クリスティーヌ・ラガルド専務理事、世界経済成長の強化と包摂的経済の構築に向けた行動を要請

2017年7月12日

国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、ドイツのハンブルクで開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議閉幕後、以下の声明を発表した。

「ドイツのメルケル首相と関係当局に対し、G20会合における今年1年を通じての堅実なリーダーシップ及び美しいハンブルクの地での首脳会議開催への祝意を表明したい。

各国首脳陣との議論において、私は世界経済の回復が軌道に乗り世界的な広がりを見せていること、また来年も引き続きその傾向が期待できるという朗報を伝えた。同時に、自己満足や金融の脆弱性が高まるなどのリスク、低い生産性、不平等の拡大について注意を促した。

現在のように経済が成長している時期を好機と捉え、資本増強や企業及び銀行のバランスシート強化など金融セクターのセーフガードの推進、経済回復を損ない不満を助長しうる実質賃金の停滞問題への対処、また経常収支の過度な不均衡に関して黒字国及び赤字国の双方はその問題に取り組むべきである。

ハンブルク行動計画に沿って、私は次の5つを優先事項として強調した。

  • 貿易改革の推進: 障壁、助成金、その他貿易を歪める措置の削減がこの取り組みでは欠かせない。我々は、公平な環境を創出すると同時に競争を促進する適切に施行された規則にコミットすることを再確認することで、世界貿易システムを強化することができる。

  • 生産的インフラ投資の増加: これは短期の雇用と成長、そして中期的には生産性を押し上げる。

  • 金融包摂の促進: 特に女性の金融へのアクセスを増加させることは持続可能な経済成長を支えるために不可欠であり、将来的には何百万もの新規雇用の創出に繋がる。

  • 人的資本への投資: 人々が技術革新や経済の構造的変化に対処する環境を整えることに資する。これは、機械化の増大や人工知能の利用に関連して特に重要である。

  • 労働市場改革の加速: これには、人々の労働市場へのアクセスの拡大、柔軟性の向上、非正規雇用部門の削減が含まれる。肝心な点は、女性の労働参加に関してジェンダーギャップを縮めることであり、それが、経済成長の増加、格差の縮小そして経済の多角化に寄与する。

私は、G20が気候変動、持続可能な開発目標、低所得国が直面する課題に焦点を当てたことを大いに歓迎する。特に、アフリカ大陸全体の民間投資を高めることを目的とした「アフリカとのコンパクト」の始動においてのドイツのリーダーシップを賞賛する。同取り組みの第一陣に関与する国々は、自国のマクロ経済枠組み及び制度の強化支援として、能力開発支援の拡大などすでにIMFからの支援を受けつつある。

ハンブルク行動計画の中で、強固でクォータに基づく十分な資金に裏打ちされたIMFをその中心に据えることで、国際金融のセーフティーネットの強化を強調していることを心強く思う。またG20の首脳陣が、資金洗浄及びテロ資金対策の分野においてIMFが引き続き能力開発の提供を行うことの重要性を強調したことに対しても嬉しく思う。

ドイツ政府に対しG20の議長国としての歓待に深く謝意を表明したい。特にハンブルク市そしてとりわけ昼夜治安維持に努め会議を成功裏に導いてくれた方々に対し感謝する。また、ここ数日の抗議運動で負傷された方々の一日も早い回復を願う。

最後に、G20の首脳陣との会談において、私は、世界金融危機が実効性の高い多国間協調行動の勢いを生み出したように、現在の世界経済の回復を利用し引き続き協調してリスクに対処するとともに、強固で持続可能、バランスがとれ且つ包摂的な成長を確実なものにすべきであると述べた。これに関連して、IMFは2018年のG20議長国を務めるアルゼンチンとの緊密な協働に期待している」

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