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IMF理事会、低所得国の社会セーフガードを点検

2017年6月6日

  • 低所得国におけるIMFプログラムの主要目的は貧困の削減である
  • IMFスタッフペーパーは、低所得国へのIMF支援プログラムがこれら諸国の健康及び教育への支出を守っていることを確認した
  • ペーパーは低所得国の社会セーフティネットの強化を推奨している

国際通貨基金(IMF)の理事会は2017年5月26日、IMFスタッフによる「社会セーフガードと、削減貧困・成長トラスト( PRGT)及び政策支援インストルメント(PSI)に基づく支援プログラムの設計」 と題するペーパーを議論した。このペーパーは低所得国における貧困弱者を、IMFの支援プログラムのこうした人々を守り公的支出を改善する措置を使うことによっていかに保護できるかを検討している。

低所得国におけるIMFプログラムの主要目的は貧困削減である。このため、2009年PRGT改革は、PRGTの各種ファシリティが社会政策支出や他の優先策支出を守り、かつ、可能な場合はそれらを増やす政策を後押しするよう求めた。IMFはPRGTによる各種支援プログラムの支出で、可能な分野では目標を設定することを推奨している。IMFはまた、プログラムの各種措置の最弱者へのいかなる悪影響も軽減するような措置を講じるよう勧告した。スタッフペーパーは支出目標と社会セーフティネットを向上させる対策を検証しているが、この両策を合わせ「社会セーフガード」と呼んでいる。

ペーパーは社会政策及び他の優先策支出の目標が、低所得国における事実上すべてのIMF支援プログラムに含まれ、その3分の2以上が達成されていることを確認した。健康及び教育支出は通常、確保されていた。さらに、プログラムの承認時には、1人当たりの実質公的支出は平均で15%の増加が予想され、43%が財政支出の拡張を含んでいた。他の地域では、社会セーフティネットを強化する特定の改革策は抑制気味に実施された。

ペーパーは、社会政策及び他の優先策支出のプログラム目標をより明確化させることにより、それらの支出の効率性を向上させることを勧告している。その際は貧困層への恩恵と好影響が最大となるような支出に的を絞ることに焦点を当てるべきだ。それに加え、低所得国では概ね整備不足な社会セーフティネットを強化するよう勧めている。

世界銀行や他のパートナー開発機関の経験を利用するためにこれらの組織との協働が、支出目標と社会セーフティネット諸策の強化のために必要となっている。この協働は早期の段階、理想的にはサーベイランス協議の時点から始められるべきだ。この早期協議には現行の社会政策インストルメントの点検、諸策の財政的に持続可能な実施方法、そしてマクロ経済政策の所得再分配への影響分析が含まれる。

このスタッフペーパーに続き、IMFスタッフが低所得国とのサーベイランスとプログラムの議論をする際に社会セーフガード上の諸懸念にいかにしたら上手く対処できるかの指針ノートが作成されることにとなっている。

理事会評価 [1]

IMF理事会はPRGT及びPSI支援プログラムにおける社会セーフガード諸策の実施での経験を点検する機会を得たことを歓迎した。その一方で、社会セーフガードの有効性のより包括的な評価には、IMFの外部からのものも含めさらなる分析の必要性も認識した。理事会は概ね、スタッフペーパーが低所得国に対するIMF支援プログラムの大半が社会保障支出を守るのに貢献していることを確認したことを歓迎した。ペーパーはその確認の根拠として、プログラムに明示的に示された目標が満たされていることを挙げている。理事らは同時に、貧困層と最弱者を守るのにこれらセーフガードを強化する余地があると判断した。この点に関し、スタッフの PRGT及びPSI支援プログラムにおける社会セーフガード諸策の設計を改善すべきとの提案を理事らは概ね支持した。理事らは「IMFと社会保護」に関する近く公表される独立評価機関(IEO)の分析を待ち望んでおり、IMF支援プログラムとサーベイランスで社会セーフガードをどう扱うかを明確化することに資するスタッフ指針ノートを作成する際に、ペーパー確認事実に基づき理事会が承認した政策を利用するよう、スタッフに促した。理事らはこれらの経験で得られた教訓や外部の利害関係者との幅広い協議が、2018年の早い時期に予定される低所得向けファシリティの全体的見直しに活かされる可能性があると指摘した。また、この分野でのIMFの仕事と他の開発機関や利害関係者との協働について明確に発信することと、積極的な交流の重要性を強調した。

理事らは弱者グループに恩恵となる支出の重要なセーフガードとしての社会政策及び他の優先政策の支出にIMFプログラムのフロアを使うことを歓迎した。また、特に財政余地が限られ貧困層への短期的支援ニーズが相当大きな場合、弱者グループ向けセーフガード資源の優先付けのためにプログラムフロアに含まれる支出タイプの慎重な定義づけを要請した。それと同時に、各国は国内の政策優先度をより良く反映させるために支出目的の設定に柔軟さを維持すべきと指摘した。理事らはまた、スタッフに支援の対象範囲や支出の質の高め方、そしてそうした支出に必要な財政余地を作るための戦略に関してアドバイスすることにより、支出目的の採用を支援するよう促した。

理事らは社会セーフティネットを強化する具体的な措置をIMF支援プログラムに取り入れたことを歓迎する一方、そうした改革は設計と実施に時間を要する可能性があることに留意した。一般的には、スタッフは社会セーフティネットを運用する各国の力を考慮し、適宜IMFや他のパートナー開発機関によって提供される技術支援や研修によってその運用力を強化するよう努力すべきだ。

社会セーフガードの課題については、早期かつ継続的な各国当局、パートナー開発機関、市民団体を含む外部利害関係者との対話の重要性を理事らは強調した。社会セーフガードは国内財政や国際収支の安定性に影響を及ぼす可能性があるが、可能な場合はパートナー開発機関からの情報も得ながらIMFのサーベイランスの一環として各国に分析や助言を与えるべきだ。これは現行の社会セーフティネットの評価やセーフガード上のギャップの特定、技術支援や研修の可能性探査やデータのギャップの特定と対処、そして必要な場合は財政余地の拡大のための戦略策定などを含み、その後のIMF支援プログラムにおける各国との対話の強力な礎となる。

また、理事らは世界銀行や他のパートナー開発機関との協働を、一段と緊密で実効性あるものとすることを求めた。こうした諸機関の専門知識を活用し、IMFへの支援を促すためだ。また、協働は政策措置の再配分上の考えられる悪影響の特定と、それらを社会セーフガードによって悪影響を軽減することの助けとなり得る。

理事らはまた、各国のPRGT及びPSI支援プログラムの文書に社会セーフガード措置の記載を強化することを推奨することを支持した。その記載事項には社会セーフガード措置の政策目標、措置の設計、支出目標と社会セーフティネット改革措置に関する達成結果を説明する要因、及び未達成プログラム目標に対して実行及び今後実行される修正政策措置が含まれるべきとした。それに加え、世界銀行や他の開発機関パートナーとの協働の成果を盛り込むことも検討に値する。もしIMF支援プログラムが所得の再分配で悪影響を与え得る政策措置が含まれていた場合は、スタッフはこの弱者グループを保護する措置を、可能な場合は他のパートナー開発機関や外部の利害関係者からの情報と共に記載するよう理事会は求めた。



[1] この議論を終了時に理事会の議長である専務理事は、理事会意見を要約し、この要約は各国当局に伝達される。この要約で使用される数に関する形容詞の定義は次のアドレスで: http://www.imf.org/external/np/sec/misc/qualifiers.htm .

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