1. カンボジア国立銀行（NBC）は36名の行員を日本－IMFアジア奨学金プログラム（JISPA）に派遣してきました。NBCはどのようなタイプの行員に対してJISPAへの応募を勧めているのか、簡単にご説明下さい。さらに、NBCのJISPA卒業生がこれまでに挙げた実績について、いくつか例を示しながらご説明をお願い致します。

カンボジア国立銀行（NBC）は、日本国政府および国際通貨基金（IMF）、そして特に日本－IMFアジア奨学金プログラム（JISPA）がこの20年間、大規模かつ非常に効果的な支援をしてくださったことに、感謝しています。

実際これまで、現在留学中の者を含め36名のNBCの行員がJISPAプログラムによって日本で学んできました。基本的にNBCは高い潜在能力と資格を持つ候補者を選び、その中から、プログラムにふさわしい行員を最終決定します。これには以下ふたつの目的があります。

• 個人レベルでは、選出された候補者がその能力と知識を大幅に向上させること。
• 銀行全体としては、NBCの経営および経営陣の質を全体的に向上させること。

手短に言えば、NBCは「最も優れたスタッフ」に対してJISPA参加を強く勧めているということです。行内では、JISPAがとても良いインセンティブであるという点で、意見が一致しており、実際、NBCはJISPAを最優先としています。それはこのプログラムが最高の「人的投資」のひとつと考えられているためです。

JISPAを通じて派遣先の大学をすでに卒業した32名の行員は、NBCの多くの事業分野の近代化に重要な貢献をしており、以下に示すように、幹部職に昇進した者もいます。

• 元NBC経済調査統計部長、カイ　プースヌッ氏は、IMFの統計局シニアエコノミストとして働いています。
• ングォン　ソッカー氏（元NBC局長）は、最近経済財務省長官に指名されました。
• タイ・サピーア氏（副事務局長）
• キムティー　カオマリ氏（副局長）
• ソック・マン氏（副部長）
• リー・シデッス氏（副部長）
• ルン・サム・オル氏（副部長）

2. JISPAが奨学生に提供する内容に関して、NBCがどのような側面および特徴を評価しているのか教えて頂けますか。

多くの側面においてJISPAがNBCにとって極めて有益であるということに疑いの余地はありませんが、主な特徴の中でも以下の点について特に強調しておきます。第1に、我々が高く評価しているのは、この奨学金制度が本質的に質の高いものだという点です。研修生はもちろん大変な努力をしなければならない訳ですが、彼らにとっても、ひいてはNBCにとっても非常に有益なことです。JISPAを通して奨学生は最も優れた教育制度のもとで多くのの学科を学んでいます。第2に、このプログラムは中央銀行の行員にとって最も重要かつ適切なテーマを網羅しています。JISPAはNBCの主たる機能に有効的に重点を置いたものとなっています。第3に、理論・実践の両分野におけるコースにより、社会生活を送り専門職として活動する中で、奨学生が直面する様々な予想外の問題に対処することができるようになります。こうしたことから、研修生は学んだことを効果的に実践に移すことができるのです。

このプログラムは、以下のような機会も提供してきました。

• 日本国内の様々な大学で、変化する世界についての実践的かつ理論的な知識の習得の機会。日本は、移行経済国の留学生が経済社会開発に関する見解・経験を共有できる、国際的な学習ハブとなっています。
• こうした地域の幹部・学生とのネットワーク構築の機会。

結果的に、学習の達成を通じて参加者の英語のレベルも著しく向上するのですが、これも間違いなくJISPAの利点です。

3. 行員がJISPAプログラムを通して日本で学習する間、一番学ぶ必要があるとNBCが考える分野を簡単に説明して下さい。NBCのJISPA奨学生にとって、日本におけるそういった分野の学習成果は、帰国後にどの程度活かされましたか？

