## 第1章要旨

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### 概要
- 世界経済に対する経済・金融の見通しは安定化しつつあるが、財政政策正常化の取り組みにおいて当局は新たな課題に直面しており、依然、多額の債務と赤字という傷跡に対処している。
- 2021年から2022年にかけては財政赤字と公的債務の水準が一時的に低下したが、2023年には財政総額が増加に転じ、政策正常化に向けた進展が止まった。
- 中期的な成長見通しが鈍化し実質金利が高い水準にある中で、持続可能な公共財政を確保し、財政バッファーを再構築するには堅固な財政再建の取り組みが求められる。
- 財政引き締めは、景気が過熱している国や地域ではディスインフレーションの「最後の1マイル」を支える。

### 財政状況の現状とリスク
- 新型コロナウィルスのパンデミック以降、財政赤字と債務はパンデミック以前の予測を上回っている。
- 金利上昇により利払い費が増加している一方で、パンデミックやエネルギー価格のショック対応として実施された支援策の延長により、社会給付や補助金、給付金への支出がかさんでいる。
- 多くの国が新たな財政イニシアティブを導入しており、税金や社会保障負担を削減する一方、賃上げ法案や社会給付、産業政策措置を通じて支出を増やしている。
- 大半の低所得発展途上国にとって資金調達手段が依然として乏しく、財政収支の推移に影響している。
- インフレの沈静化に伴い、これまでのインフレによる税収増で相殺されたのはこうしたイニシアティブの一部に過ぎない。

### 選挙イヤーの影響
- 2024年には、全体の基礎的財政赤字が対GDP比4.9％まで縮小する見込みである一方、公共財政に対する相当なリスクが残る。
- 今年は世界の人口とGDPの半分以上を占める88の国または経済圏で既に選挙が実施されたか、年末までに実施される。
- 過去数十年間、政治的志向に関係なく政府支出増加に対する支持が高まっており、選挙の年には財政政策が緩和的になり、財政目標から大幅に逸脱する傾向があることが経験的証拠で示されている。

### マクロリスク（インフレ・金利・国際要因）
- インフレは緩和傾向にあるが、インフレ目標に向けた低下局面の最後の1マイルのペースは不透明である。
- 金融環境はインフレ見通しのほか、経済大国の金利や財政政策の動向に敏感である。
- 金融政策の引き締めに加え、緩和的な財政政策や債務水準の上昇が寄与して米国の長期国債利回りが上昇し、そのボラティリティも高まっている。
- 中国における成長鈍化と金融不安は世界の成長と貿易を圧迫しかねず、貿易や投資で中国と強いつながりを持つ国に対して財政上の課題を突きつけている。
- 多くの国では債務の借り換えリスクも依然として高い。

### 中期見通し
- 現在の諸政策の下では財政総額の改善は緩やかであり、中期的には赤字と債務がパンデミック前の予想を上回り続ける見通しである。
- 世界の公的債務は、2029年までに対GDP比99％に迫ると予測される。
- 公的債務が過去最高水準を超えて増加し続ける見込みの中国と米国が、その要因となる。
- 人口動態やグリーンへの移行をはじめとする構造的課題への支出圧力が強まる一方で、成長の鈍化と金利高止まりにより大部分の国や地域で財政余地がさらに縮小する公算が大きい。

### 政策提言
- 大半の国は、財政を健全化して、債務持続性や金融安定性を強化する必要がある。
- 財政再建のペースは財政リスクと民間需要の強さのバランスを取るよう調整すべきだが、多くの場合は早い段階でのアクションが必要である。特にソブリンリスクが高まっていて、信頼できる中期的枠組みが不足している場合には早期対応が重要である。
- 危機の時期の支援策は直ちに終了すべきであり、政治的予算循環や支出を一段と増やそうとする動きには抗うべきである。
- 支出圧力の高まりを抑えるためには改革が必要であり、例として以下が挙げられる：
  - 先進国における給付金制度改革（人口高齢化への対応）
  - 最も脆弱な層を支援する社会的セーフティネットの対象特定および効率の改善
- 適切に設計された財政政策の組み合わせにより、波及効果が最も大きなセクターにおけるイノベーションを支え、基礎研究に対する公的資金投入に重点を置くことで、テクノロジー分野の最先端にある国々の長期的経済成長を後押ししうる。
- 中長期的には、税収が支出に見合うようにする必要がある。新興市場国と発展途上国では、税制の改良、課税ベースの拡大、組織能力の向上により税収増を図る余地が大きい。

### 国際協調と制度的対応
- より強力な国際協調が求められる。G20の共通枠組みや国際金融セーフティネットの改良などを通じて世界の債務再編構造をより迅速に改善することで、経済的に最も脆弱で債務ストレス下にある国々が債務持続性を取り戻すことを支援しうる。
- グローバル・ソブリン債務ラウンドテーブルなどを通じて専門的な課題への関与を継続することが重要である。
- 財政と債務の透明性を高める取り組みは、債務再編のプロセスを促進するだろう。
- 法人課税やカーボンプライシングに関して国際協力を図ることにより、共通の懸念に対処するためのリソースが動員され必要な投資が促されるはずである。

*出典: 財政モニター 2024年4月 第1章要旨*

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