## 汚染に値札をつける

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### なぜ炭素価格が重要か
- 温室効果ガス（例：二酸化炭素（CO2））が大気中に蓄積される速度を抑制しない限り、将来世代は温暖化がかなり進行した地球を受け継ぐことになる。気温上昇後の世界では、危険な気候事象リスク、海面上昇、自然界の破壊が見られる。
- 国際社会の土台は2015年パリ協定であり、主たる目標は産業革命以前と比べて気温上昇を摂氏1.5度から2度の間に抑えること。190か国が戦略を提出しており、多くは2030年までに先進国で対基準年で20%から40%削減することを誓約している。
- 現行の排出削減目標がすべて達成されても、世界の排出量は気候安定化目標の達成に必要な削減量の約3分の1しか減少しない。

### 炭素税の原理と効果
- 炭素税は化石燃料の炭素含有量に応じて課される税であり、国内排出緩和目標を達成する上で効果的なツールである。
- 炭素税によるメカニズム：
  - 化石燃料や電力、一般消費財の価格が上昇し、低炭素燃料への移行、省エネ、よりクリーンな乗り物への切り替えを促す。
  - 燃料生産者の価格は下がるため、エネルギー価格上昇がマクロ経済に及ぼす負の影響（雇用減や投資不振）を相殺する財政政策（例：労働所得や資本所得に対する減税）と組み合わせやすい。
- 想定例（数値そのまま）：
  - 2030年にCO2排出が1トンあたり35ドル課税されると仮定すると、石炭、電力、ガソリンの価格は典型的にはそれぞれ概算で100%、25%、10%上昇することが見込まれる。
- 健康・環境面での便益：
  - 炭素税は化石燃料燃焼による大気汚染に起因する早死の減少をもたらす。

### 炭素税による歳入とその活用
- 1トンあたり35ドルの炭素税により、典型的にはGDPの1%から2%に相当する歳入が2030年にもたらされる可能性がある。
- 歳入の使途例：
  - 先進国では多くの歳入が労働所得や資本所得に対する減税に使われるかもしれない（全体的な税負担を増やさず税制を再編）。
  - 発展途上国では炭素税歳入の大半が国連の持続可能な開発目標（SDGs）達成のための投資資金として活用される可能性。
  - 早期にクリーンなエネルギーのインフラへ投資するために歳入の一部を使うことで、カーボンプライシングの有効性と信頼性を高められる。

### 排出量取引制度（ETS）との比較
- ETSでは政府が許容枠を管理し、企業が許容枠を取得・取引することで排出価格が決定される。
- 現状と比較した影響：
  - ETSはこれまで電力会社や重工業にほぼ限定されており、包括的制度と比較して達成できるCO2排出削減量が様々な国で20%から50%少なくなる。
  - 排出枠の有償販売（オークション）から得られる歳入が制約される可能性がある。
  - ETSは将来の排出量がより確実になる一方で、排出価格の不確実性が高くなり、クリーン技術への投資を抑制することがある。
  - ETSでは排出量と市場の監視管理が新たに必要になり、相当数の企業の参加が求められる。

### 代替的手法：フィーベート制度と規制
- 規制（製品のエネルギー効率や電力会社の排出率を法制度で規制）は、カーボンプライシングがもたらす行動反応の多くを再現できるが、柔軟性に欠け、業界間や企業間で費用対効果の高い調整が困難になることがある。また、個人行動の一部（運転控えやエアコン利用の抑制）を促すことは困難。
- フィーベート制度の仕組み（新たで有望な選択肢）：
  - 製品や活動の排出原単位が平均を上回る場合にスライド制で料金を課し、平均を下回れば払戻金を与える。
  - 例：電力会社に適用した場合、各社は発電量1キロワット時あたりのCO2排出量が業界平均をどの程度超えているかの差に電力生産量を乗算した数値に応じて税金を支払う。

### 政策受容性を高める設計と分配
- 段階的導入で企業や世帯が調整する時間を確保する。
- 初期段階での対象を絞った支援（社会セーフティネットや失業手当の強化）で脆弱な世帯や企業、コミュニティを保護する。こうした支援はカーボンプライシング歳入のごくわずかで済む。
- 歳入の大半を透明性・公正性・生産性の高い形で活用することが重要。
- 具体的試算（原文の仮定をそのまま記載）：
  - 炭素税がカナダとアメリカで1トンあたり70ドル、中国とインドで1トンあたり35ドルとなると、炭素税がエネルギー価格と一般消費財価格に及ぼす影響によって、平均的な世帯の消費額は2030年に約2%増えることになる。
  - ただし、増大する価格負担を補填するために世帯の下位40%に所得移転を行い、歳入の残り（約70%）を広範な所得税減税や生産的投資の増加に用いると、上記4か国の貧しい下位40%にとっては全体的な暮らし向きが良くなる一方で、所得が比較的高い世帯の総合的な負担増は平均で約1%から2%となる。
  - 比較として、フィーベート制度は全世帯に負担を課すが、その負担は消費の1%未満となるのが典型的。

### 国際協調の設計とシナリオ
- 世界で稼働するカーボンプライシング制度は約60あるが、世界平均の炭素排出価格は1トンあたりわずか2ドルにとどまる。
- 炭素価格に下限を設定する国際的取り決めは、パリ協定に基づく緩和プロセスを強化する可能性がある。下限価格によって参加国間に最低基準を保証し、国際競争力低下の不安を一定程度和らげることができる。
- 設計上の留意点：
  - 対象除外の手続きや、既存のエネルギー税の変化がカーボンプライシングの有効性に与える影響について合意する必要がある。
  - 新興市場国に対しては、1人あたり所得が低く歴史的排出量が小さい点を踏まえ低い価格条件を設定する主張がありうる。
- 具体的シナリオ（数値そのまま）：
  - もし2030年にG20の先進国と発展途上国がそれぞれ炭素1トンあたりの下限価格を75ドルと30ドルに設定した場合、現行目標の達成に必要となるだろう削減量の2倍を優に超える炭素緩和が可能になるだろう。
  - しかし、気温上昇を摂氏2度に抑える目標と一致する水準まで排出量を削減するためには、世界平均で炭素価格が1トンあたり75ドル相当になるように追加策を講じる必要がある。

### 楽観できる理由と重点国
- G20諸国が低コストで炭素緩和を行う機会の約80%が中国、インド、アメリカの3か国に集中しているため、これら3か国における価格設定の取り決めだけでも大きな前進となる可能性がある。
- 健康面の利益（原文の試算）：
  - 1トンあたり35ドルの炭素税が2030年に導入されていると、1年間に中国で30万人、インドで17万人もの人々が天寿を全うせず命を落とすことを防げるだろう。
- 国益の一致：
  - 世界気候システムを安定化させ、国内における気候関連の損害を避け、将来世代のために環境を守ることはどの国の利益にも合致する。

*イアン・パリーはIMF財政局で環境財政政策を担当する主席専門官。この記事はIMFによる2019年10月の「財政モニター」と、2019年5月1日付のIMF政策ペーパー（19/010）「Fiscal Policies for Paris Climate Strategies—From Principle  to  Practice（パリ気候変動戦略のための財政政策　原則から実践へ）」に基づいている。*

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fandd/article/2019/december/jp/parry.pdf_
