## 物価上昇率は高止まりするか

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### 概要と論点
- 最近の世界的な物価上昇率高騰は、多くの人の意表を突いた。2022年半ば現在、消費者物価指数（全ての商品・サービスの価格）とコアインフレ率（食品とエネルギーを除く）はほとんどの国で目標を上回っている。
- 答えは、経済ショックの波及と、各国の中央銀行（と財務省）の対応に依存する。

### インフレ高進の主な5要因（本文の列挙順をそのまま保持）
- 1．サプライチェーンの制約。
  - パンデミック初期の都市封鎖や移動制限により短期的な供給不足が生じた。最近の中国やその他地域でのオミクロン株の拡大は一部のサプライチェーンに新たな圧力を加えている。
  - フレックスポート海上適時性指標は、2022年4月末時点で過去最高水準近辺にとどまっている。
- 2．モノの需要増大とサービスの需要減少。
  - パンデミック初期に消費者の購買選好が変化し、モノに対する支出が劇的に増えた。初期の物価上昇率増加の大部分は耐久消費財（中古車含む）の物価上昇を反映した。
  - 影響は世界規模だが一部の国でより顕著（例えば米国では中古車ブームにより耐久財需要が急増）。
- 3．総需要の刺激策とパンデミック後の回復。
  - 各国の財政措置は約 16.9 兆ドルに上り、支援額は先進国・地域の方が相対的に大きい。
  - 米国のみで 1.9 兆ドル の財政刺激策（米国救済計画）が導入された。
  - 「持続チーム」は大規模な財政刺激策と緩和的な金融環境の組合せがインフレの進行と持続を招く恐れがあると警告。対して「一時チーム」は影響は一時的・限定的と主張したが、同年末までには持続チームの主張を支持するデータが複数の国で示された。
- 4．労働供給ショック。
  - 労働市場の混乱はパンデミック開始から2年以上経過した今でも続いている。労働参加率は複数の国でなおもパンデミック前の水準を下回っている。
  - 米国では労働参加率がパンデミック前の水準を 1.5% ほど下回っている（約400万人の労働人口減）。
  - 一部の研究（Domash & Summers 2022）は「大部分の雇用不足は今後も続き」「当分の間は米国のインフレ圧力に大きく寄与することになるだろう」と主張。
- 5．ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーおよび食品供給ショック。
  - 戦争や制裁による混乱は原油や天然ガスなどの世界的な価格高騰を招き、食品価格も急騰した。
  - ウクライナとロシアは世界の小麦輸出の約30%を占めるため、小麦の価格は記録的な高さにある。
  - 低所得国や新興国は消費に占める食品やエネルギーの割合がより大きく（アフリカでは最高50%に上る）インパクトが大きい。

### AS‑AD フレームワークによる整理
- 5つの要因の影響をモノの市場とサービス市場に分けて示している。
- 全体として国別の違いは大きいが、インフレはほぼ世界中で発生している。
- 重要な不確定要素は、労働市場の逼迫とサプライチェーンの制約がどの程度持続するか、そして高い物価上昇率に対する中央銀行の反応。

### 中央銀行の過去の経験と制度的重要性
- 1970年代以前に比べ、以来の「中央銀行革命」により多くの中央銀行はインフレ抑制に成功。独立性の確立やエコノミストの採用などの制度改革が寄与した。
- 本分析における定義：
  - 「インフレを制御できた」：1990年以降、四半期ごとの物価上昇率4%以下を3年間維持すること。最初にこれを達成した時を「ブルーチップ月」と呼ぶ。
  - 「制御不能な物価上昇率高騰」：物価上昇率が36か月間4%を上回った場合と定義。
- OECD参加国では、ブルーチップ月を獲得した後に制御不能で持続的なインフレへ戻ることは稀である。ただし、巨大学的金融危機を経験した場合は例外がある。
- インフレターゲットの引き上げを提唱する中央銀行職員が比較的珍しいことは、中央銀行の「インフレ嫌い」を示唆している。

### 今後の見通しと主要な決定要因
- 今後の物価上昇がいつまで続くかは以下に依存：
  1. 労働市場の逼迫およびサプライチェーン上の制約の持続期間とそれに対する中央銀行の対応。
  2. ウクライナでの戦争の継続期間と、エネルギーおよび食品価格や世界成長に与える影響。
- 過去の経験に基づけば、今後の数年間以降、将来にわたり制御不能な物価上昇率高騰に見舞われることはないだろう。ただし一部の国はブルーチップを失うかもしれず、その主因はパンデミック中にすでに起きていたインフレである。
- 想定されるシナリオ（本文記載）：
  - シナリオ1：パンデミックの長期的影響、経済回復の先行き不透明感、そして世界的に増大している債務負担をインフレによって軽減させるという誘因により、中央銀行の「インフレ嫌い」が抑制される可能性。金利政策の変更が未知数であり、現在のドット・プロット等からはインフレを抑制するための計画は後手に回っているように見える。
  - シナリオの一例として、標準的なテイラー･ルールに基づく計算によれば、複数の国でインフレを抑えるために金利を 7% まで引き上げる必要があるかもしれない。
  - シナリオ2（Varadarajan 2022 の指摘引用）：緩和的な財政政策と利上げを同時に行うのは「アクセルとブレーキを同時に踏む」ことに例えられ、利上げは特に財政政策に起因するインフレとの闘いにおいて工夫の足りないツールである可能性。政府がインフレによる目減りなしに債務を返済するコミットメントを疑われれば、インフレが悪化しうる。

### 中長期（2025年以降）に左右する2点（本文の結論）
- インフレを抑制しようとする中央銀行の決意の固さ。
- インフレによって債務負担を軽減することなく債務を返済する政府に対する債券市場の信頼。

*ルシャー・アガワル（IMF調査局シニアエコノミスト）、マイルス・キムボール（コロラド大学ボルダー校教授）による分析を要約。*

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