行員がJISPAでの学習期間中に学ぶ必要があるとNBCが考える科目は数多くあります。それらはすべて、中央銀行の中核業務に明確に関連したものです。

そのひとつが金融政策実行の基本となるマクロ経済政策です。もうひとつの重要なテーマは金融の安定性です。このふたつは、現代の世界環境において、中央銀行職員にとってますます重要な課題となっています。このふたつの重要な分野では、アカデミックな知識と日々の実践のみならず、専門技術を正しく使用する能力も必要とされます。従って、一部のコースが金融政策を実際に支援し実行することを目的とした、統計学、計量経済学、数学的ツールに充てられていることをNBCは高く評価しています。金融市場の安定性確保のため、NBCは、リスク管理、必要資本、システミック・リスク対策、これらのテーマと金融政策の関係といった領域に能力と充分な知識を有するスタッフを必要としています。

こうしたことから、これらの科目がプログラムの大きな割合を占めるのが理想です。 スタッフにこれらの領域についての知識を高めてもらうために、リーダーシップ・コースも含まれています。最後に、スタッフが 最新の統計ソフトウエア開発に対応するため、効果的な訓練を受けることができれば、とも考えています。

これまで、NBCのJISPA奨学生全員が、様々な領域において、日本での学習から大きな成果を挙げて戻ってきています。NBCはこうした手厚い協力関係がこれからも継続することを心から望みます。

4. 全般的に、NBCは、JISPAがNBCの能力強化ニーズをどこまで満たしていると思いますか？

総じて、JISPAは長年NBCの能力強化に大きく貢献してきており、当行スタッフの能力開発およびその強化に引き続き重要な役割を果たしていきます。実際、NBCはまだ歴史の浅い金融機関であり、金融システムは急速に発達したものの資源は限られています。この点において、日本の支援、特にJISPAによる支援がカンボジアの金融セクターの将来の発展の決定要因である状況は続いています。JISPAがNBCのニーズを完全に満たしており、当行の能力向上に中心的役割を果たしていることに鑑みると、この支援はなくてはならないものとなっています。

最後に大切な点は、JISPAはIMFを通じて日本によって提供されるその他の技術支援と完全な補完関係にあることです。 これは主に銀行の監督問題に関したものであり、特にNBCに長期的に常駐するアドバイザーを任命していただいていることです。

5. NBCおよびカンボジアのニーズを満たすような、JISPAプログラムを強化するための提言をお持ちであれば教えて頂けますか。

すでに強調したように、JISPAはNBCのニーズを概ね満たしています。ただ、博士課程の奨学生の数を特に増やしていただけるとありがたいと思います。

また、若干改善していただける点があるとしたら、より実践的な研修の提供をお願いできないかということです。ただこの点については、すでにご検討いただいていると承知しています。

我々のスタッフが、そのキャリアの過程で遭遇するであろう実際の状況に慣れておくことは、非常にためになります。具体的には、可能な限り研修内容をカンボジアの実情に応用できるものとしていただければ、特に効果的であると思います。

6. 日本とIMFに伝えたいメッセージはお持ちですか。

最後に、NBCが日本およびIMFに伝えたい大きなメッセージは、カンボジア中央銀行はJISPAを通じて提供された特別な支援がなければ、現在の姿はあり得なかったであろうということです。

当行スタッフがJISPAから得た機会と学術的知識が、カンボジアに帰国後の成功につながり、NBCおよび何より銀行セクターに対して成した貢献の中心となっている点に疑問の余地はありません。

ここでもう一度、日本政府が技術援助と奨学金を提供して下さったことに感謝したいと思います。これは、カンボジア国立銀行のスタッフの能力強化の向上にとっては欠くことのできない貢献であり、さらなるご支援をお願いできればと思っております。

NBCがJISPAから受けた恩恵は専門分野にとどまらず、他にも非常に貴重なものが続いています。それは、カンボジアと日本という国家間の深淵かつ貴重な友情を示す、両国民間の深くて緊密な人間関係です。

