IMF に つ い て




IMF借入取極:
一般借入取極(GAB)と新規借入取極(NAB)
(ファクトシート)

2003年3月

IMF加盟国によるIMFクォータの出資金がIMFの主な財源です。しかし、加盟国は、国際通貨システムの毀損防止やそのような事態への対処、又は国際通貨システムの安定を脅かす例外的な状況に対処するために、IMFに追加資金が必要となった場合に、資金を提供できるように準備することで合意しています。1962年発効の「一般借入取極(GAB)」は、こうした追加的な資金提供に関する最初の合意で、さらに1998年には「新規借入取極(NAB)」が発効しました。

一般借入取極(GAB)

GABは、一定の状況下で、IMFが11の先進諸国(またはその各国の中央銀行)から特定額の通貨を市場に連動した利率で借り入れることを可能にする制度です。IMFがGABに基づいて借り入れることのできる限度額は現在合計170億SDR(約230億ドル)ですが、この他にも、サウジアラビアとのGABに準ずる取決めにより、さらに15億SDRの借入れが可能です。

GABの更新は過去9回なされており、最新の見直しはIMF理事会によって2002年11月に行われ、2003年12月から向こう5年間の有効期限つきで承認されました。1982年半ばに起きたラテン・アメリカ諸国の債務危機によってIMFの資金が逼迫したことを受け、1983年には広範な見直しが行われました。その結果、GABに基づいた貸付限度額は約60億SDRから170億SDRへと大幅に拡大されるとともに、これに関連したサウジアラビアとの取極めにより15億SDRが付け加えられました。GAB条項の大幅な修正により、IMFは、自前の財源が不足するという事態に直面した場合は、GAB非参加国向け融資の財源調達にもGABを利用できるようになりました。GABの金利は、見直し以前は市場金利以下でしたが、見直し後の拡大にともない、SDR金利と同率に引き上げられました。

GAB参加国と信用限度額(1983年12月26日以降)

参加国

金額(100万SDR)

米国

4,250.0

ドイツ連邦銀行

2,380.0

日本

2,125.0

フランス

1,700.0

英国

1,700.0

イタリア

1,105.0

スイス連邦銀行

1,020.0

カナダ

892.5

オランダ

850.0

ベルギー

595.0

スウェーデン中央銀行

382.5

合計

17,000.0

サウジアラビアとのGABに準じた信用取極

1,500.0

新規借入取極 (NAB)

1994年のメキシコ金融危機を受け、将来の金融危機に対応するためにはより多くの資金が必要になるとの懸念が生じました。これを受けて1995年のG7 ハリファックス・サミット参加国はG10とその他経済力のある国々に対しIMFが一般借入取極(GAB)から借りられる額を倍増させるような借入取極を締結するよう呼びかけました。IMF理事会は新規借入取極(NAB)創設の決議を採択し、1998年11月にNABが発効しました。IMFと26の加盟国や機関との複数の信用取極からなるNABは、IMFが国際通貨システムの毀損防止やそのような事態への対処、国際通貨システムの安定を脅かす例外的な状況への対処に必要な追加資金を提供するためのものです。

個々の参加国の信用供与額はIMF出資割当額(クォータ)を主な基準とした相対的な経済力に基づいて決められています。NABの有効期間の更新時において、現在NABに参加していないIMF加盟国・機関の参加を受け入れる場合もあります。ただしこれには、IMF信用供与総額の80%に相当する参加国の同意が必要です。これ以外にも、信用供与総額の85%に相当する参加国の同意を得てIMF理事会がNABの修正を採択した場合には、随時、新しい参加国を受け入れることができます。

NABの見直しは2002年11月に行われ、2003年11月から向こう5年間の有効期限つきで承認されました。また、2003年2月付けで、チリの公的機関として信用供与額3億4千万SDRのチリ中央銀行 (Banco Central de Chile) が新たな参加国として受け入れられました。2

GABとNABの関係

NABは一般借入取極(GAB)に代わるものではなく、今後ともGABは有効です。しかし、IMFの資金不足を補う必要が生じた場合、通常はNABが主要な財源として最初に発動されます。IMFがNABとGABの両方から借り入れることのできる最大額は340億SDR(約450億ドル)で、これはGAB単独の借入限度額の2倍です。

発動の時期

IMF専務理事によるGABまたはNAB発動提案は、GABまたはNAB参加国の合意を得て、理事会に承認された場合にのみ発効します。NABは1998年12月に一度、ブラジルへのスタンドバイ取極資金を提供するために発動されたことがあります。この際、IMFは91億SDRの資金を要請しましたが、実際に使われたのは29億SDRでした。GABは10回発動されています。最新のものは1998年7月で、ロシアへの拡大融資取極の資金調達に関連した63億SDRでした。このうち14億SDRが実際に使われました。1999年3月、第11次クォータ一般見直しの発効と、それに伴う増資の払込みを受けて、IMFが借入残高を返済したのに伴い、ロシア・ブラジル両国への発動は解除されました。

NAB参加国と信用供与額

参加国

金額(百万SDR)

オーストラリア

801

オーストリア

408

チリ中央銀行

340

ベルギー

957

カナダ

1,381

デンマーク

367

ドイツ連邦銀行

3,519

フィンランド

340

フランス

2,549

香港金融管理局

340

イタリア

1,753

日本

3,519

韓国

340

クウェート

341

ルクセンブルグ

340

マレーシア

340

オランダ

1,302

ノルウェー

379

サウジアラビア

1,761

シンガポール

340

スペイン

665

スウェーデン中央銀行

850

スイス連邦銀行

1,540

タイ

340

英国

2,549

米国

6,640

合計1

34,000

1/ 四捨五入により合計金額が合わない場合があります。

2/ 信用供与総額の340億SDRには変化はありませんでした。チリの貢献額は最低3億4千万SDR以上の信用供与額を提供する既存加盟国の供与比率に基づく供与額減少によって相殺されました。