## 現下の動向

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### 世界経済と財政の現状
- インフレ進行と金利上昇が広がり、景気後退懸念と地政学的緊張が高まっている（2022年10月「世界経済見通し（WEO）」）。
- 高債務国を中心に財政余地が枯渇し、家計は食料・エネルギー価格上昇と格闘し、社会不安のリスクが高まっている。
- 食料・エネルギー価格はパンデミック前の水準を大きく上回っており、2022年8月の国連食糧農業機関（FAO）食料価格指数は2019年より45％高かった。

### 予算・債務の圧迫と国別傾向
- 2021年から2022年にかけて、財政赤字は先進国と新興市場国で大幅に減少したが、依然として各所得グループでパンデミック前の水準を上回っている（図ES.1）。
- 石油輸出国の多くは石油収入の増加により財政黒字を計上しているが、中国では成長減速と低い物価上昇により2022年に赤字が拡大すると予測されている。
- 低所得途上国ではパンデミック対応が限定的であったため、財政赤字の平均はほとんど変化していない。
- 2019年と比較した赤字拡大の要因は、先進国と低所得途上国では支出増、新興市場国では歳入の回復遅れ。

### 債務水準と市場圧力
- 世界全体の政府債務は、2022年に対GDP比92％になると予測されている。これは、パンデミック前の水準を9％ポイント上回る。
- 債務比率の直近の低下は、財政赤字の縮小、景気回復、インフレショックが寄与している（図ES.3）。
- 多くの新興市場国と低所得途上国は2022年にスプレッドの拡大に直面し、低所得途上国のスプレッドの中央値は過去1年間で50％超拡大した（図ES.5）。
- 債務残高が安定化しても、利払い費の対GDP比は今後数年間にわたって上昇すると見込まれる。

### 食料・エネルギー危機関連の財政負担
- 各国は価格補助金、減税、現金給付などの新規措置を導入している。大半の国で新たに発表された措置のコストがGDPの0.5％を上回っている（既存の補助金を除く）。
- 新規の食料関連措置の相対的コストが最も大きい地域は低所得途上国である（図ES.4）。

### 国際的課題
- 金利上昇により投資家が長期債に高いプレミアムを要求し、借入コストがさらに上昇する恐れがある。
- 金利上昇が中央銀行収益とそれに関連した政府への配当支払いを減少させ、歳入を圧迫するリスクがある。
- 最低所得国の約60％がすでに過剰債務に陥っているかそのリスクが高く、債務救済のための強固な共通枠組みの必要性が高まっている。

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### 財政政策の調整と優先順位付け

### 中期的枠組みとインフレ対応
- 一貫性のある中期的な政策枠組みを定義することが極めて重要である。
- 公的債務削減のためにインフレの繰り返しに頼る戦略は現実的でなく、支出圧力（賃金やサービスコスト等）を招く恐れがある。
- 多くの先進国と新興市場国で見込まれる財政赤字の削減（図ES.6）はインフレと債務脆弱性に対処する上で必要であり、財政健全化はインフレ期待のアンカリングと債務返済コスト抑制に寄与する。

### 優先度の高い政策判断
- 最優先は、すべての人が安価な食料にアクセスできることと、低所得世帯をインフレの急進から保護すること。
- 価格統制や普遍的補助金・減税は予算負担が大きく、最終的に効果がないことが多いため避けるべきである。
- 価格調整を許容しつつ、最も脆弱な層に対して的を絞った時限的な現金給付を提供することが推奨される。
- 省エネ促進や再生可能エネルギーへの民間投資促進には価格シグナルが重要である。
- 重要分野における公共投資は確保すべきであり、追加的歳入確保や公務員賃金等の支出伸びの抑制が検討されうる。

### 市場信頼と段階的引き締め
- 漸進的かつ着実な財政引き締めは政治的に困難だが、市場の信頼喪失による急激な収縮より混乱が少ない。
- 財政余地がある国では、インフレが制御されている場合に自動安定化装置が十分に機能すべきである。

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### 人々の再起を支援する政策設計

### 社会的保護と回復力強化
- 強力な社会的セーフティネット、医療や教育への公平なアクセスは、失業や収入減少からの長期的な損失を防ぐ。
- 社会的保護制度は、現金給付などを新技術で迅速に拡大できるが、対象の絞り込みと無駄な支出抑制のための準備が必要である。
- 経済のインフォーマル性削減は低所得途上国にとって重要課題であり、実現すれば危機時の保護が向上する。

### 雇用維持と企業支援
- 雇用維持制度は所得安定効果が強く、多くの場合効果的かつ的を絞った支援となる。特に一時解雇が労働生産性を下押しする状況で有用である。
- 企業に対する異例の金融支援は経済崩壊を防いだが、支援は深刻な負の外部性が明らかな危機的状況に限定すべきである。
- 直接融資や公的保証などの予算に直ちに影響しない措置は、透明性、リスクの定量化、グッド・ガバナンス、企業の存続可能性評価において民間専門性を活用して管理すべきである。

### 危機対応の仕組み化
- 保護制度が十分で信頼できる高頻度経済データがある場合、予めトリガーを条件とする対応を法律で定めることを検討しうる（例：雇用の落ち込みが続いた場合の失業保険拡充）。
- 民間部門が保険を活用して自ら強靭性を構築し、企業が労働者に新たなスキルを習得させることを奨励することで、政府介入の必要性を減らし、介入を脆弱な世帯保護に特化させることが可能となる。

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### 財政戦略と国際協調

### 財政バッファーとトレードオフ管理
- 平常時に中期財政枠組みの文脈で徐々に財政バッファーを構築し、債務持続可能性と資金調達アクセスを維持することが必要である。
- マクロ経済的トレードオフとして、インフレ圧力が大きい時は金融政策への過度な負担を避けるため、財政政策が引き締めスタンスを維持しつつ最も脆弱な層を保護することが求められる。
- バッファー構築と財政引き締めには支出優先順位付けと成長配慮の歳入確保が必要であり、低所得国にとっては開発目標と強靭性確保の両立が厳しい課題となる。

### 国際協調の役割
- 国内措置は国際協調により補完されるべきである。パンデミックでは備えとワクチン展開で国際的シナジーが確認された。
- 気候変動適応の資金調達、人道支援、緊急資金、円滑な貿易の提供などを通じて、新興市場国と発展途上国の脆弱性対応を支援する必要がある。

*出典: 要旨（英語版の図は本文参照）*

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fiscal-monitor/2022/october/japanese/execsum.pdf_
