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### 要旨（全体の概要）
- 新型コロナウイルスのパンデミック発生から3年が経過し、財政政策は正常に戻りつつある。金融政策と財政政策は、2020年に同時並行で異例の支援を提供した後、高インフレとパンデミック関連の支出措置の終了を受けて、2022年にはほぼ4分の3の国で引き締められた。
- 各国はパンデミック後の急速回復の途中で、生活費危機やロシアによるウクライナ侵攻、金融部門の不安定性に直面したが、家計と各国経済は政府の支援を受けレジリエンスを発揮した。
- 複数のショックが貧困削減の進展を後退させており、2030年までに極度の貧困を撲滅する目標の達成は持ち越しとなる見込み。発展途上国では借入コスト上昇により財政余地が不足し、SDGsに向けた前進も阻害されている。いくつかの国では為替レート下落により自国通貨建ての食料価格が高止まりしている。
- 長期的課題（気候アジェンダ、高齢化など）も緊急性が増している。

### 最近の財政動向（債務・赤字・歳入）
- 公的債務は2020年に大幅に増加し、対GDP比でほぼ100％に達したが、異例の措置の終了に伴い財政赤字は縮小している。
- 2021年から2022年にかけての名目GDPの大幅な伸びにより、世界の債務はここ70年で最も大幅な減少を記録し、2022年末には対GDP比約92％となった。しかし、依然として2019年末の水準を約8%ポイント上回っている。
- 2022年には大半の国で歳入が予想を上回り、その幅は先進国で平均対GDP比3.1％、新興市場国・発展途上国で同2.5％。石油輸出による予想外の収入増が特に大きかった。
- 名目GDPの急増により、一部の国で債務比率が1年で10％ポイント超低下したケースがある一方、外貨建て債務の割合が大きい新興市場国や低所得途上国ではインフレ、通貨安、金利上昇で債務ダイナミクスが悪化した。

### 短期的見通しとリスク（2023年）
- 2023年には利払い費の増加と、賃金や年金を含む公共支出をインフレに合わせる圧力により、財政赤字は若干拡大して平均で対GDP比5％に達すると見込まれている。
- リスクは下振れ方向。金融部門の不安定性が深刻化すれば政府支援が必要となり、公的部門のバランスシートを圧迫する可能性がある。
- 財政政策と金融政策は物価と金融の安定を確保するために緊密に連携することが重要。下振れリスクに鑑み、経済成長が予想を下回り失業率が上昇する場合の対応準備が必要であり、インフレが制御され財政余力がある場合には自動安定化装置の作動を容認すべきである。

### 中期的見通し
- 中期的には、今後数年間で財政赤字はパンデミック以前の水準を上回ったまま推移すると予測される。
- 財政見通しは長期的（潜在的）経済成長のペースと世界的な金利の将来経路に大きく左右される。
- 現在の予測では、漸進的かつ緩やかな財政引き締めでは公的債務比率の再上昇を防ぐのに十分でない可能性がある。名目GDPが減速する先進国・新興市場国の寄与による。
- 新興市場国と低所得途上国では、歳入に対する利払い費の割合が中期的にパンデミック以前の水準を上回り続ける見込み。
- 低所得途上国では39か国がすでに過剰債務に陥っているか、それに近い状態にある。これらの国は対GDP比先進国を13.5％ポイント下回る水準の歳入であり、徴税能力向上の取り組み強化が求められる。

### 政策的示唆（財政バッファーと国際協調）
- 危機は財政政策が強靭性を促進するツールであることを示したが、各国政府は財政バッファーの再構築に重点を置く必要がある。
- 各国は一貫性のあるマクロ経済政策とリスクベースの財政枠組みを策定し、長期的に債務の脆弱性を低減させるべきである。
- 国際社会は特に最も脆弱な国々に対し、債務再編と国際金融セーフティネットの拡充を含め、国際金融アーキテクチャーの強化に協力すべきである。
- 多くの低所得途上国は債務救済を含め、ソブリン債務の脆弱性に対処する国際的取り組みの強化を必要としている。
- エネルギー危機が再生可能エネルギーへの転換の緊急性を浮き彫りにしており、炭素税や補助金を含むエネルギー戦略に関する国際協調は気候目標達成と貿易摩擦回避に貢献するとされる。