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セミナー終了後、2013学年度新規奨学生(14カ国35名)のための歓迎レセプションが開催されました。財務省、関係大使館、各国中央銀行の東京駐在事務所の代表も出席し、奨学生の学業開始にあたりその成功を願いました。奨学生は、財務省国際局長の山崎達雄氏およびモルディヴ大使のアーメッド・カリール閣下の参加を特に大変光栄に思いました。山崎氏は来賓挨拶を行い、奨学生がそれぞれのプログラムを無事修了することを願うとともに、人的ネットワークの構築を勧めました。

オリエンテーション・プログラム修了: 35名の新規奨学生が国際大学でのオリエンテーション・プログラムを無事終了し、2013年9月21日修了証明書を受け取りました。2か月半（数学コースから始めた奨学生は1か月半）同じキャンパスで共に過ごした後、奨学生は各パートナーシップ大学での主要課程を開始するため、各自の大学へ進学しました。

オリエンテーション・プログラムおよびセミナーに対する奨学生のコメント：: 国際大学で実施されたオリエンテーション・プログラムは、経済理論の基本的および予備的概念、数学およびアカデミック英語を含む、最も有用かつ有益なプログラムのひとつでした。授業はよく構成されており、現在在籍している大学において、私の研究を進めるための準備となりました。プログラムで提供された異文化理解コースからは、日本語、文化および伝統的な価値についてより多くの知識も得ました。さらに、このプログラムは、私たちが他国の外国人学生と交流する場となり、親交を深めネットワークを構築する機会を提供してくれました。

国際大学のオリエンテーション・プログラムを通じて、経済学および数学のすべての基本的側面について、知識が鮮明になりました。プログラム期間中の学習経験は、確実に一橋大学における私の研究の一助となりました。研究や職場でほとんど英語を使用しない国から来た私たちにとって、このプログラムは英語のコミュニケーション能力を改善する機会にもなりました。一橋大学ではすべての講義が英語で行われているため、国際大学でこの英語のコースを受講していなかったら今頃大変苦労したことでしょう。オリエンテーション・プログラムは到着したばかりの学生が、このテンポの速い生活様式に容易に慣れるように考え抜かれたプログラムであると感じています。

JISPAプログラムに参加して以降、これまでにIMF-OAPが企画した2つのセミナーに出席ました。そのうちのひとつが、ジョバンニ・ガネリ氏（OAPシニアエコノミスト）が発表した「成長加速への道：日本の二重労働市場の改革は重要か？」と題するJISPAセミナーでした。こうしたセミナーは私のような学生にとって、長年日本および日本経済を研究調査してきた実務家、つまりエコノミストや金融の専門家から解説を直接聞ける素晴らしい機会であると感じています。セミナーから貴重な洞察を得て、現在の経済情勢およびこの国が直面する課題について知識を高めるのに役立ちました。こうしたセミナーは、私達がそれぞれの大学で研究しているマクロ経済理論およびモデルについての理解を助けてくれていると感じています。加えて、今後日本経済のコースを受ける際に必ず役立つと思います。

オリエンテーション・プログラム期間中に得た知識のほかに、IMF-OAPがこうしたセミナーへの出席を許可してくれたことに非常に感謝しています。本セミナーは貴重な学習機会となりました。IMF-OAPがJISPA奨学生を今後のセミナーに出席・参加するよう引き続き招待して下さることを望みます。

（エイ・エイ・フュー氏、2013-15学年度、一橋大学、ミャンマー財務歳入省）

同窓会: 10月にOAPスタッフ来訪の機会をとらえ、スリランカおよびインド（デリーとムンバイ）で同窓生集会が催されました。スリランカではスリランカ中央銀行（CBSL）でJISPAプログラムに関する公開セミナーが開催され、プログラムに関心を寄せる主要経済機関から80名の若手行政官が出席しました。スリランカIMF駐在代表コシ・マタイも参加し議論を促しました。アージム博士（CBSL職員およびJISPA同窓生）は自身の経験を共有するとともに、聴衆に対してプログラムへの応募を呼びかけました。

