## 第1章  パンデミックから戦争へと移る中での財政政策

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### 戦争とインフレの影響
- ロシアのウクライナ侵攻は、パンデミック後の不確実性が継続する中で発生。
- 戦争は難民の移動、人的資本の損失、一次産品市場の混乱、インフレ加速をもたらす。  
- 食料・エネルギー価格上昇は社会不安のリスクを高める。  
- 4月10日現在で450万人以上の難民がウクライナを脱出。  
- 食料・エネルギー価格の上昇は、最も脆弱な層に対する保護の必要性を強める。  
- 中央銀行がインフレ抑制のために利上げを行う中、各国の予算制約は強まる。

### パンデミックの家計・貧困への影響
- 2021年には、（パンデミック前のトレンドと比較して）7,000万人多くの人が極度の貧困に見舞われたと推定。  
- 大規模な財政支援が実施されたところでは貧困は安定的に推移し、減少したケースも見られる。  
- 一部の先進国・新興市場国では、景気後退にもかかわらず、支援により2020年に家計所得が増加するか安定的に推移。  
- 家計貯蓄はパンデミック前の水準に比べて大幅に増加し、米国とEUを合わせた2020～2021年の増加分は3.5兆ドル。  
- 多くの発展途上国では、財政支援が家計所得の減少を防ぐのに十分ではなかった。

### 物価上昇と財政への影響
- 物価上昇率のサプライズ（実績値と予測値の差）は金融政策を通じて政府予算に重大な影響を与える。  
- 先進国と（中国を除く）新興市場国では、予想外な物価上昇率によって、2021年に公的債務の対GDP比率がそれぞれ1.8%ポイントと4.1%ポイント低下。  
- 予想外な物価上昇は短期的には名目歳入の伸びが名目歳出の伸びを上回るため赤字を縮小させうるが、その効果は通常一時的。  
- インフレ期待とインフレの変動性が高まれば、国債の魅力が薄れ、借入コストが上昇するリスクあり。

### 国別影響と債務見通し
- エネルギー・食料の純輸入国（新興市場国・低所得途上国）は国際価格上昇の打撃を受け、成長と財政が圧迫。多くはパンデミックの爪痕を抱え、財政余地がほとんどない。  
- 一部の一次産品輸出国（主に主要石油輸出国）は想定外の大幅な収入増により恩恵を受ける。  
- 公的債務の見通し（予測値）:
  - 先進国では、パンデミック関連の景気後退からの回復を反映して、2024年までに平均で対GDP比113%に低下すると予測。  
  - 新興市場国では、主に中国に牽引されて、債務は引き続き拡大し、2024年までに同72%に達すると予測。  
  - 低所得途上国では、債務は徐々に減少し、2024年までに同48%になると見込まれている。  
- 財政赤字と債務残高の見通しは、成長が期待を下回ったりインフレがサプライズを続けたりする場合に大きなリスクを伴う。

### 財政政策の指針と優先順位
- 不確実性が高く各国間の格差が大きいため、状況に適した機敏な財政政策対応が必要。  
- 戦争の影響が最も大きい経済を支援するため、財政政策は人道危機と経済の混乱に対処することが必要。  
- インフレ率と金利の上昇を踏まえた上での財政支援は、最も影響を受けた層に対象を絞り、優先分野に集中。  
- 景気が大幅に悪化する場合、財政余地がある国ではより広範な財政支援が適切となりうるが、現下の需給不均衡と物価圧力を悪化させない形で実施することが必要。  
- 中央銀行が高インフレと闘うため利上げをしている国では、パンデミック下で提供された異例の支援から正常化へ移行すべき。  
- 多くの新興市場国と低所得途上国は、インフレ上昇と国際金融環境のタイト化という厳しいトレードオフに直面しつつも、一次産品価格上昇の影響を大きく受ける国や回復が低迷している国では財政支援が必要。

### 歳出・歳入の優先付けと財政改革
- 財政改革によってトレードオフを緩和可能。健全で信頼性のある中期財政枠組みは市場期待を管理し、政府借入コストを抑制する助けとなる。  
- セーフティネットや防衛など一部分野で歳出圧力が高まっていることから、歳出の優先順位の見直しと歳入の確保が必要。

### 食料・エネルギー政策と気候対応
- 各国は食料・エネルギー価格急騰から自国経済を守る措置を講じているが、次の懸念がある:
  - 減税や補助金は国内価格の上昇を抑える一方で世界的な需給の不均衡を悪化させ、国際価格にさらなる上昇圧力をもたらす可能性。  
  - 広範囲の補助金や給付は多大な財政コストを伴う可能性。  
- より望ましい対応: 国内価格が調整する間、脆弱な世帯を対象に的を絞った時限的かつ直接的な支援を提供。これは財政圧力を抑制し、民間部門に対してエネルギーと食料の供給を拡大するインセンティブを維持する。  
- 短期的反応として、長期的かつ資本集約的な化石燃料プロジェクトへの投資は避けるべき。  
- 気候変動への対応を怠るべきではない。医療や食料、よりクリーンな資源を用いたエネルギー安全保障への投資を通じてレジリエンス向上が急務。  
- 炭素税の段階的引き上げは、最近のエネルギー市場の変動に比べればずっと小幅であり、より予見可能である。

### 国際協調の必要性
- コロナ禍・エネルギー・食料の混乱への対応、戦争難民支援、将来のパンデミック予防・準備、気候変動緩和には国際協調がこれまで以上に重要。  
- 食料輸出の制限等の一方的行動は食料危機を悪化させる恐れあり。  
- 各国が協力して肥料や小麦等の供給上の懸念に対処し、最も脆弱な人々を支援することが極めて重要。  
- 法人課税、透明性、個人課税に関する情報交換やカーボンプライシングは、必要な投資の資金供給や格差是正、租税負担の公平性の回復を可能にする。  
- 低所得途上国に対する資金・技術支援は正当化される。  
- 債務が持続不可能な場合、債務返済期限延長や再編には特別引出権（SDR）の融通にとどまらない多国間の協調アプローチが不可欠。

*国際通貨基金 | 2022年4月*

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