## 世界貿易への高まる脅威

## Source details

**Canonical URL:** [世界貿易への高まる脅威](https://www.imf.org/-/media/files/publications/fandd/article/2023/june/japanese/goldberg.pdf)

## Other formats

- [Markdown version](/-/media/files/publications/fandd/article/2023/june/japanese/goldberg.pdf.md)
- [Structured JSON version](/-/media/files/publications/fandd/article/2023/june/japanese/goldberg.pdf.json)

---

### 概要
- 世界貿易と多国間制度への風当たりが強まっており、それらの未来は政策面での選択にかかっている。
- 決定的な「脱グローバル化」の証拠は存在しないが、政策と世論の変化が明白である。

### 世界貿易の趨勢（証拠と事実）
- 世界貿易の伸びは、米ドル換算で見ると、2008〜09年の世界金融危機後に鈍化し、2020年の新型コロナ危機勃発時に急速に縮小したが、その後過去最大規模まで回復している。
- 世界貿易額を対GDP比で見ると、わずかに減少している。主要因は中国とインドの動向。
  - 中国は「双循環」戦略を推進し、国際貿易・投資を歓迎しつつ国内消費を重視。
  - 両国では過去数十年間に経験した異例の輸出ブームが終わり、中間財の輸入が以前より減少している。
- 米中が2018年に導入した関税は、米中間の貿易を抑制したが、影響が大きかった製品群の貿易は他地域で拡大し、貿易は「再配分」されたに過ぎない。
- パンデミック期や戦争期に一部の国が医薬品・食糧の輸出を制限した事例がある一方で、多くの政府は経済統合を積極的に進めている（例：専門職外国人の労働要件緩和、共通安全基準導入）。

### 脱グローバル化をめぐる3段階
- 第1段階（2015年前後〜）
  - 低賃金国との競争やグローバル化への不安の高まりに伴い、英国のEU離脱、米中の関税・報復関税、欧州での過激主義再燃が発生。
  - 経済の分配効果に対する懸念が政治的影響をもたらした。多くの経済学者は保護主義を否定し、勝者から敗者への再分配を勧めた。
- 第2段階（2020年、パンデミックの圧力）
  - 供給ショックと需要ショックが同時に発生。主要サプライヤーの都市封鎖や配送遅延、耐久財・医薬品への需要急増が見られた。
  - 実際には市場の強靭性が高く、供給不足は多くの場合緩和された。例として、マスク以外の医薬品・医療用品は異なる国から調達され、供給は回復した。
  - 定量的モデル研究は、国際貿易が経済の多角化を促し強靭性を向上させることを示している（Caselli and others 2020; Bonadio and others 2021）。
- 第3段階（2022年2月以降、地政学的圧力）
  - ロシアのウクライナ侵攻は、特定国への依存リスクを顕在化させた。例：ロシアによる欧州へのガス供給停止とそれに伴うエネルギー価格の高騰。
  - 米国は半導体などの対中輸出を禁じ、デュアルユース技術を巡る禁輸措置が民生技術の開発を遅らせる懸念が生じた。
  - 世論や政策が「デカップリング」や「排除」を模索する方向に向かう可能性がある。

### エビデンスと世論の変化
- シカゴ大学ブース経営大学院の経済学者を対象としたアンケート：
  - 2018年3月には調査対象者全員が当初の米国関税に反対していた。
  - 2022年1月の調査では、経済学者44人中2人のみが「外国の投入財に依存した結果、米国産業はショックに脆弱になった」という意見に異議を呈した。

### シナリオと政策選択
- 可能性の一つ：脱グローバル化の動きがこれ以上進まないシナリオ
  - デュアルユース疑義が妥当な技術に限定して介入し、他の製品は貿易を続ける。
- 別の可能性：世界が対立する集団へ分断し、新たな米中冷戦が展開されるシナリオ
  - 分断が進むと代償は深刻。人口規模が研究開発に果たす役割を考慮すると、米中間の科学協力の停止は将来の感染症や疾病対応能力を低下させる恐れがある。
  - 低コストの調達先を排除すると、脱炭素化の遅延（例：太陽光パネルのコストが高くなり設置ペースが鈍化）など、気候変動対策のコスト増につながる可能性がある。

### リスクと含意
- 強靭性強化の代償：
  - 貿易制限が直ちに強靭性向上につながるとは限らない。ショックの性質によって評価が変わる。
  - 貿易を「友好国」限定にすると短期的に地政学的リスクへの強靭性は上がるかもしれないが、他の種類のショックに対する強靭性を低下させる可能性がある。
- 経済的・社会的影響：
  - 保護主義の進行は物価上昇や実質賃金低下を通じて国内格差を悪化させる恐れがある。
  - 環境・労働基準の重視が貿易参入障壁を高めることで、非常に貧しい国々の発展・貧困削減の道を閉ざすリスクがある。
- 平和への最大のリスク：
  - 経済的相互連結性の後退は、歴史的に緊張と戦争の悪化に結びついた経緯があり、繰り返しを避ける必要がある。

### 主要示唆（出典本文に基づく）
- 保護主義には注意すべきであり、多くの経済学者は保護主義を否定し、勝者から敗者への再分配を推奨してきた。
- 政策選択が今後の世界貿易の方向を左右する。技術のデュアルユースをめぐる限定的な介入と、それ以外の領域での貿易継続というバランスが一つの道となる可能性がある。
- 分断が進むと、強靭性、成長、貧困削減、気候対策、そして平和に対して重大な負の影響を及ぼしうる。

*出典：ピネロピ・コウジャノウ・ゴールドバーグ、トリスタン・リード「世界貿易への高まる脅威」（原文 PDF: goldberg）*

---


_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fandd/article/2023/june/japanese/goldberg.pdf_