OAP主催セミナー: IMFアジア太平洋局（APD）およびOAPは、2013年10月29日に「アベノミクスの1年目」と題したセミナーを共同で企画し、JISPA奨学生もこれに招待されました。このセミナーにより、奨学生達は日本の最近の経済発展に関するIMF、日本の当局、学会および民間の代表者の見解に対して理解を深めることができました。

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1. JISPA修了後の経歴を簡単にご紹介下さい。JISPAの体験はキャリア形成にどのように役立ちましたか？

JISPAを通したGRIPSにおける日本での研究が、理論的バックグラウンドと実践的経験に大きくつながりました。加えて、JISPAプログラムを無事修了したことは、政府によって高く評価されました。

2002年にウズベキスタンに帰国し、ウズベキスタン中央銀行（以下CBU）に復帰すると、CBUの金融政策・経済分析部の副部長に昇進しました。そして4年後の2006年にはCBUの金融政策部の部長に昇進しました。

2008年には私のキャリアに重要な転換があり、財務省に入省すると同時にウズベキスタン共和国の財務副大臣に任命されました。

2. 2008年にウズベキスタン財務副大臣に就任されました。財務副大臣の仕事を簡単に説明し、（もしあれば）直面している懸案事項について教えて下さい。

私の直下には、税務および通関政策部、会計監査手法部、金融検査部という3つの部署があります。私は、税務、通関規制、金融市場、会計、監査、金融検査問題に関する法的措置の準備および導入を統括しています。

ウズベキスタンの財政政策および金融市場の枠組み設計に関する、作業準備および調整も主たる担当のひとつです。

まさに世界金融危機が始まった時に財務副大臣に就任しました。 ウズベキスタンの金融危機対応措置の国家パッケージの設計に私が行った貢献は、GRIPSでの研究中に得た深い理論的および経験的背景知識がなければ成し遂げられなかったでしょう。 ウズベキスタンは、賢明な危機対応戦略を採用したことで、8パーセントを超える持続可能な経済成長を実現しました。一方、この5年間は政府総合財政収支も黒字になっています。

3. ウズベキスタン経済の見通しと政策課題について教えて下さい。

すでに述べたように、ウズベキスタンはここ5年間財政黒字を計上しています。従って、この期間中に蓄積された財源は、単に歳出として利用するのではなく、ウズベキスタン復興開発基金（FRD）の設立のために使われるものです。現在、FRDの資本は150億米ドルに達しています。FRDの主な目的は、エネルギー、石油・ガス、化学工業、機械、輸送の各部門における戦略的経済プロジェクトに財政支援を行うことです。

経済発展と先進的ハイテク産業群導入を促進するため、ウズベキスタンは、ナヴァーイー、アングレン、ジザフの3つの地域に自由経済工業地帯を導入しました。

我が国のすべての地域で持続可能で公平なインフラおよび制度開発を実現することに対して、政府が強い姿勢で臨むことが、ウズベキスタンの財政政策の枠組みに影響を及ぼします。これは、上記の変革に向けた最大限の財政支援を国が担うということを意味します。

それにもかかわらず、現在のウズベキスタンの租税政策は、歳入供給のための純粋な財政手段としてよりもむしろ、刺激策として税を利用することに重きを置いています。このため、ウズベキスタン経済成熟のプロセスは、実体法人に対する税負担の軽減、課税基盤拡大とともに税制の国際的課税基準への適合を伴ったものになっています。

4. 日本での学生時代、専門や研究上の関心、生活体験について簡単に教えて下さい。

GRIPSでの研究は、広範な学習内容と豊富な実証経験の素晴らしい組合せでした。同大学図書館の非常に貴重な蔵書は、経済学、金融および銀行業務の分野における私の研究にとって非常に役立つリソースでした。

私は、日本のみなさんの親切心と善意にも強い感銘を受けました。日本で、伝統の継承と現代的な国際文化が美しく融合していることは、どの国にとっても手本となるものです。

GRIPSで学ぶ多くの学生は、アジア、アフリカ、南アメリカといった世界中の開発途上国の出身です。このおかげで、それまでないたくさんの多様な文化との交流を経験しました。

