## 無リスク資本主義

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### 救済の論拠と問題点
- 救済の主張：25万ドルを超える預金は保険対象外だと周知であっても、保険対象外預金が全額保護されていなければ「パニックが銀行システム全体に波及していたに違いない」というのが救済の論拠である。  
- 事例と影響：ロイター報道によれば、ストリーミング機器メーカーのロク社は、SVBに4億5,000万ドル超を預金していた。  
- 問題点の指摘：救済により、SVBの株主は全滅、経営陣は解雇された一方で、大口預金者は政府によるルール変更の恩恵を受け、「無リスク資本主義」を享受することになった。

### 代替措置とその効果
- ヘアカットの可能性：過去のFDIC介入事例に基づくと、ヘアカットを行っていた場合、保険対象外の預金者が被った損失は預金残高の約10％であったと推定される。  
- コストと節約：ヘアカットを行い、必要に応じて政府が後で包括的な暗黙の保証を発表していれば、FDICは200億ドルを節約できた可能性がある。  
- 行動インセンティブ：ヘアカットがあれば、企業の財務担当者らがリスク管理を実践し、リスクを取った者が結果に責任を負う原則が維持されうる。

### SVBの失敗の本質と市場メカニズム
- FRBの評価：FRBの独自調査は、SVBは「銀行による教科書的な経営失敗ゆえに」破綻したと結論づけている。  
- 預金者の役割：逃げ足の速い保険対象外の要求払預金はシステムのバグではなく特色の一つであり、注意を払う預金者が早期に無能・強欲な経営を止めることができ、納税者の負担を減らすことにつながる。  
- モラルハザードの懸念：規制当局が「今はモラルハザードを心配する時ではない」として行動を抑制すると、預金者の注意喚起機能が損なわれる。政府が繰り返し救済を示すと「次回は同じではない」と言っても信頼性がほとんどない。

### 利害関係者の影響と政治的側面
- 大規模ロビイング：救済決定は大規模なロビイングの影響を受け、ベンチャーキャピタリストらからの要請があった。ビル・アックマンやデビッド・サックスらの発言が紹介されている。  
- 利益相反の示唆：政治家の支持例としてニューサム知事に触れ、その知事とSVBとの関係が指摘されている（詳細は本文参照）。  
- 企業の政治力：SVBは米国で16番目に大きい銀行にすぎなかったものの、顧客に強力で政治的なつながりを持つベンチャーキャピタリストや企業がいたことが救済に影響したと論じられる。影響力を理解する当局は懸念を抱くべきであり、「政治的影響力に基づいたより良い指標を開発する必要がある」。

### 自由企業資本主義の脆弱性と維持条件
- 市場と政治の相互関係：自由で公正な市場には明確に定義され正しく執行される財産権が必要だが、規制は既得権益によって取り込まれやすいという矛盾。  
- 4つの必要条件（本文の列挙を保持）：
  - 第1：非常に強力な既存企業が存在してはならない。各企業の力は小さく、公平な執行者としての国家が機能することが必要。  
  - 第2：効果的な福祉制度（明示的なセーフティネット）。企業は倒産すべきだが、人々はそうではない。  
  - 第3：既存企業の力を低下させるために、国内市場を国際競争に開放し続けること。銀行業界の政治的影響力の強さは国際競争に直面していないことと関連。  
  - 第4：より広範囲の人々を説得し、自由で競争的な市場の利点とその脆弱性を理解させること。
- 比喩的理解：自由企業資本主義は決定論的進化の到達点ではなく、「既得権益という雑草による絶え間ない攻撃から守りつつ育てる必要がある繊細な植物」である。

### 現状評価と政策示唆
- 競争圧力の低下要因：2008年以降の大規模救済やパンデミック期の間接的救済により、周期的な銀行救済が不可避とみなされる風潮が強まった。  
- 保護主義の影響：システム間の競争は地政学的懸念を隠れ蓑にした旧式の保護主義によって脅かされており、同質的な国々間の貿易に偏ると競争を通じた変革圧力が低下する。  
- 有権者の認識と政治的圧力：有権者は競争の成果の不均等分配や国境を越えた競争の不公平感を抱きがちであり、これが非効率な慣行を固定化し無能な企業を温存する傾向を生む。  
- 政策的示唆（本文に基づく要点）：  
  - 予防的に企業・預金者に注意を喚起するインセンティブを維持するため、救済の常態化を避ける。  
  - 必要な場合は明示的セーフティネットを通じて人々に直接支援を提供し、政治的な救済圧力を緩和する。  
  - 国際競争の維持・促進により既存企業の立法影響力を弱める。  
  - 企業の政治力を測る新たな指標を開発し、政治的影響力の制約手段を整備する。

*ラグラム・ラジャンとルイジ・ジンガレス（シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス 教授）*

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fandd/article/2023/june/japanese/rajan.pdf_
