## 世界貿易は今も、繁栄を促進することができる

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### 貿易の役割と実績
- 国際貿易は生産性向上を促す国際的な分業を通じて世界の繁栄に寄与してきた。
- 歴史的実績：
  - 1960年以降、国際貿易は20倍増えた。
  - 1990年以降、世界の貧困者数は4分の1減った。
  - 世界人口に対する貧困者の割合は「10人に1人未満」。
  - 低中所得国の世界貿易シェアは2倍に拡大した。
- 貿易の3つの重要な効果：
  - 生産性の向上（国際的分業）。
  - 輸出市場へのアクセスによる輸出主導型成長。
  - 国外の選択肢に依存できることでの経済的安全保障の強化。
- 危機時の貿易の貢献：
  - パンデミック期に医療品（ワクチン含む）の生産・流通拡大で不可欠な役割を果たした。
  - ウクライナでの戦争では、深く分散した穀物市場が供給の代替を可能にした。例：エチオピアはウクライナからの小麦が全く輸入できなくなったが、現在は小麦の20%をアルゼンチンから調達している。

### 分断化のリスクとコスト
- 貿易の分断化は世界経済に打撃を与えうる：
  - WTOの調査では、世界がふたつの別々の貿易ブロックに分断されるシナリオで世界GDPの5%が失われる可能性がある。
  - IMFは、貿易の分断化による世界的な損失がGDPの0.2ー7%の範囲になると想定している。
  - 技術的なデカップリングを考慮すると、コストはさらに高まる可能性がある。
- 分断化のメカニズムと影響：
  - 貿易制限や補助金の増加、戦略的サプライチェーン確保を目的とした政策の加速が貿易をゆがめ、効率性低下やアライアンス志向の分断化を促進する恐れがある。
  - 知識移転の喪失は新興市場国と低所得国を最も脆弱にする。
  - 外国直接投資は地政学的に連携している国にますます集中している。

### 機会と政策提言
- 貿易を活用し続けるべき理由：
  - 貿易は今後数十年にわたり生活水準向上と経済的機会の拡大に寄与する大きな可能性を秘めている。
  - 貿易は気候危機や脱炭素化の解決に不可欠。低炭素技術やサービスを必要な場所に届けるために貿易が必要。
- グリーン化と規模の経済の実例：
  - 太陽光発電の価格は2010年以降、ほぼ90%下落した。
  - WTOの推定によれば、この下落の40%は貿易と国境を越えたバリューチェーンによる規模の経済で実現した。
- 包括的かつ未来志向の貿易政策アジェンダ：
  - 貿易はより包括的でグリーンであり、これまで以上にデジタル・サービス主導型になると想定される。
  - 適切な国内政策（社会的セーフティネット、トレーニング投資、信用・住宅・インフラ整備）は、輸入競争で打撃を受けた人々を保護し、労働者の移動を容易にすることで取り残される人々を救い出す。
  - より多様なサプライチェーン（「再グローバル化」）は、グローバル・バリューチェーン参画に苦労する国やコミュニティに大きな機会を提供する。
- デジタル・サービスと貿易の拡大：
  - デジタルサービス（例：ビデオ通話によるコンサルティングなど）の世界輸出は2022年に3.8兆ドルに達し、サービスの総輸出額の54%に達した。
  - 約90のWTO加盟国グループ（中国、EU、アメリカ等を含む）がデジタル貿易の基本的ルールを交渉中。共通ルールは不確実性を低下させ、重複を減らし、コンプライアンス費用を削減する効果がある。

### 協調と国際機関の役割
- 多国間協力の重要性：
  - 共通基準と協調は市場の分断化を防ぎ、他国への負の政策波及を最小限にしつつ、グリーン移行を加速できる。
  - 小企業や女性経営企業を国際生産ネットワークに組み込むことで、貿易の恩恵が社会全体に広がる見込み。
- 最近の多国間協調の実例：
  - 昨年6月、すべてのWTO加盟国が集まり、有害な漁業補助金の抑制、食糧援助への障壁撤廃、新型コロナワクチンの知的財産へのアクセス強化で合意した。
  - 各国政府は2024年2月に開催されるWTOの次回閣僚会議でこうした成功を足掛かりにすることができる。
- IMF・WTO等の役割：
  - IMFとWTOは、集団の利益を実現する道筋を描く上で重要な役割を果たす必要がある。
  - IMFには国際貿易の均衡ある成長を支えるマンデートがある。
  - WTOは依然として、貿易改革を進めるためにすべての国を結集する唯一のプラットフォームである。
- 行動の呼びかけ：
  - 貿易を開放し、より緊密に協力するための新たな機会を模索することが、気候変動やその他の地球規模の課題に対する解決策を得るために不可欠である。
  - 多角的な貿易体制を強化し、国際機関間のたゆまぬ協力を通じて急速に変化する世界に適応することが求められる。

*クリスタリナ・ゲオルギエバは国際通貨基金（IMF）の専務理事。ンゴジ・オコンジョ・イウェアラは世界貿易機関（WTO）事務局長。*

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