5. 現在のJISPA奨学生と奨学生志望の人たちにメッセージをお願いします。

現在JISPAのコースを日本国内で受けている奨学生は、自分がどれくらい幸運かをすでに認識しており、可能な限り多くの専門的、文化的、社会的側面の知識および経験を獲得する機会をすべて活かそうとしていると確信しています。彼らが日本での滞在の日々を大切に感じていることは間違いありません。

このプログラムに応募する意思がある人に私が送ることができるのは、日本語の「Ganbatte頑張って！」という言葉だけです。これは「努力し、夢を持ち、目標に達するまで励み続けよう」という意味です。これをやりとげれば、このプログラムへの参加が叶い、専門的学問領域を広げることができるのです。

6. 日本に対するメッセージをお願いします。

私を支援し、日本における研究と生活の機会を提供して下さったIMFおよび日本国政府に対して、感謝の気持は常に変わることはありません。

7. 他に伝えたいコメントがあったらお願いします。

お世話になりましたGRIPSの白石隆学長、移行経済プログラム･ディレクター(当時)の田中氏、マクロ経済学とミクロ経済の教授であるジェームズ・ローズ氏およびスンク・ハーン氏、そしてGRIPSのすべての教授および先生方が、寛大にも私に知識と経験を与えて下さったことに対し、心からの感謝をお伝えしたいと思います。研究中に出会った友人とすべての人々との日本での素晴らしい生活の懐かしい思い出も、大事にしたいと思います。

ミルザエフ氏と石井OAP所長（当時）
JISPA同窓会、タシュケント、ウズベキスタン、2012年3月

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1. 日本に留学する前の職務内容について教えて下さい。

研究を続けるため日本に来る前は、ムンバイの銀行監督部に配属されていました。私は、スケジュールに従ってインドの商業銀行の年次検査およびテーマ検査を現場で担当する年次金融検査チームの一員でした。私の担当分野は、CAMELSモデルを使った（ITを含む）「システム」の評定であり、現場での検査中に企業全体のオペレーショナル・リスクを評価することでした。「利益」および資金管理も専門分野でした。職務の一部として、私はICAAP文書を評価し、Basel IIの第二の柱に基づく監督検査および評価プロセス（SREP）を実行することも要求されました。

2. 日本で勉強しようと思ったきっかけは何ですか？また、JISPAへの応募動機は何ですか？

2008年の金融危機により、世界中の中央銀行において業務および政策の多くが再定義されました。それに出遅れないためにも、私は休職して勉強し自分自身を磨く必要性を強く感じました。私が専門職としての生活の中で読んでいた文書がオフィスメモ、回覧、報告書のみであった時期には、特にこの思いが強くなりました。

日本は、2つの理由で魅力的な留学先でした。ひとつは、このJISPA奨学金プログラムが持つ、IMFとの提携による「ブランド」要素、もうひとつは、日本（つまりここでは日本銀行）が過去に革新的で型破りな金融政策を実行してきた先駆者であった点です。こうした政策措置は、前例に頼る余裕がないときに日銀により採用されたものです。そして日銀が新しいものを取り入れることによって、世界が学んできたのです。中央銀行の職員にとって、日本に来て、こうした先駆的な政策対応に対する直接的な洞察を提供できる研究者および実務家から話を聞くのに勝る学習方法は他にありません。

3. 何を勉強していますか？

私はマクロ経済学、国際金融、金融経済学（金融および銀行業務）等のコースを取りましたが、これらはすべて金融危機前後の期間中に中央銀行および政府が採用した政策／行動に対する理解を深める際に大きく役立ちました。さらに、「世界経済、金融市場および金融政策」に関するコースは、1990年代後半から日銀が採用してきた非伝統的な金融政策に対する細かな洞察を与えてくれました。日本経済に関するコースは、財政政策に関する価値ある授業でした。計量経済学、時系列分析、統計等に関するコースは私にとって初めて学ぶものであり、関連の学術論文および研究活動に関する私の知識を向上させるのに役立ちました。

