IMFの意思決定

2017年4月20日

IMFは、その70年の歴史の中で世界経済とともに変化を遂げてきたことで、国際金融制度における中核的な役割を維持してきました。加盟各国が一票を有する国際連合の総会と異なり、IMFでは世界経済での各国の相対的なポジションを反映した意思決定が行われるようになっています。世界経済における新興市場及び途上国の役割の増大といった世界経済で起きている根本的な変化を適切に反映させるために、IMFはガバナンス構造の改革に取り組み続けています。

以下の略図は、IMFの現在のガバナンス構造を示したものです。

総務会

24人から構成されるIMFの 理事会 は、IMFの日常業務を執行し、総務会から移譲された権限そしてIMF協定により付与された権限を行使します。2016年1月26日に理事会改革修正案が発効して24人全員が選挙で選任されることになり、その後に行われた選挙で選出された新しい理事24人は2016年11月1日に就任しました。なお以前は、5大クォータ出資国が理事を任命し、19人が残りの加盟国から選任されていました。

総務会は、その権限の大半をIMF理事会に委譲していますが、なかでもクォータの増額、SDR(特別引出権)の配分、新規加盟国の承認、加盟国の強制離脱、さらにはIMF協定及び 内規の改正について権限を維持しています。 

また総務会は理事を選任するとともに、IMF協定の解釈の判断の最終的な権限を維持しています。総務会の投票は、会合の開催あるいは遠隔方式により(クーリエサービス、Eメール、ファックス、あるいはIMFの安全なオンラインの投票システム)行うことができます。IMF協定に特に規定されていない限り、投票結果は多数決により決定されます。

通常、IMFと世界銀行グループの総務会は、年に一度、IMF・世界銀行の年次総会の際に会合を開き、両機関の活動・業務について意見を交わします。9月あるいは10月に行われる年次総会は、2年間ワシントンDCで開催されたのち、3年目は別の加盟国で開かれるのが通例になっています。

大臣級委員会

国際通貨金融委員会 (IMFC) と 合同開発委員会という大臣級の2委員会が、IMFの総務会に助言を行います。

189人の総務のうちの24人がIMFCを構成しており、すべての加盟国を代表しています。その構造は、24の選出母体を代表する理事会の構造を反映しています。 IMFCは年に2回、IMF・世界銀行の春季会合及び年次総会の際会合を開き、国際通貨制度及び国際金融システムの管理、理事会によるIMF協定の修正案、または世界経済に影響を与えるその他の共通の懸案事項について話し合います。各会合の後に委員会は見解をまとめた声明を発表します。 これら声明が、IMFのワークプログラムの指針となります。IMFCは、コンセンサス方式を採っており公式な投票は行いません。 

合同開発委員会は、IMFと世界銀行の総務会に対し、新興市場及び途上国の経済発展について助言を行う合同委員会です。委員会は25人(通常は、財務あるいは開発担当大臣)で構成されています。IMFと世界銀行の全加盟国を代表しており、主に開発に関する重要事項についての政府間合意を構築するための協議の場としての役割を担っています。

理事会

24人から構成されるIMFの理事会は、IMFの日常業務を執行し、総務会から移譲された権限そしてIMF協定により付与された権限を行使します。2016年1月26日に理事会改革修正案が発効したことで、2016年の定期選挙から、24人の理事全員が選任されることになります。新しい理事は2016年11月1日に就任予定です。なお以前は、5大クォータ出資国が理事を任命し、19人が残りの加盟国から選任されていました。

理事会は、IMFスタッフによる加盟国経済の年次健全性調査から、世界経済政策を巡る事項まで、IMFの業務のあらゆる面について協議を行います。理事会の決定は、通常コンセンサス方式がとられますが、公式な投票が行われる場合もあります。 各加盟国の投票数は、基礎票(全加盟国で均等に分配)とクォータベースの投票数の合計と等しくなります。したがって、加盟国のクォータは、議決権を決定付けます。大半の正式協議の後に、「要約」と呼ばれる理事会の見解をまとめたものを発表します。また、政策をめぐる複雑な事項については、予備段階として非公式協議が開催されることもあります。

