ファクトシート 2009年7月

貧困削減・成長ファシリティ(PRGF)


過去10年間、IMFは貧困削減と経済成長を低所得国への融資の要としてきました。この支援をより柔軟にし、各国のニーズに合わせるために、IMFは近く、PRGFに代わって拡大信用ファシリティ(ECF)を導入します。この新たな融資策は、各国がとっている貧困削減の政策目標に沿ったものになります。ただし、数多くのPRGFプログラムは現在も進行中であり、ここに掲載されている情報は有効です。


貧困削減と成長への支援

IMFは、最貧の加盟国に向けた融資業務において貧困の削減と成長という目的をより重視するため1999年9月に貧困削減・成長ファシリティ(PRGF)を創設しました。2002年のIMFスタッフおよび2004年のIMFの独立評価機関(IEO)が行ったPRGFの再検討*により、PRGFの融資に基づいて行われるプログラムの内容がより大きい公的支出、特に貧困層向けの支出がなされるよう変化してきたことが確認されました。こうした経緯と、2007年のIEOによるIMFとサハラ以南のアフリカへの支援に関するレポートを踏まえ、IMFはマクロ経済と債務の持続可能性を維持しつつ外部の支援を最大限に活用することを促す原則を2007年に採択しました。2005年9月に理事会が行ったPRGFプログラムの再検討*では、近年低所得国のマクロ経済のパフォーマンスは著しく改善しているが、一人当たりの所得は依然として低いことが分りました。再検討では、持続的な成長と安定には広範な経済制度が重要であることと、増加する支援の流入の慎重な管理が必要である点について特に言及されました。

PRGFに基づくプログラムは、加盟国が自ら策定する包括的な貧困削減戦略ペーパー(PRSP)に沿って作成されます。PRSPは、加盟国政府が市民社会と開発協力者の積極的な参加を得ながら策定します。その後、PRSPはIMFと世界銀行の理事会により、両機関が個別に行う譲許的融資および共同で行っている重債務貧困国(HIPC)イニシアチブに基づく債務救済の基準として審議されます。PRGFに基づくプログラムの目標と政策条件は、当該国のPRSPから導き出されます。

プログラムによるガバナンス強化と経済成長の促進

まず、PRGFの中核にあるのは、広範な一般市民の参加と当事国のより強い自主性の原則です。この点、PRGFに基づくプログラムの基礎となる政策の議論は、当事国が自ら策定したPRSPを基に行われることからよりオープンなものとなっています。当事国の自主性が増すことによってPRGFのコンディショナリティはより厳格になり、IMFの中心的な専門領域に焦点が当てられ、プログラムのマクロ経済的な目標に直接的で決定的な影響をもたらす手段に限られるようになりました。

次に、PRGFに基づくプログラムは、各国の貧困削減と成長の優先課題をより的確に反映します。また、マクロ経済の安定が維持されている間は各国の状況や貧困層向けの優先課題の変化にも柔軟に対応します。PRSP策定のプロセスにおいて貧困削減と成長のための主要な政策手段と構造改革が特定され、優先順位がつけられ、それらが実現可能な場合は財政負担も推計されます。PRGFに基づくプログラムにおける当事国の財政は、この分析を反映しています。当初の予定を上回る援助受入れに対応し、貧困層向け支出の拡大するために財政目標を調整したり、近頃の食料・燃料危機等の突然のショックに対応するためにアクセスを拡大したことは、PRGFに基づくプログラムの順応性をよく示しています。

三つ目は、PRGFに基づくプログラムは、明確な目的と優先順位に基づいた予算を策定する当事国の取組みを支援するため、ガバナンスの強化に力を注いでいます。特に、公的資源の管理や透明性と説明責任を向上させるための手段が重要です。PRGFプログラムは、主要なマクロ経済政策が貧困と社会に与える影響についても特に注視しています。

専門分野に特化

PRGFに基づくプログラムは、IMFが主要な責務を有する分野のみを対象としますが、ある特定の施策がマクロ経済に対して直接的で重大な影響があると判断された場合はこの限りではありません。IMFの対象とする領域の主なものには、慎重なマクロ経済や金融システム政策と、為替レート・税制等関連分野での構造改革、財政運営、予算執行、財政の透明性および租税・関税の管理などに対する助言があります。

IMFは、PRGFに基づくプログラムを作成するにあたって、必要に応じて世界銀行の有する専門的知見を借り、IMFと世界銀行のスタッフはコンディショナリティについて緊密に協力します。世界銀行のスタッフは、貧困の評価やモニタリング、構造的・セクター別の課題、社会政策および貧困削減のための優先的支出の計算など貧困削減戦略の策定に関する当局への助言において主導的な役割を担います。

