## 自然界が示す気候変動の解決法（チャミほか）

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### クジラの気候緩和機能：主要な知見
- クジラは長寿を通じて体内に炭素を蓄積し、死後に海底へ沈むことで炭素を隔離する。大型クジラは1頭あたり平均33トンのCO2を数百年にわたって大気から隔離する。  
- 1本の木が吸収するCO2は最大で年22キロほど。  
- 植物プランクトンは大気中の酸素の少なくとも50%を生み出し、およそ370億トンのCO2を吸収する。これは地球上で発生するCO2の40%に相当する。  
- プランクトンの吸収量は木に換算すると1兆7,000億本分、アマゾンの熱帯雨林4つ分、あるいはアメリカのレッドウッド国立・州立公園に生えるすべての木々が毎年吸収する量の70倍に相当する。  
- クジラは「ホエールポンプ」や「ホエール・コンベアベルト」と呼ばれる移動行動で、鉄分や窒素を海面に供給し、植物プランクトンの生産性を高める。これにより、クジラがよく通る海域ではプランクトンが大幅に増殖する可能性がある。  
- クジラの生息数を現在の130万頭をわずかに超える水準から捕鯨開始以前の400万～500万頭に回復させれば、海中の植物プランクトン量が大幅に増え、毎年吸収される炭素量は大きく増加する見込み。  
- クジラの活動によって植物プランクトンの生産性がわずか1%増加するだけでも、毎年吸収される炭素の量は何億トンも増える。  
- 商業捕鯨の影響でクジラの総数はかつての4分の1に減少。一部の種（例：シロナガスクジラ）は往時のわずか3%にまで落ち込んでいる。  
- クジラは平均寿命60年を超え、この間の効果が継続する。

### 経済的評価と試算：クジラの金銭的価値
- 著者らの推計では、大型クジラが生涯にわたって隔離する炭素量などを基に算出した平均的な大型クジラの価値は、控えめに見ても200万ドルを超える。  
- 現在生息する大型クジラ全体の価値は優に1兆ドルを超えると推計されている。  
- クジラの生息数が捕鯨開始以前の水準に回復した場合、年間17億トンのCO2が吸収されると仮定すると、クジラによる炭素隔離の取り組みには1人あたり年間13ドルを支払う価値がある試算となる。

### 保護の障害と政策モデル
- クジラ保護には、船舶衝突、漁網絡み、海洋プラスチック、騒音公害など多様なリスクが残る。  
- クジラは国際的な公共財であり、「コモンズ（共有地）の悲劇」に直面するため、便益を享受する者が維持負担を自発的に負わない問題がある。  
- REDDプログラム（森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減）と同様の金融メカニズムをクジラ保護に適用することが提案される。  
  - 例：海運会社が衝突リスクを抑えるために航行ルートを変更した場合の費用補償など、補助金や補償でインセンティブを提供する仕組み。  

### ガバナンスと国際機関の役割
- 自然資産を保護するための金融制度設立と財源確保が必要。誰がどれだけ負担するか、補償の配分、制度運営・監視の枠組み設計が課題となる。  
- 各国や多国間機関の具体的な役割案：  
  - 地球環境ファシリティ（GEF）が支援主体になりうる。  
  - 国際通貨基金（IMF）は各国政府がクジラ保護のマクロ経済的恩恵や保護コストをマクロ財政枠組みに組み込む支援が可能。  
  - 世界銀行は補償制度の設計・実施ノウハウを提供できる。  
  - 国連機関や多国間機関がコンプライアンス監督やデータ収集・進捗測定を担うことができる。

### 時間軸と緊急性
- 筆者らの推計では、新たな手立てを講じなければ、現在の生息数を倍増させるだけでも30年以上かかり、捕鯨前の水準に戻すには数世代を要する見込み。時間的猶予は限られているため、保護措置の強化と生息数回復の促進は急務である。

### マインドセットと倫理
- 著者らは「新たなマインドセット」の醸成を提唱。  
  - 自然と共生するホリスティックな考え方を理解・実践すること。  
  - クジラは人間の道具ではなく存在自体に価値があり、生きる権利を持つという価値観の承認。  
- クジラの保護は海洋・陸域双方の生態系健全性を支え、人間を含む多様な生命への恩恵につながる。  
- クジラ保護を2015年に「パリ協定」に署名した190か国共通の目標とすることが提案されている。

*出典：チャミほか「自然界が示す気候変動の解決法」*

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fandd/article/2019/december/jp/chami.pdf_