IMFマネジメント

IMFの専務理事は、IMF理事会の議長でありIMFスタッフの長でもあります。IMF理事会が選出した専務理事が新たに5年の任期を務め、筆頭副専務理事と3人の副専務理事が専務理事をサポートします。専務理事候補はIMFの総務と理事が全IMF加盟国のなかからノミネートすることができます。 理事会は、多数決で専務理事を任命することもできますが、これまでコンセンサス方式でおこなってきました。理事会は、 2011年の次期専務理事の選出に関し、オープンで、能力に基づく、透明性のある手順を採用しました。2016年の選出の際も、同じ手順を採用しました。

ガバナンス改革

IMFが189加盟国の効果的かつ代表的な機関であることを確実にするために、IMFのガバナンス構造も急速な世界経済の変化に合わせて進化しなければなりません。2010年12月に、この目的を達成するため、IMF総務会はクォータ及びガバナンスの 抜本的な改革 パッケージを承認しました。そしてこれらの改革は2016年1月26日に実施されました。改革は以下の点を含みます。

  • クォータの増加とシェアの移行。第14次クォータ一般見直しに伴い、これは異例の規模だといえますが、クォータが倍増され、新興市場および途上国のクォータと議決権シェアについて大規模な再調整が行われました(ダイナミックな新興市場国、途上国、及び過小に評価されている国々へ、クォータが6%以上移行)。 
  • 最貧国の議決権を維持。最貧国のクォータ・シェア及び議決権は維持されました。 
  • クォータ計算式と次回の見直し。現行のクォータ計算式の包括的な見直しは2013年1月に完了しました。新クォータ計算式の作業は第15次クォータ一般見直しの中で継続します。[1]。 
  • 今までより加盟国を代表している新しい構成の理事会。 2010年の改革には、より加盟国を代表した全選任制の理事会を促進するIMF協定の改正が含まれていました。(上で示されたように2016年11月よりすべての理事が選任方式で選出されています)、欧州の加盟国は、新興市場国・途上国のプラスとなるよう、欧州先進国を代表する理事会の議席を2議席減らすことにコミットしており、大きく前進しています。

2010年クォータ及びガバナンス改革は、IMFの信頼性、有効性、そして正当性を高める大きな成果でした。そしてIMFのガバナンス構造にダイナミックな新興市場を及び発展途上国の増大する役割をより良く反映させる主要な一歩となり、IMFの恒久的なリソースを大幅に強化しました。

第15次クォータ一般見直しは、IMFのリソースの適正な規模と構成を点検、ガバナンス改革を継続させる機会を与えてくれています。2016年12月5日、総務会は理事会に対し、現行の理事会了解とIMFCの指針に沿って第15次一般見直しに精力的に取り組み、当面2019年の春季会合までに完了させることを目指し、どんなに遅くとも2019年の年次総会までに終わらせるよう要請しました。

優れたガバナンス

IMFは、IMF内で良いガバナンスを積極的に促進しています。スタッフに向けた行動規範(金銭に関する認可や開示要件、処罰に関する)や同様の理事会のメンバーに向けた行動規範、そして、 内部告発者を保護するインテグリティ・ホットライン(不当行為告発窓口)など、いくつかの倫理面の制度を採用しました。IMFの 倫理室 は、倫理に関して組織やスタッフにアドバイスをしたり、申し立てられた規則違反や規制違反を調査したり、全スタッフ対象の倫理と品位に関する研修プログラムの監督をします。また、IMFの戦略面での優先事項を効果的に確実に実施するため、説明責任の枠組みも導入されています。


[1] 2010年改革パッケージは第15次クォータ一般見直しの完了を2014年1月に前倒しすることを予定していました。しかし第14次クォータ一般見直しの遅れにより、第15次の作業については新たなスケジュールが採用されました。(下記を参照)