4. 日本での体験話（楽しかった／悲しかった／驚いた／感動した、から好きなエピソードをひとつ）

私は、日本の特徴は、高層建築、ハイテク機器または未来的なリニアモーターカーというよりは、むしろ「人」ではないかと感じています。そして、私はその人達から、丁寧さ、礼儀正しさ、忍耐、尊敬、寛容、規律、清潔、安全、そして顧客サービスの新たな定義を学んできました。ここ日本で私に最も強い印象を与えたのは日本の人々です。

深い幸福感と悲しみを同時に呼び起こすひとつの出来事がありました。ある日、私は医療ヘリコプターが、患者（老婦人）と付添の親族（おそらくその夫）を乗せて（GRIPSと隣接した）ヘリポートに到着したのを目撃しました。彼らを引き受けるため、救急車および消防車が辛抱強く待っていました。ヘリコプターが着陸するとすぐに、患者は救急車で迅速かつスムーズに治療のために運ばれていきました。この光景から私は、心遣い、愛、尊敬、そしてさらに重要な点である、生命がいかに評価されているかを見て取り、幸せな気持ちになりました。しかし同時に私は非常に悲しくなりました。それは私にこの世に存在する保健制度の不平等を思い出させたのです。単純かつ基本的な治療および保健サービスを受けられない人々が数百万人存在します。そしてさらに不幸なことに、農村部およびより貧困世帯の子ども達が最も苦しんでいます。毎日21,000人の子ども達が5歳未満で亡くなっています。マラウィで産まれる子どもの余命が47年と予想される一方で、日本国内で産まれる子どもの余命は83歳と予想されています（WHO、2011年10月）そこの子供達は日本の家族に生まれなかったばかりに、治療を受ける基本的な人権に恵まれないのです。

5. JISPA関連の体験話・感想（Orientation Program、セミナーやIMF/OAPエコノミストとの交流イベント等）をお願いします。

新潟浦佐の国際大学（IUJ）でのオリエンテーション・プログラムは、到着後すぐに外国に溶け込むためには完璧な方法でした。絵のように美しい景観以外にも、この町は私達が以前に学び、長い間忘れていたものを振り返る機会を与えてくれました。しかし、これらすべてに勝るのは、私達に日本人学生を含む他国の学生と交流することを「強いた」立地および環境でした。これは私達が若い日本人とその生活様式および思考を経験した第一の機会でした。我々は共に学び、運動し、パーティをして、笑ったり冗談を言ったりしました。私にとって、IUJで私の短い滞在から得たものは、アカデミックな勉学だけでなく、私がこれまでに出会った中でも最も素晴らしい数名の人達との友情でした。私は、日本文化、伝統、食および人々に慣れるためには最適な方法であったのではないかと思っています。

6. JISPAで学んだことを将来どのように本国での業務に活かしたいですか。

私にはいつも人に教えたいと思う傾向がありました。私は、教えることの衝動から最高の学習が生まれると考えています。近い将来、RBIの職員養成大学のひとつで学部の教職の地位を得て、ここで私が学んだことの一部を共有したいと願っています。

7. 将来の夢、キャリアビジョンは何ですか？

長期的には、私はRBIで仕事を続けることを希望しており、IMF、国際決済銀行（BIS）、ADBまたは世界銀行といった多国籍機関に数年出向することもできれば嬉しいです。出向は私の技量の向上につながり、RBIへの復職後に私が政策決定に貢献する能力を高めてくれるでしょう。個人レベルでは、人道的な活動に従事する機関に参加することも希望しています。

8. 好きな言葉は何ですか？

次の言葉が好きです：
誰かが神に尋ねました。「あなたは誰が好きですか?」
神は答えました。「復讐する力を持つのに、復讐ではなく、許すことを選ぶ者を好む！」

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