## ワクチン接種の加速

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### ワクチン生産の特徴と必要性
- 複数のワクチンが安全かつ有効であることが確認されてから9か月が経過した後も、ワクチンを接種した人口は世界の半分以下、アフリカにおいてはわずか８パーセントにとどまる。
- 2020年から2021年の初頭にかけては、毎月約30万人が新型コロナウイルス感染症で命を落とした。
- IMFの予測では、世界GDPは2020年と2021年の間に12兆ドル下押しされる見込みである。これは、毎月約5000億ドルの計算となる。
- ワクチン開発はリスクが大きく時間がかかる。過去のデータに基づき、ワクチンがひとつ承認される確率を約80パーセントまで高めるためには、15種から20種の候補が必要と予測されていた。
- 2020年10月時点の予測では、同年末までの世界の生産数は1億1500万回分にとどまると見られていた（CGD 2020）。しかし例外的な大規模投資により複数の高効果ワクチンが短期間で開発された。
- 既存施設の別ワクチンへの作り替えには時間がかかり（新型コロナウイルス感染症の際は約6か月を要した）、ガラス製薬瓶や脂質粒子、バイオリアクターバッグ等の一般的な材料の不足が製造を制約した。

### 予備生産能力と備蓄の重要性
- 新たなパンデミックが発生する前に、大規模なワクチン生産能力を整備しておくべきである。臨床試験と並行して生産態勢を整備することで、承認後すぐに接種を開始できる。
- どのワクチン候補が承認されるか事前に分からないため、複数のワクチン候補を同時に生産できる態勢を整備する必要がある。
- 世界の全人口分製造できる生産能力を整備、維持すべきであろう。これには何十億ドルもの資金が必要となる（Kazaz, Webster, and Yadav 2021）。
- 事前に材料を備蓄し生産能力を整備しておくことは、ワクチン・ナショナリズム（輸出禁止や買いだめ）のリスクを低下させる。

### 社会的価値と私的価値の乖離
- 既存の新型コロナウイルスワクチン能力の社会的な限界価値は、1接種単位あたり500ドルから1000ドルと評価されている。
- これに比べ、現在の契約では1接種単位あたり6ドルから40ドルとなっている（Castillo and others 2021）。
- 追加的能力の社会的価値が企業の私的価値を大きく上回るため、政府が予備能力整備や材料備蓄のインセンティブを提供すべきである。
- 例：米国のオペレーション・ワープ・スピードの支出額は2020年12月までに130億ドルだった。新型コロナウイルス感染症は2020年から2021年にかけて、米国経済に推定で1日あたり260億ドルの損失をもたらした。パンデミックの期間を12時間短縮することさえできれば元が取れる計算となる。

### ワクチン・ナショナリズムと国際協調
- パンデミック中に価格統制等で供給不足が生じると、各国政府は自国内の有権者への供給を優先するインセンティブが強まる。
- 事例：米国とインドはいずれも2020年から2021年にかけてワクチンまたは材料の輸出を制限した。EU内でも医療用マスクの輸出制限が行われた。
- 「道徳的説得」だけでワクチン・ナショナリズムを防ぐことは難しく、世界的な備蓄能力を増やすことでゲームそのものを変え、買いだめや輸出制限のインセンティブを低下させる必要がある。
- 自由な貿易が確保されれば、各国は多様な技術の予備能力に投資でき、ワクチン候補の世界的ポートフォリオが広がる。

### サプライチェーンと供給能力への投資
- 国レベルおよび多国間レベルでのサプライチェーンとワクチン生産能力への投資、ならびに備蓄は歓迎すべきである。
- 特定国が能力拡大へ投資することで他国に価格上昇を招く可能性はあるが、長期的には必要なだけの能力を整備でき、大幅に単価を引き上げずに需要を満たせるはずである。
- エボラ出血熱やジカウイルスの教訓から、影響が限定的な流行時は非影響国が緊急時に能力を提供できる場合が多い。
- 新たなパンデミックでどの国が最も影響を受けるか予測できないため、最も影響を受けた国と人口への供給を優先することを事前に合意しておくことが理にかなっている。

### 研究への財政支援と規制プロセスの見直し
- 商業投資だけでは社会的ニーズを満たすには不十分な研究分野があるため、各国政府や世界機関による財政支援が優先課題となる。
- 研究の一例：「ドース・ストレッチング（1瓶から接種可能な回数を増やす方策）」や少ない用量、接種間隔の伸長、混合接種の評価などが、供給をより効果的に利用する選択肢として重要。
- 初期の臨床試験データでは、一部のワクチンは規定用量の半分または四分の一でも高い効果があり、2021年後半に少量接種を行っていれば供給量を1月あたり最大15億回分増やすことができていた可能性がある（Więcek and others 2021）。
- しかし、2021年後半の時点で効能に関する臨床試験は行われておらず、少量接種に対する免疫反応のさらなる研究も僅かであった。用量最適化のためのさらなる試験費用は期待される公衆衛生利益と経済利益をはるかに下回る。
- 提案される制度的改革例：
  - ヒトチャレンジ試験が許容されるかを迅速に評価するための科学的・倫理的インフラの整備
  - 生産能力の配分を決定するための情報提供を目的とした初期臨床試験の予備的データの公表
  - 国際的承認基準の設定
  - 緊急使用許可プロセスの迅速化
- CEPI等の国際機関による、追加接種に少量接種を用いるための研究計画の公募など、世界機関からの投資が期待される。

*出典: アーサー・ベーカー、イーシャ・チョウドリー、マイケル・クレーマー（原文本文に基づく）*

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