## 経済学者の声

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### 「大脱出」の達人 — 概要
- アンガス・ディートン教授は、経済学理論と測定手法、政策と人々の生活を結びつけるアプローチで知られる。
- 2015年12月にノーベル経済学賞を受賞。受賞と同時期に、アン・ケース教授と共著の論文を発表し大きな注目を浴びた。
- 2013年に著書『大脱出―健康、お金、格差の起源』を刊行し、開発援助が害を及ぼしうる可能性を提言。

### 主要研究と発見
- 消費分析と需要理論に貢献し、ジョン・ミューエルバウアーとの共同研究で「ほぼ理想形に近い需要理論体系（Almost Ideal Demand System）」を考案。
  - ノーベル委員会は、本モデルが「35年たった今日でも、このモデルは、集計データ、個人データ、家計データのいずれが用いられるかにかかわらず、世界各国で需要推計の基盤を成すものとして利用されている」と評価。
- 「ディートン・パラドックス」を提示：個人レベルの消費行動の時系列性と標準的な代表的個人モデル（恒常所得仮説）との不整合を示した。
- 開発経済学への関与の一環として、栄養と貧困の関係を再検討。
  - コーネル大学のシャンカー・サブラマニアン氏とのインド調査に基づき、「十分な食事を摂取するために必要な費用は日給のわずか5％である」と示し、栄養不良は貧困の原因ではなく結果であると結論付けた。

### 家計調査と現場志向の分析
- 世界銀行の生活水準指標調査に関与し、特に家計調査の開発に大きく貢献。
- 家計調査を用いて、消費状況の観測、出生コホートの分析、ローカルな市場価格の推計を行い、現場の実情を示す手法を先駆的に開発。
- 途上国での政策が社会的結果に与える影響を把握するための測定とデータ収集を重視。

### 健康と賃金：ケース＝ディートン研究の主要統計と結論
- 論文「21世紀の米国における非ヒスパニック系白人中年層の罹患率と死亡率の上昇（Rising Morbidity and Mortality in Midlife among White Non-Hispanic Americans in the 21st Century）」（2015年）における主要発見：
  - 45～54歳の非ヒスパニック系白人層における死亡率は、1999～2013年の間、毎年0.5％のペースで上昇した。
  - その前は20年間にわたり低下していた。
  - 死亡率再上昇の主因は薬物やアルコールの乱用と自殺であり、特に高卒以下の層で顕著。
  - 心身の健康障害の報告も著しく増え、罹患率も上昇。
  - オピオイド系鎮痛剤の普及は1990年後半に広く利用可能になり、死亡率・罹患率上昇の時期とほぼ重なる可能性が示唆される。
  - 経済的不安（賃金の伸び悩み、確定給付型年金から確定拠出型年金への移行による金融リスクの被雇用者への移転）が重要な要因として指摘される。
- 2017年の続編論文「21世紀における死亡率と罹患率（Mortality and Morbidity in the 21st Century）」は、「この傾向は2015年中も継続した」と報告。

### 開発援助に関する提言と反響
- ディートン教授の主張：開発援助は被援助国の政府を援助国に対して説明責任を果たす方向へ誘導し、国内の社会契約を弱め、公的制度強化や持続可能な発展に必要な改革のインセンティブを低下させる可能性がある。
- 批判と議論：
  - 英国オックスファムのダンカン・グリーン氏は、看護師や教師の雇用、予防接種による命の救済といった具体的成果を挙げ、本主張は「不確実な証拠に基づく曖昧なもの」と反論。
  - 援助の提供方式の問題を指摘する意見もあり、議論は継続。

### 経歴と私生活の要点
- 生い立ちと教育：
  - スコットランドのエディンバラで育つ。9歳で家族とともにイングランドとスコットランドの境界付近の村に移転。
  - 13歳で私立校フェテス・カレッジに奨学金で入学。
  - ケンブリッジ大学で当初は数学を専攻し、その後経済学へ転向。1967年にケンブリッジを卒業。
- キャリアの節目：
  - イングランド銀行で短期勤務後、博士号取得と研究助手のためケンブリッジに戻る。
  - 1975年にブリストル大学の計量経済学教授に就任。
  - 1979～80学年度にプリンストン大学で研究休暇、1983年にプリンストン大学に移籍。
- 私生活：
  - アン・ケース氏とプリンストンで知り合い、1997年に結婚。隣同士の教授室で仕事をする。
  - 趣味はフライフィッシング、料理、旅行。
  - 2016年12月、ウィリアム王子により騎士爵に叙される。

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