部を配分することを承認しました。この戦略は幅広い需要シナリオ、つまり、短期、中期、長期的のいずれのものにも耐えうると予想されており、3つの柱からなっています。第1に年間12.5億SDRのベースとなる融資上限を持ち、第2に、長期にわたり平均の融資ニーズがベース上限を実質的に上回り続けた場合発動できる国別の資金調達努力やPRGTの運営経費の一般資金勘定(GRA)への返済の中断を含む不慮の事態に備えた対策、そして第3として低所得国向けファシリティの全ての修正は、その持続性に整合的となるようデザインされるという期待です。
* 英語