低金利融資

PRGFに基づく譲許的融資は、PRGF・外生ショック・ファシリティ(ESF)とPRGF・HIPCトラストを通じてIMFが行います。PRGF・ESFトラストは、各国の中央銀行、政府および公的機関から通常市場金利で資金を借り、それをPRGFの利用条件を満たした国にパススルー方式で貸し出します。PRGF・ESFトラストへの貸出し先に支払う市場金利と、PRGFから借入れを行う加盟国が支払う年利0.5パーセントの差額は、二国間ドナーからの拠出とIMF自身の資金により賄います。

PRGFの条件

  • 2008年8月時点で、78の低所得国がPRGFに基づく支援を受けることができます。
     
  • PRGFの利用について、その条件を満たしているかの判断は、世界銀行の譲許的融資の基準(現在は2007年の一人当たりの国民総所得が1,095米ドル未満)を参考に、基本的にはIMFによる国民一人当たりの所得水準についての評価に基づきます。
     
  • PRGFに基づく融資は年利0.5%で、期間は10年です。返済は、5年半の措置期間の後、半年毎に行われます。
     
  • PRGFの利用条件を満たした国は、通常期間3年の取極めでIMFクォータ(出資割当額)の280%を限度に借り入れることができますが、例外的な状況下ではこの上限は370%にまで増やすことができます。いずれの場合も、融資額は当該国の国際収支上の必要性、調整プログラムの内容と、過去および現在のIMF融資の利用状況によります。最初の3年間の融資の取極めで予想される借入れ額はクォータの140%で、2回目以降6回までは順に125%、110%、90%、70%、50%となっています。国際収支上の必要性が小さい、或いは緊急性がないが政策実行にあたってIMFのガイダンスと関与を希望する場合、クォータの10%が標準となっている低額の借入れの取極めが利用可能です。PRGFの利用条件を満たした国で国民一人当たりの所得が世界銀行の譲許的融資の基準の75%を超えている加盟国、あるいは民間における条件で借入れを行っている加盟国は、PRGFをIMFの拡大信用供与措置(EEF)の非譲許的融資と組み合わせて利用することができます。

IMFの貧困削減・成長ファシリティ(PRGF)の利用条件を満たした国
2008年8月時点
1 アフガニスタン 40 リベリア
2 アルバニア 41 マダガスカル
3 アンゴラ 42 マラウイ
4 アルメニア 43 モルジブ 1
5 アゼルバイジャン 44 マリ
6 バングラデッシュ 45 モーリタニア
7 ベナン 46 モルドバ
8 ブータン 47 モンゴル
9 ボリビア 48 モザンビーク
10 ブルキナファソ 49 ミャンマー
11 ブルンジ 50 ネパール
12 カンボジア 51 ニカラグア
13 カメルーン 52 ニジェール
14 カボヴェルデ1 53 ナイジェリア/td>
15 中央アフリカ共和国 54 パキスタン
16 チャド 55 パプアニューギニア
17 コモロ 56 ルワンダ
18 コンゴ民主共和国 57 サモア1
19 コンゴ共和国 58 サントメ・プリンシペ
20 コートジボアール 59 セネガル
21 ジブチ 60 シエラレオネ
22 ドミニカ 1 61 ソロモン諸国
23 エリトリア 62 ソマリア
24 エチオピア 63 スリランカ
25 ガンビア 64 セントルシア 1
26 グルジア 65 セントビンセントおよびグレナディーン諸島 1
27 ガーナ 66 スーダン
28 グレナダ 1 67 タジキスタン
29 ギニア 68 タンザニア
30 ギニアビサウ 69 東チモール
31 ガイアナ 70 トーゴ
32 ハイチ 71 トンガ 1
33 ホンジュラス 72 ウガンダ
34 インド 73 ウズベキスタン
35 ケニア 74 バヌアツ 1
36 キリバス 1 75 ベトナム
37 キルギス共和国 76 イエメン
38 ラオス 77 ザンビア
39 レソト 78 ジンバブエ 2
1 世界銀行の2007会計年度中、一部の小規模島嶼経済については国際開発協会(IDA)の融資基準である国民一人当たりの国民総所得(2007年の一人当たり国民総所得が1,095米ドル未満)の例外が認められました。これらの国は、一人当たりの所得水準に関わらず、引き続きPRGFとIDAの支援の利用条件を満たした国です。
2 PRGFトラストへの債務返済が延滞しているため、2001年9月24日よりPRGFの利用について非適格となっています。

*リンク先の資料は現在のところ英文のみ閲覧可能




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