## 財政モニター 要旨 — 気候変動の岐路 :  温暖化する世界における財政政策

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### 気候変動の現状と政策的文脈
- 地球温暖化は地球と人類の暮らしを脅かしており、2023年は観測史上最も気温の高い年になる見込みである。  
- 多くの国が2050年までに温室効果ガス排出量を正味ゼロに抑える誓約を掲げ、関連政策を実施しているが、現在発表されている政策では2015年のパリ協定が掲げる気温目標を達成できない見込みである。  
- 既存技術であっても、気温目標を達成する上で2030年までに削減すべき排出量の約90%は削減可能である。

### 歳出中心の対策が伴う財政リスク
- 多くの国は多額の債務や金利上昇、弱い成長見通しに直面している。世界の債務対GDP比は2023年から2028年の間に毎年1%ポイントずつ上昇すると予測されている。  
- 歳出措置（公共投資や補助金）に大きく依存して排出削減を図る場合、財政コストが膨張する。主要な排出国では、公的債務が対GDP比で45%から50%増大する可能性がある。  
- 気候対策を抑えると、地球温暖化の悪影響とそれに伴うマクロ経済リスクが増大する。  
- カーボンプライシングは、排出を抑えつつ歳入を生み出して債務負担を軽減する点で高い費用対効果を持つ。しかし実現可能性の面で支持が得られにくく、政策選択は「気候目標」、「財政の持続可能性」、「政策の実現可能性」というトリレンマに変わり得る。

### 適切なポリシーミックスの必要性と財政影響の見積り
- 単独の施策では十分でなく、経済効率、行政上の実用性、政策の実現可能性を踏まえたポリシーミックスが必要である。カーボンプライシングを不可欠な要素としつつ、フィーベート、グリーン補助金、規制基準などで補完すべきである。  
- 脆弱な労働者や世帯、コミュニティに対する給付措置により、エネルギー価格上昇に伴う懸念に対処し、カーボンプライシングに伴う政治的ハードルを下げられる。  
- カーボンプライシング計画を実施中でさらなる引き上げを必要とする約50か国、および導入を検討中の23か国にとって有用なアプローチである。  
- 財政コストは歳入政策と歳出政策の組み合わせで異なる。分析では、既に成立した歳入措置と歳出措置を適切に組み合わせて優先付けることが、必要な排出削減の財政コストを抑える。  
- 参考シナリオの下で、先進国の公的債務は2050年までに対GDP比で10%から15%増加すると見積もられている。これは基礎的財政赤字が2050年まで平均で毎年対GDP比0.4%ポイント増加するに等しい。  
- カーボンプライシングの行動が1年遅れる毎に、公的債務が対GDP比で年間0.8%から2.0%増大すると推計される。

### 新興市場国と発展途上国への影響
- 新興市場国は世界の排出量の大部分を占めている。気候対策パッケージによる債務の増加幅は先進国と同程度であり、2050年までに対GDP比で約15%増加する見込みである。  
- 債務見通しは、投資と補助金、家計への補償、財政余地、化石燃料依存度の違いを反映し不確実性が高い。  
- 緩和の投資ニーズが高いこと、見込まれる炭素収入が大きいこと、借入コストが高いことから、債務影響の内訳は先進国と著しく異なる。多額の債務や金利上昇に苦しむ国々にとって、債務の増加は特に深刻である。  
- 調査は、知識移転や定評ある低炭素技術の普及、歳出の効率化、歳入動員、民間資金の役割、外部金融支援の必要性を裏付けている。IMFは「強靭性・持続可能性トラスト」による長期融資を提供することで支援できる。

### 企業の役割と政策的支援
- 企業は脱炭素化において極めて重要であり、政府は低炭素への移行を促す改革を推進すべきである。  
- 企業に排出量目標の設定や監視を義務付ける規制は、企業が低炭素技術へより多く投資することを促す傾向がある。  
- 2022年のエネルギー価格ショックでは、企業がエネルギー効率化投資を行い、エネルギー消費削減を達成した事例がある。これは規制、インセンティブ、カーボンプライシングが企業の脱炭素化を加速し得ることを示す。  
- 税額控除や補助金といった財政的インセンティブは企業の低炭素投資を促進できるが、政策の範囲、対象、適格基準を明確に伝えることが重要である。企業の一部は政府支援がなくとも投資するため、対象を絞れば財政コストを最小化できる。  
- グリーン補助金は、意図せず貿易の歪みを引き起こしたり各国間で補助金レースを招いたりしないよう、世界貿易機関のルールと整合性を取るべきである。

### 総括的見解
- 気候変動は国際的課題であり、一国のみで解決することは不可能である。政策当局はあらゆる方面で取り組みを加速・連携させ、持続可能で強靭な世界を未来の世代へ引き継ぐ必要がある。

*国際通貨基金 | 2023年10月*

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