### 第2章: インフレとディスインフレに財政政策が果たす役割
- 2021年以降のインフレ急騰は過去30年あまりで最も激しく、政府はインフレが家計の予算に不均等な影響を与えることを理解し政策に反映させる必要がある。
- 政府は裁量的介入に加えて、年金の物価スライド制、社会的セーフティネットの現金給付、公務員賃金、課税最低額などを用いてインフレの損失の分配を調整できる。現在の国際慣行では、年金が最も広く物価と連動している（先進国はほぼすべての国、新興市場国と開発途上国は約40％）。
- 想定外のインフレは政府の実質（インフレ調整後）債務残高を目減りさせる。債務が対GDP比で50％を超過している国では、インフレが予期せぬ形で1％ポイント上昇する毎に、公的債務が対GDP比で0.6％ポイント減少すると推定され、その影響は中期的に持続すると見られる。ただし外貨建債務が大きい国ではこの効果は薄いかほとんど見られない。
- インフレが予想されている場合は債務比率の低下と関連性が見られない。
- 財政赤字の対GDP比は、インフレ初期には低下するが時間とともに消滅する傾向がある。
- 家計に対するインフレの再配分効果は複雑で、国や所得グループ間で差がある。2021年第2四半期から2022年第2四半期の物価上昇加速について、以下の3つの経路で試算：
  - 実質賃金（賃金と年金）
  - 正味名目資産の損失
  - 所定グループが消費する主要モノ・サービスの平均より速い物価上昇（例：食品価格）
- 実証結果：実質賃金の変化が最も顕著で、国ごとの差が著しいが、所得グループごとの差は同等の相違は示さなかった。大規模な家計信用市場を持つ国では正味名目資産の損失は高齢者グループで大きかった（住宅ローン負債が多い若年層より）。
- 調査期間の3か国サンプル（フランス、メキシコ、セネガル）におけるインフレの貧困率への影響は約1％ポイントと予測される（新たな政策措置を導入する前の試算）。
- 財政支出が対GDP比で1％ポイント上昇する際のインフレ上昇率は、1950年から1985年の期間が0.8％ポイント、それ以降が0.5％ポイントである。差は中央銀行が1985年以降にインフレ上昇圧力へ力強い対応を講じていることによると考えられる。
- モデル分析では、財政赤字を削減することで同水準のディスインフレを誘導できるが、中央銀行単独よりも金利上昇幅が小さく済む。赤字縮小に最貧困層への現金給付を組み合わせると民間消費全体の落ち込みを軽減し、家計間の格差が小さい消費経路をもたらす。財政緊縮が借入れコストの上昇を抑制し債務脆弱性を低減するため、こうした措置は公的債務が高水準の場合に一層大きな効果を発揮する。

### 第2章からの教訓（政策当局者への示唆）
- 予期せぬインフレは債務比率に余裕をもたらす場合もあるが、債券保有者の予想を裏切り続ける試みは無益、あるいは有害であることが過去に証明されている。
- 自動的あるいは条件付きスライド制を見直す際、政策当局者は所得の低下から保護するプログラムとグループを判断する必要があり、インフレを持続させる過剰な調整やその他の政策を避けるべきである。公務員賃金に関する決定（物価調整に関する選択など）が民間部門の賃金設定に及ぼす影響についても慎重に評価すべきである。
- 急激なインフレを受けて新しい措置や改革を検討する時、政策当局者は様々な家計グループが既に大きな分配効果の影響を受けている可能性を勘案すべきである。
- 削減する予算項目と維持・拡充する項目の厳しい政策決定などを通じて、財政政策はインフレ抑制に取り組む金融政策を補完しながらも、生活費危機で最も苦悩する人々を保護することができる。

*国際通貨基金 | 2023年4月*

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fiscal-monitor/2023/april/japanese/execsum.pdf_
