## 長期にわたる究極の嵐に立ち向かうには

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### 危機認識と主要リスク
- 現在は「長期的な究極の嵐」に突入しているとする認識：地政学的問題、経済的問題、人類の存在を脅かす問題が相乗的に深刻化。
- 主要なリスク要因：
  - 地政学的対立の激化（過去30年で最も高いリスク）。
  - スタグフレーションのリスク（経済成長の停滞と物価上昇の同時進行）。
  - 人類の公共財（気候変動、生物多様性の喪失、水不足、海洋汚染、宇宙空間の混雑、感染症拡大）の悪化ペース加速。
  - 国内および国家間の分裂リスク、特に燃料・食料・肥料価格の高騰による貧困国への打撃。

### 社会・人間資本への影響
- 教育への深刻な影響：コロナ禍で10歳までに基本的な読み書き能力を習得できていなかった割合が70 %に膨張したと推計。特に少女は学習機会喪失や早婚のリスク増大。
- 発展途上国では過去20年間の進展が後退し、若年層への永続的被害、女性の地位悪化、内戦や国境紛争のリスク増加。

### グローバル・コモンズと投資ニーズ
- グローバル公共財に対する長期かつ大規模な投資の必要性。
- 具体的な投資分野の例：きれいな水、教師の訓練、老朽化した物流インフラ、低炭素建築材料、最先端バッテリー、水素電解槽、混合ワクチンなど。
- 世界で二酸化炭素排出量実質ゼロを実現するには、今後30年で100兆から150兆ドルの投資が必要。
- 年間費用は3兆から5兆ドルと推計される。
- 現状の課題：必要な技術の約半分が試作品段階にあり、政府の果敢なリスクテイクと民間の研究開発支援、デモプロジェクト促進が不可欠。
- 公共部門が民間投資に提供するインセンティブの正当性：グローバル・コモンズの社会的利益は民間利益を遥かに上回る。

### 資金動員と公私連携
- 未曾有の規模の官民連携が必要。公共部門単独の融資ではニーズを満たせない。
- 財政政策の方向性：慈善資本を適宜動員しつつ、民間投資の動員へ財政の軸足を移すべき。
- ワクチンやパンデミック対策の共同投資は、各国が協力しない場合と比べて「数百分の一まで」コストを節減可能との指摘。
- 物理的な資金制約や軍事費の見直し、歳出に占める国債費の割合増加への言及。

### 多国間主義の再構築
- 効果的な多国間主義がなければ現代の課題に対処できない。
- 多国間主義のアプローチ：
  - 既存機関の使命を新時代に合わせて見直す。
  - 多国間機関や非国家主体をネットワーク化する新たなメカニズムの創設。
  - グローバル・コモンズへの資金提供は単なる「他国への支援」ではなく、富裕国と貧困国双方に大きな利益をもたらす投資と考える。

### ブレトン・ウッズ機構の使命再定義
- IMFと世界銀行は設立以来約80年前の枠組みからの変化を反映すべき。
- 提言の要旨：
  - IMFはより強力で効果的な国際金融セーフティネットを管理する権限を付与されるべきであり、主要中央銀行のような安定確保の役割を担うべき。
  - 世界銀行は貧困緩和に加えグローバル・コモンズを使命の中心に据えるべき。
  - 世界銀行は自らのバランスシートで直接融資するのではなく、リスク保証や他の信用補填ツールを用いて民間資本を動員する方向へ大胆に転換すべき。
  - IMF・世界銀行は他の金融機関や開発パートナーと協働し、債務持続可能性や調達に関するコア基準を策定すべき。

### デジタル公共財とサイバー安全
- デジタル格差解消のためのインフラと政策枠組み、デジタルリテラシー格差の是正が必要。
- オンラインプラットフォームを公共の利益に適合させるため、偽情報やヘイトスピーチ対策のグローバルルール・基準の整備が急務。
- 欧州連合のデジタルサービス法や英国、シンガポール、オーストラリアの取り組みを前進事例として言及。
- サイバー攻撃の深刻化に対し、責任ある国家行動に関する規範・規則の採用と、地政学的緊張時にも実施可能な仕組みの確立が課題。

### 米中関係、二極化回避、経済秩序の確保
- 多極化が進む状況下で、米国と中国をはじめ主要国間の新たな戦略的理解の共有が不可欠。
- 共同の優先課題：気候、安全保障（パンデミック）、平和、世界金融危機の回避。
- 経済の開放を支える国内基盤再構築の必要性（良好な雇用と幅広い機会の創出）。
- 公正な競争と強靭なサプライチェーン確保のためルール更新を行うが、同時に開放的で統合された秩序を後退させてはならない。
- 経済的相互依存（市場、技術、決済システム、データ）が残る限り、分断された世界よりも紛争のリスクは小さいと主張。
- 最重要課題は、多極化した世界に対応しさらなる二極化を回避すること。二極化と分断が進めば、全ての国が脆弱になり、持続可能で安全かつ繁栄した世界の実現が困難に。

_ターマン・シャンムガラトナム はシンガポールの上級相。国連事務総長が設立した「効果的な多国間主義に関するハイレベル諮問委員会」の委員であり、最 近 発 足した「水の経済学に関するグローバル委員会」の共同議長。過去には「グローバル金融ガバナンスに関するG20賢人グループ」の議長、「パンデミック安全保障の資金調達に関するG20ハイレベル独立パネル」の共同議長も務めた。_

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fandd/article/2022/june/ja/tharman-jpn.pdf_
