IMF に つ い て


脆弱性指標 - 進行中の作業
(ファクトシート)

2002年8月

危機回避に広く焦点を合わせる一環として、IMFでは加盟国の金融危機に対する脆弱性を評価するIMFの能力を向上させるために相当の資金をつぎ込んでいます。脆弱性指標はこの業務を大いに支えています。指標はIMFの政策監視(サーベイランス)にとっての不可欠な材料であり金融セクター評価プログラムの下での分析やストレス試験、そして早期警戒システム・モデルへのインプットとして使用されます。IMFが近年において大きな進展を遂げてきたとはいえ、脆弱性指標の活用を含めて、脆弱性評価を一段ときめ細かいものとするための更なる作業が必要とされます。

脆弱性の評価

1990年代にいくつかの新興市場経済を悩ませた金融危機を受けて、IMFは各国が市場情勢の変化に影響されやすいか、またそうだとすればどの程度の影響を受けるのかを分析する能力を向上させるため大きく動き出しました。成長のために外国からの借入やその他の資本流入に依存しがちな新興市場経済は特に投資家の感情の転換に脆いものです。そのため、IMFは脆弱性評価の作業にあたりこれらの国に特別の注意を払いました。

脆弱性に関わるIMFの作業の多くはデータの質と透明性の改善に焦点が合わされてきました。外貨準備や対外債務、資本流入に関わる詳細なデータが必要な時に手に入るということにより、政策立案者は改善策整備のための十分な時間がもてるため、脆弱性を探知する能力が強化されます。このような努力はまた、例えばストレス試験を行うとか、早期警戒システム・モデルを使うことにより、IMFのデータ分析能力を高めることにも向けられています。

脆弱性指標

脆弱性指標は政府、金融セクター、家計ならびに企業セクターをとりあげます。経済がストレス下にある場合、一セクターの問題は往々にして他のセクターに飛び火するものです。例えば、ある国の財政赤字に懸念があれば、これは国債を保有する銀行の信用悪化となり預金流出の引き金ともなりかねません。金融セクターは国際金融市場や国内の企業および銀行セクターの動向と将来への期待によって影響されるため特に重要です。

以下はIMFが政策監視上、注目するいくつかの指標です。

- 対外および国内債務に関するデータ-期日分析、返済計画、金利感応性、外国通貨の構成を含む-は重要な尺度です。対輸出対外借入比率は債務と支払能力の動向指標として非常に有用です。公共セクターの借入が多い場合、債務の対GDP比や歳入比も重要です。

- 準備金のデータは対外借入の制約が強化された場合の、国の対外債務返済能力や、一般債務および輸入支払能力を評価する上で中核をなすものです。

- 金融健全性指標は各国の金融セクターの強みと弱みを評価するために使用されます。この指標は金融機関の適正資本、銀行の資産、簿外資産、負債の質、銀行の収益性と流動性、貸出増加の速度と質などをカバーします。金融健全性指標は例えば金利や為替レートの変化を含む市場リスクに対する金融システムの感度を評価するために用いられます。

- 企業セクターのデータのうち、企業の外国為替や金利変動に伴う負担に関係するものは、外国為替相場や金利の変動が企業部門のバランス・シートにどのような影響を及ぼすかを評価する場合に特に重要です。企業の資金効率、収益性、キャッシュ・フローおよび財務体質に関連する指標も重要です。

IMFによる政策監視(サーベイランス)との関連における脆弱性の分析

加盟国との二者間政策監視、特に資本市場へのアクセスがある新興市場経済国との政策監視への脆弱性評価の取り入れは大いに進展しています。今日ではほとんどの政策監視報告書が外国投資家やその他市場参入者の国の経済政策に対する反応を明白に論じており、IMFの政策的助言を伝えるために脆弱性指標が用いられています。

IMFはまた多国間政策監視の幅を広げ、資本市場の組織立った監視を含めるようになっています。借入コストと市場参入条件が各国個々の脆弱性評価を支持するためますます用いられるようになっています。

近年における金融危機に際しての金融セクターの重要性を考慮して、IMFと世界銀行は金融セクター問題の政策監視を強化するため1999年に共同イニシアチブを立ち上げました。金融セクター評価プログラムは加盟国の金融システムの長所と脆弱性の緻密な評価を提供しIMFの全体的な監視努力に貢献します。調査結果は政策勧告に利用されます。

早期警戒システム(EWS)モデルは通貨危機の可能性を判断するため、国際金融機関、中央銀行、民間セクターの予測者により利用されていますがその数はますます増えております。EWSモデルは国の経済指標や世界の経済、金融市場の情勢、また時によっては政治リスクに基づく指標を用いて危機の予測を試みます。しかしながら、EWSモデルは危機予測のための組織的、客観的、かつ一貫性のある方法を提供するのに対し、一方で予測精度という点ではその実績はまちまちです。したがって、EWSはIMF政策監視における数々のインプットの1つとして利用されるに過ぎません。