IMF に つ い て


IMFによるサーベイランス(政策監視)(ファクトシート)

2004年9月

IMFの核となる責務は、加盟国の経済・金融政策の国内および国際的影響について、加盟国間の対話を促すことです。この監視と協議のプロセスは、通常「政策監視 (サーベイランス)」と呼ばれており、世界経済の変化につれて急速に進展してきました。IMFの政策監視は、近年ますます開放的となり透明性を高めています。

IMFによる政策監視の重要性

一国の経済・金融政策が他の多くの国々に影響を及す可能性のある今日のグローバル化した経済では、世界規模で経済の発展を監視するための国際協力が不可欠です。世界のほとんどの国にあたる184ヵ国が加盟するIMFは、この国際協力のためのメカニズムを提供します。

効果的な政策監視の重要性が、先般の金融危機によって浮き彫りにされました。これに応えて、IMFは脆弱性とリスクを初期段階で検知する能力の強化、加盟国の政策枠組みと制度の強化支援、透明度を高め、説明責任を向上させるといった多くのイニシアチブに着手しました。

IMF政策監視の進展と今日における役割

IMFは国際通貨制度の効率的運営を確実なものとするため、IMF協定第4条により加盟国為替政策の監視責務を負っています。1977年の理事会決議では、IMFが為替相場政策の評価をするためには、各加盟国の一般経済情勢や政策戦略を総合的に分析する必要があると認めました。また、政策監視の最終目的が加盟国の金融安定と持続可能な経済成長の達成に向けた支援にあることが強調されています。

政策監視の目的は今日でも1977年当時と変わりありません。しかしながら、政策監視の枠組みは、国際資本移動の劇的な拡大等、ますます開放される世界経済の恩典を促進し、その課題に応えるため、著しい進化を遂げています。政策監視は今日では広範囲の経済政策に及びますが、それぞれの国の状況に応じて重視される項目は異なります。

為替相場、通貨、および財政政策は、依然としてIMFによる政策監視の中心です。IMFは、為替相場制度の選択から、為替相場制度と財政、通貨政策の立場との整合性確立に至るまでの広範な問題について助言をします。

構造政策 国の国際貿易、労働市場、電力といった各部門を律する構造政策は、1980年代にIMFの政策監視にとってより重要なものとなりましたが、それは石油価格ショックをきっかけとして、多くの先進国の経済成長が減速したことによります。発展途上国の債務危機やソビエト連邦の崩壊が、多くの国における構造改革の必要性を際立たせました。今日では構造問題はそれがマクロ経済活動に重大な影響を及す場合には、常に加盟国とIMFの政策協議に組み込まれます。

金融部門の問題は、1990年代に先進国と発展途上国の双方で起きた一連の銀行危機の後、IMFの政策監視がますます注力するところとなりました。1999年、IMFと世界銀行は各国金融部門の長所と弱点を評価するため、共同金融部門評価プログラム(FSAP)を策定しました。参加各国ではFSAPの調査結果がIMF政策監視の重要な情報となっています。

制度問題 中央銀行の独立性、金融部門の規制、企業統治、政策の透明性と説明責任といった問題もまた、金融危機をきっかけに一部加盟国の計画経済から市場経済への移行に関連して、ますますIMFの政策監視に重要となっています。近年、IMFと世界銀行は、近代経済が効率的に機能するための極めて重要な分野において、国際的に認められた基準および規範を策定、実施、評価する上での中心的な役割を果たしています。

• 大規模で時として極めて不安定な資本移動に起因するリスクと脆弱性の評価は、近年、IMFの監視政策においてその重要度を増しています。危機回避はIMFの政策監視にとって常に重要でしたが、その一方で、世界の資本市場の成長と発展により、経常収支の状況や対外債務の持続可能性に焦点を合わせる伝統的な政策監視の範囲を超えて、更なる拡大が求められるようになりました。

加盟国別政策監視作業の現況

「第4条協議」として知られるIMFの政策監視協議は、通常年1回行われます。IMFのエコノミストが加盟国を訪れ情報収集を行い、政府や中央銀行の担当者と協議しますが、時には民間の投資家や労組の代表、国会議員、民間社会団体とも協議します。帰国後、使節団はIMFの理事会との協議に備え報告書を提出します。その後、理事会の見解がまとめられ各国の関係当局宛に送付されます。

近年になって、政策監視はますますその透明性を増しています。1997年以前は、加盟国の政策に対するIMFの評価は機密文書として扱われていましたが、現在では10ヵ国中9ヵ国がスタッフや理事会の見解を要約したパブリック・インフォメーション・ノーティス(PIN)の公表に同意し、5ヵ国中4ヵ国がスタッフ・レポート(2004年度資料)の公表に同意しています。

多国間および地域における政策監視

IMFは世界経済の動向や進展を継続的に検討していますが、これは多国間の政策監視として知られています。また、ユーロ圏や西アフリカ経済通貨同盟のような地域単位の取極めに基づく経済開発や政策についても定例的に審査しています。IMFによる加盟国の政策監視は、多国間および地域の政策監視手続きに貴重な情報を提供しますが、またこの逆の場合もあります。

IMFスタッフの多くの意見が、年2回刊行されるIMFの世界経済見通し(WEO)上で公表され、世界経済の展望を論じるとともに、特別の課題や難題の綿密な分析を行っています。更に、年2回刊行される世界金融安定報告(GFSR)は、世界の金融市場の安定性評価を提供し、危機につながる制度的な弱点を明らかにしています。