## 職業機会の不平等と長時間労働が男女の賃金格差を永続させている

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### 概要と現状評価
- 日本のジェンダー・ギャップ指数（2018年）は149か国中110位。2017年は146か国中114位、2016年は111位、2015年は101位。
- 2018年の男女賃金格差は24.5%で、OECD加盟国中、韓国に次いで2番目の大きさ。
- 日本の男女賃金格差の主要要因には、非正規雇用の女性比率の高さ、正規フルタイム労働の内部での男女格差、管理職に占める女性の少なさ、長時間労働、職業分離がある。

### 非正規雇用と賃金格差の寄与
- 2014年の非正規雇用割合：男性被雇用者は14.1%。
- 20歳から65歳の女性被雇用者では53%以上が非正規に分類。
- 雇用タイプ（正規/非正規、フルタイム/パートタイムの4カテゴリ）と年齢を組み合わせた分析では、雇用タイプの男女差（女性が非正規に就く率の高さ）は男女賃金格差の36%を説明（Yamaguchi 2011）。
- 主要因はフルタイム正規雇用における男女賃金格差で、賃金格差全体の半分以上を説明する。

### 管理職と昇進の性差
- 2016年度雇用均等基本調査による正社員中の女性管理職比率：部長相当職で6.4%、課長相当職で8.9%、係長相当職で14.7%。
- 従業員数100人以上の企業分析では、中間管理職（課長）以上の正規労働者における男女格差のうち、学歴や職歴の男女差で説明できるのは21%のみ。残りは同等の学歴・職歴でも管理職昇進率における男女差に起因。
- 管理職になる確率は「男性」であることで10倍以上に増えるが、大卒であることは1.65倍の増加にとどまる（他の決定要因を制御した上での結果）。

### 長時間労働とワークライフの制約
- 長時間労働が管理職登用との強い相関要因であり、残業時間の少ない女性は管理職の機会を失っていることを示唆。
- 結婚後の家庭での役割（子育て・家事を主に女性が負担する伝統的分業）が根強く、長時間労働は女性の昇進・就業選択を制約する。

### 職業分離（オキュペーショナル・セグリゲーション）
- 日本は教育・医療・社会福祉など人間サービス系に女性が集中する傾向があるが、さらに次の2点が特徴的。
  - 人間サービス系でも地位の高い職種（医師、大学教員など）での女性比率が低い（日本の医師や大学教員の女性率はOECD加盟国中で最低）。
  - 研究、エンジニアリング、法律、会計など人間サービス系以外の専門職に女性が極めて少ない。
- 日米比較（日本の2005年全国調査と米国の2010年人口センサス）：
  - 「タイプ1型専門職」（地位の高い人間サービス系＋人間サービス系以外の専門職）に占める女性割合：米国で12.7%、日本で2%未満。
  - 「タイプ2型専門職」（人間サービス系の中でも地位の高くない職種）に女性が集中。タイプ2型における男女賃金格差が大きく、タイプ2型の女性の平均賃金は男性の同職種平均より低いだけでなく、事務職・販売職・作業職の男性平均賃金よりも低い。
- 学歴の男女差の解消だけでは、既存の職業マッチングが続く限り、管理職やタイプ1型専門職における女性比率はほとんど増えず、賃金格差の大幅縮小にはつながらない。
- 例外として、大学卒者に占める科学と工学の専攻率の男女差をなくすことは、タイプ1型専門職における女性増加を通じて男女賃金格差をある程度縮小する可能性がある。

### 要因の本質と雇用慣行
- 職業分離は学歴差で説明されるものではなく、日本的雇用慣行とジェンダー・ステレオタイプに根ざした慣行の反映である。
- 企業側は新卒採用を正規雇用の主要供給源として重視するため、出産・育児で離職して再就職する女性の正社員化機会が限られる。
- 雇用主は職場を「家庭の性別分業の延長」ではなく、個人が潜在能力を発揮して貢献する場と認めるべきだが、その姿勢は依然乏しい。

### 政策的含意と提言
- 同一労働同一賃金の推進（正規・非正規の同一賃金化）は重要だが、男女賃金格差縮小においては以下の方がより重要：
  - 管理職や地位の高い専門職への平等な雇用機会の提供。
  - 雇用慣行の改革：新卒偏重採用や職務別コース（総合職／一般職）に伴う性別固定化の是正。
  - 長時間労働文化の是正とワークライフバランスの改善：長時間労働に依存する労働文化を変えること、フレキシブルな職場の推進。
  - 子育てや家事を女性だけの責任とする慣行の変化を奨励すること。
- 高等教育における専攻構成の男女差（特に科学・工学分野）を是正することは、タイプ1型専門職での女性比率増加を通じた賃金格差縮小に資する可能性がある。

*山口一男 — ファイナンス ＆ ディベロップメント  2019年3月*

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