IMF に つ い て




通貨・金融政策の透明性
(ファクトシート)

2003年4月

「いま私が言ったことを理解したというのなら、あなたは私が言ったことを正しく聞いていないに違いない」--アラン・グリーンスパン氏のこの有名な皮肉がいみじくも物語っているように、中央銀行当局者の発言は不可解であることで有名でした。最近では、金融機関や金融市場の監督・規制に当たる中央銀行や金融当局等も、政策の目的や決定などを国民に説明する際、分かりやすさを重視するようになってきました。

通貨財政政策に対する透明性向上の方法

IMFは、中央銀行や金融当局の政策を「透明」にする、すなわち、一般市民に明確にしてタイムリーに提供されるようにするために、「良い慣行に関するコード」を策定しました。このコードは国際決済銀行との協力、中央銀行、金融当局、その他の関係を持つ国際ならびに地域組織などの代表、選ばれた学識経験者等との協議を経て策定されたものです。

IMFの「通貨・金融政策の透明性に関する良い慣行のためのコード」は、2つの原則に基づいています。第1は、一般市民が政策の目標と実施方法を理解し、かつ当局が目標の達成に真摯に取り組めば、通貨・金融政策の有効性を高められるということです。第2は、良いガバナンスは中央銀行および金融当局に対し、特に中央銀行及び金融当局に高度な裁量権が与えられている場合には、説明責任(アカウンタビリティ)を課すということが原則です。 通貨・金融政策の形成と報告の透明性に関する良い慣行は、健全な政策の採用に役立ちますが、「コード」は国々が採用すべき通貨又は金融について、特定の政策またはフレームワークの妥当性や、望ましさの判断を示すために策定されたものではありません。このコードは1999年9月の暫定委員会(国際通貨金融委員会(IMFC)の前身)によって採択されました。

中央銀行の透明性に関する良い慣行とは

「透明性に関するコード」は大別すると、1)役割、責任、目的の明確化2)政策の策定ならびに報告に関するプロセス、3)政策に関する情報公開、4)アカウンタビリティと信頼性の確保、という4つの部分から構成されています。

コードの最初の部分では、中央銀行の役割・責任・目的を明確化するための方法が示されています。中央銀行の目的は明確に定義され、開示され、成文化されるべきです。外国為替政策に対する中央銀行の責任も開示される必要があります。中央銀行の目的は本来、国民全体で決めることですが、その目的達成のための最適手段を選択する権限は法律によって中央銀行に与えられるべきです。中央銀行当局者が自らの行動に対してどう説明責任を果たすかは法律に明記されるべきですが、同時に、中央銀行当局者は恣意的に免職されたり決定を覆されることがないよう、法律によって保護されなくてはなりません。また、金融と財政を所管する組織間の関係や中央銀行による政府の代行業務に関しても明確な規定が必要です。

第2部では、中央銀行の決定事項を広く社会に伝えられることが規定されています。中央銀行は、目的達成のための枠組みや手段を説明し、特定の目標を想定している場合は、それについても説明する義務があります。また、中央銀行はその意思決定の仕組みを開示するとともに、その決定を速やかに公表する必要があります。

第3部では、金融政策に関する情報は誰もが入手できなくてはならず、中央銀行のデータ開示はデータ公表に関するIMFの基準に準拠して行われることの必要性について言及しています。また、ここでは、中央銀行は公共の情報サービス機関を設けるべきことについても触れられています。

第4部では、コードは中央銀行当局者に自らの行動に対する説明責任を追わせる慣行について言及しています。中央銀行当局者は定期的に、あらかじめ定められた公的機関に対する金融政策の実施状況や成果の説明や、経済状況と金融システムに関する意見交換が義務づけられています。また中央銀行は、監査を受けた財務諸表の開示や、中央銀行業務に伴う収入や経費に関する情報の提供、利害の対立を防ぐための行動規範づくりなどを通じて自らの業務や銀行当局者の信頼性を確保することが求められています。同時に、中央銀行の職員が業務上の活動について起訴された場合、その活動のどこまでを法的保護の対象に入れるかについても開示される必要があります。

金融当局の透明性に関する良い慣行

コードの金融当局に関する部分は、機能の違いを反映して詳細は多少異なるものの、基本的な構成は中央銀行に関する4つの部分に準じています。

第1部は金融当局の目的と制度上の枠組みを可能なかぎり該当する法律、もしくは規則によって明確に定義づけ、支払システムに関する監督官庁の役割を開示すること。

第2部は金融政策に関する情報は、政策の機密性と施行効果を妨げない範囲内で、広く開示すること。

第3部は金融当局が金融システムの主な進展に関する報告書を定期的に発行し、統計データをタイムリーかつ継続的に公表すること、規則や省令を文書化して開示したり、預金保険などの特別保護措置や消費者保護に関する取決めを開示すること。

第4部は、金融当局者の説明責任ですが、これは中央銀行当局者に関するものとほぼ同じ内容です。

コードの実施

IMFは、コードの実施要領である付属文書も発行しました。この文書には、透明性に関する事例の詳細な説明、透明性の観点から見た事例の理論的根拠、中央銀行や金融当局が透明性を重視した慣行を採用する場合の具体的方法(同じ目的を達成するための別の方法も含む)が盛り込まれているほか、コードを実施する際の特別な配慮に関する説明もあります。「コード」、「付属文書」ともにIMFの外部向けウェブサイトでご覧いただけます。

http://www.IMF.org/external/np/mae/mft/index.htm