ファクトシート - 2009年6月

IMFと世界銀行


国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、国連システムの中の姉妹機関です。両者は加盟国の生活水準の向上という共通の目標を掲げています。その目標達成へ向けた両者のアプローチは相互補完的で、IMFがマクロ経済の課題に注力する一方、世界銀行は長期的な経済開発と貧困削減に主眼を置いています。


「ブレトン・ウッズ体制」の目的とは何でしょうか?

IMF世界銀行は1944年7月米国ニューハンプシャー州ブレトンウッズで開催された国際会議で設立が決定されました。この会議の目的は、より豊かで安定した世界経済を実現するために、経済協力・開発の枠組みを構築することでした。両組織にとって、この目的は現在でも重要な柱となっていますが、その活動内容は経済を取り巻く新たな状況と課題に対応しつつ進化を続けています。

IMFの役割:IMFは国際通貨協力を促進するとともに、加盟国が力強い経済を構築し維持できるよう、政策助言技術支援を行っています。またIMFは、国際収支上の純債務額に見合うだけの十分な資金が支払い可能な条件で調達できないといった国際収支上の問題に直面している国々に対して融資を行うと共に、その解決に向けた政策プログラムの立ち上げについても支援を行っています。IMFの融資は比較的短期間のものが多く、その主たる財源は加盟国が拠出するクォータ(出資割当額)です。IMFのスタッフは主にマクロ経済や金融政策の分野で幅広い経験を有するエコノミストです。

世界銀行の役割:世界銀行は、特定のセクターの改革ならびに特定のプロジェクト(学校や医療センターの建設、水や電力の供給、疾病対策、環境保護など)の実施に際し、技術・経済的支援を行うことにより、加盟国の長期的な経済発展と貧困削減を支援しています。世界銀行の支援は基本的に長期的なもので、主な財源は加盟国からの出資金及び債権の発行により賄われます。世界銀行のスタッフは、特定の課題やセクターならびに技術のスペシャリストにより構成されます。

協力体制

IMFと世界銀行は、加盟国へ支援を行う際、様々な段階で日常的に協働し、合同イニシアティブも複数実施しています。両機関の協力に関する条項は1989年の「協約(Concordat)」に明記されており、それぞれの活動分野が重なる領域における効率的な協力関係を確保するとしています。

ハイレベルでの連携:IMFと世界銀行の総務会年次総会は、両機関にとって更なる連携を行う機会となっています。出席した総務は、国際経済や国際金融の現状の課題について、自国の見解を提示し討議を行います。総務会は国際経済の課題にどう取り組むべきかを決定し、優先順位を設定します。

また、IMFと世界銀行の総務は、春季会合並びに年次総会の開催時期にあわせて、合同開発委員会を年二回開催します。同委員会は、重要な開発課題や低所得国の経済発展の促進に必要な資金源に関して、両機関へ助言を行うために1974年に設立されました。

マネージメント協議:IMF専務理事と世界銀行総裁は、定期的な会合を通じて、主要課題に関する協議を行っています。両者は共同声明を発表したり、世界の報道機関を通じて連名で寄稿をすることもあります。また、いくつかの国や地域への共同訪問も行いました。

スタッフの連携:IMFと世界銀行のスタッフは日常的に各国に対する支援についての情報を交換しています。両機関はまた、代表団の派遣を平行して行い、それぞれのスタッフが互いの代表団に参加することもしばしばです。また、IMFによる加盟国経済・政策の概要に関する評価(アセスメント)は、世界銀行により今後の実施が検討されている開発プロジェクトや改革の診断の際に活用されます。同様に、世界銀行による構造およびセクター改革への提言は、IMFの政策助言に反映されています。両機関のスタッフは、それぞれの融資プログラムに関連したコンディショナリティについても、相互に協力しています。

また、2007年に外部機関により実施された世界銀行とIMFの協力体制に関するレビューを踏まえて、両者の更なる連携の強化を目指す共同マネジメント行動計画(JMAP)が策定されました。IMFと世界銀行は、マクロレベルで重要となるセクターごとの諸問題や両機関による活動の分担、今後の情報交換などについて話し合うために、国レベルでの作業プログラムの議論を行っています。また、国ごとの経済状況や技術支援に関する情報共有更に進めています。

改革支援:IMFのアフリカ局と世界銀行のアフリカ地域局は加盟国と協働し、経済成長に不可欠となる国家財政の管理、金融セクター及び自然資源管理の分野における改革について、支援体制の調整の向上に取り組んでいます。この取り組みは現在、各国毎に実施されています。

債務負担の軽減:IMFと世界銀行は、重債務貧困国(HIPC)イニシアティブマルチ債務救済イニシアティブ(MDRI)を通じて、最も深刻な重債務を抱える貧困国の対外債務負担の軽減に向けて協力しており、低所得国が新たな債務を背負うことなく開発目標を達成できるよう支援しています。また、IMFと世界銀行のスタッフは債務持続性の枠組み(DSF)を策定し、この枠組みに基づき、加盟国の債務持続性に関する分析を共同で行っています。

貧困削減:1999年、IMFと世界銀行は貧困削減戦略ペーパー(PRSP)アプローチを導入しました。このアプローチは、対象国の主体性に基づく計画であり、低所得国における貧困削減に不可欠となる国レベルでの政策、ドナーによる支援、及び開発の効果を相互リンクさせることを目指しています。PRSPsは、HIPCイニシアティブならびに、世界銀行やIMFによる譲許的融資の土台となります。

MDGsの進捗評価:2004年以来、IMFと世界銀行は共同でグローバル・モニタリング・レポート(GMR)を作成しています。この年次報告書は国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けて必要な政策や活動の進捗状況を評価するものです。報告書はまた、途上国、先進国、及び国際金融機関のそれぞれが、MDGsの達成に向けてどれだけ開発戦略や協力体制に貢献しているかも評価します。

金融安定性の評価:またIMFと世界銀行は、加盟国における金融セクターの強化と規制の改善に向けて協力しています。1999年に導入された金融セクター評価プログラム(FASP)は、各国の金融システムの強みや脆弱性を明確化し、適切な政策が行われるよう助言を与えています。

詳細情報は、IMFのウェブサイト http://www.imf.org/ 及び世界銀行ウェブサイト www.worldbank.orgでご覧いただけます。




IMF アジア太平洋地域事務所

Phone: 03-3597-6700
Fax: 03-3597-6705