## 沸騰する東南アジア　正念場を迎えた気候変動政策

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### 概要
- 東南アジアは温室効果ガスの排出増加と海面上昇、極端気象の影響を強く受ける地域であり、6億4千万人が居住している。
- 観光地ホイアンの食堂「ブルードラゴン」は台風による豪雨で1.6mの浸水を記録するなど、日常的な洪水被害が経済・生活に直撃している。
- 東南アジアの気候脆弱性は海岸線の長さと低地への人口集中に起因する。

### 経済的影響
- ADBは、気候変動を放置すると21世紀末までに地域全体のGDPを11%押し下げる可能性があると試算している（2015年報告）。
- 2009年時点の試算では負の影響を6.7%と見積もっていたが、ADBの試算は大幅な悪化を示す。
- 今世紀末には「新たな気候レジーム」にシフトする可能性があり、技術的なブレイクスルーが無ければ、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムの米の収穫は1990年と比較して2100年には半減するかもしれない。
- 気温上昇はマラリアやデング熱の拡散も促進しており、北部ラオスなどでも蔓延地域が拡大している。

### エネルギーミックスと石炭依存
- IEAは、エネルギー需要が2040年までに66%増加すると予測している。
- エネルギーミックスでは石炭が増加分の「4割近く」を占める見込みであり、可燃燃料では天然ガスを上回る勢いである。
- 東南アジアのCO2排出は1990年から2010年の間に他のどの地域よりも急速に増加した。
- 石炭関連の国別状況（IEAデータ／団体報告に基づく記述）：
  - インドネシアは石炭生産で世界第5位、純輸出量としては2位。
  - 輸入量でマレーシアが8位、タイが9位。
  - ベトナムで現在開発中の石炭火力発電の容量は中国とインドについで3位、インドネシアが5位、フィリピンが10位（2018年3月の環境団体報告による）。
- 再生可能エネルギーは増加しているが、発電能力に限度があり、化石燃料依存が続いている。

### 森林伐採と泥炭地の問題
- 森林伐採はインドネシアとマレーシアで継続しており、インドネシアでは伐採が同国の排出量の半分近くを占め、化石燃料による排出を上回っている状況である。
- 泥炭湿地の排水・焼却は、1ヘクタール当たり数千トンものCO2放出を招く。1997年以降、泥炭火災の煙はシンガポールやマレーシアに被害を与えている。
- ロイターの報道によれば、2015年の大規模泥炭火災による排出はEU全体の排出量を上回っていた。
- WRIの分析では、2011年のモラトリアム（原生林と泥炭地伐採の一部禁止）を実施するだけで、年間で1億8,800万トンの二酸化炭素排出削減が可能であると試算している。これはフランスが2016年に排出した二酸化炭素量の約6割に匹敵する。

### 都市化と適応上の課題
- 観光ブームに伴う都市急成長が洪水や高潮リスクを増幅している。ダナンの人口は現在の100万人から2020年までに165万人に増加すると世界銀行は予測している。
- ホイアン周辺の海岸線は2004年から2012年に150メートル後退したとクアンナム省の報告は示す。
- 都市の成長、氾濫原での新規建設、上流での貯水池建設などが洪水頻度と被害の拡大に寄与している。
- 事例として、ホイアンでは7,000万ドル規模の国際プロジェクトで適時の警報発信を目指す取り組みが進められている。

### 政策の矛盾と排出削減の条件性
- ASEAN全10か国はパリ協定に署名しているが、現行のエネルギー投資・補助金政策は化石燃料需要を支援しており、排出削減目標達成の障害となっている。
- ASEANの再生可能エネルギー比率は2015年時点で10%であり、首脳はこれを2025年までに23%へ引き上げる目標を承認している。
- 各国の排出削減公約は国際的資金調達への依存が大きい（条件付き公約）：
  - インドネシア：2030年までに29%（支援があれば41%まで可能）
  - ベトナム：それぞれ8%（無条件）と25％（条件付き）
  - フィリピン：条件付きのみで70%削減を掲げる
- 補助金政策を維持すると、ADBとポツダム気候影響研究所の研究では、地域の目標達成に必要な額以上の政府コストを招く可能性がある。

### 政策的示唆と実務的対応
- 森林伐採防止は、短期的かつ費用対効果の高い排出削減策として有効である。インドネシアとマレーシアは伐採抑制で数十億ドル相当の排出権クレジットを得る立場にある。
- 農業生産性の向上により森林伐採圧を減らせるという分析もある（WRIの2017年報告）。
- 太陽光・風力のコスト低下が進む中、地域での製造と投資拡大には以下の政策支援が鍵となる：
  - 優遇税制、輸入免税措置、優先的融資などのインセンティブ
  - 資金アクセスを容易にする措置
- ただし、社会最貧層の燃料・電力補助を維持する政治経済上の制約が、化石燃料からの転換を難しくしているため、包括的な補助金改革と社会保護設計が必要である。
- 再生可能エネルギー導入や森林再生に向けた企業の動員には、明確な政策インセンティブが不可欠である。

*出典: prakash*

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