## 世界をつくり直すために

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### 概要と主要メッセージ
- 先進工業国、特にアメリカは、1980 年代以降の「非共有型成長（格差拡大、良質雇用の消失など）」に苦しんでいる。
- 自動化（機械やアルゴリズムによる労働代替）は、グローバル化や労働の相対的弱体化と並び、共有型成長喪失の重要因である（Acemoglu and Restrepo 2019）。
- AI と自動化が今後の技術プラットフォームの中心となるかどうかは、研究者・企業・政府の選択に依存する。

### 自動化の現状と要因
- 巨大ハイテク企業の集中：
  - アマゾン、アリババ、アルファベット、フェイスブック、ネットフリックス等の巨大小売・プラットフォーム型企業が世界のAI支出の「3 分の2 以上」を占める（McKinsey Global Institute 2017）。
  - これら企業は従業員数が少なく、ビジネスモデルが自動化に依拠している（Acemoglu and Restrepo 2020）。
- 税制・政策の誘因：
  - 研究によれば、過去40年にわたり「給与税や連邦所得税を通じた労働に対する実効税率は25%を超えていた」（Acemoglu, Manera, and Restrepo 2020）。
  - 20 年前は設備やソフトウェアへの税率は約「15%」だったが、近年は税制変更により「5% 未満」となり得る事例が生じている。
  - こうした税制は資本（設備・ソフトウェア）への投資を相対的に促進し、過剰な自動化への強力な動機づけを生んでいる。
- 自動化の拡大とパンデミック：
  - パンデミックは雇用主に「これまで以上に労働者を機械で代替する方法」を検討させ、最近のエビデンスは実際に進行していることを示す（Chernoff and Warman 2020）。

### 自動化の経済的影響と生産性
- 自動化が必ずしも生産性（TFP）を押し上げているわけではない：
  - アメリカの全要素生産性（TFP）の伸びはここ20年で大幅に低下している（Gordon 2017）。
  - 情報通信技術の普及にもかかわらず、IT を徹底活用する産業のTFP・生産量・雇用の伸びは改善していない（Acemoglu and others 2014）。
- 過剰な自動化の可能性：
  - 多くの自動化技術（セルフ精算端末、自動カスタマーサービス等）がそれほどTFPを生まないため、自動化は「生産性向上をもたらすというより、過剰になっている」可能性がある。
  - 企業がコスト削減を超えて自動化を採用すること、及び自動化による雇用減少・賃金低下といった社会的コストが生じている点が指摘される。
  - 自動化偏重は「より人間と補完性の高い新たな仕事、新たな組織形態、技術的ブレークスルーによる生産性向上の機会」を逸するリスクがある。

### 政府の役割と政策提言
- 政府は技術の方向性に影響を与してきた歴史がある。政策手段として既に実行されているのは、税制、政府の研究支援、企業や大学への支援など。
- 優先すべき政策措置（要点）：
  - 資本と労働に対する課税のバランス是正（労働に対する過度な課税を緩和し、資本優遇を是正すること）。
  - 人間の生産性を促進し、労働需要を高める技術に的を絞った研究開発への補助金制度の拡充。
  - 少数の巨大ハイテク企業が市場と未来の技術方向を支配する現状の是正（競争促進、プライバシー保護の強化等）。
  - 技術の禁止や進歩の遅延を求めるのではなく、イノベーションの「構成」を変えるためのインセンティブ提供。
- 政府が技術方向を変えた成功事例：
  - 再生可能エネルギー：40 年前はコストが極めて高かったが、政策の方向性転換と補助により、今日ではヨーロッパで「19%」、アメリカで「11%」を占め、コストは化石燃料と同等まで低下した（IRENA 2020）。

### 実務上の応用例（人間にやさしい技術の可能性）
- 教育分野：AI とより充実した訓練を受けた教師の組合せで「学生中心」の適応的教育を実現。
- 医療分野：AI とデジタル技術で看護師や技術者のサービスを質量ともに充実。
- 製造分野：拡張現実（AR）やコンピュータ・ビジョンで人間の生産性を高める。
- コミュニケーション：パンデミック下のズーム等のデジタル技術で人間のコミュニケーションや能力を大幅に向上させた事例。

### 政治的懸念と民主主義の維持
- 管理主義的国家への懸念（ハイエク的懸念）への反論：
  - 福祉国家を構築したイギリスやスカンジナビア諸国では、自由や民主主義は抑圧されなかった。
  - 民主主義と自由を守るための鍵は「国民の関与」との主張（「狭き回廊」の論点）。国家がより多くの責任を引き受けるとき、民主主義が深まり、市民の監視能力が高まることがある（Acemoglu and Robinson 2019）。
- デジタル技術の副作用：
  - フェイク情報の拡散、AI支援のソーシャルメディアによるフィルターバブルやエコーチェンバーが民主的議論を阻害し、市民の政治参加・国家の監視能力を弱めている可能性がある。
- 結論的論点：
  - 技術の方向性を人間にやさしい方へ誘導するためには、国家と市民社会の相互作用による「狭き回廊」の確保と、積極的な政府の関与が必要。
  - 手をこまねいている余裕はない。

*出典: ダロン・アセモグル（ファイナンス & ディベロップメント 2021年3月）*

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