## 国際金融安定性報告書(GFSR) 市場アップデート 2010 年1 月

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### 概要と全体所見
- 経済ファンダメンタルズの改善と大規模な公的支援の継続を背景に、金融システムのリスクは沈静化していると報告されている（2010 年1 月）。
- ただし、多くの先進国と一部の大きな打撃を受けた新興市場国では、金融の安定性は依然として強固とは言えない。
- 公的支援の副作用として、国のバランス・シートへのリスク転嫁と公的債務残高の増加が認められ、これが出口戦略を複雑化させている。
- 一部の新興市場国では資本流入による資産価格上昇と為替上昇圧力が懸念されている。
- 最終目的は「異例の公的介入から脱却し、より安定的で持続的経済成長を支えるダイナミックな金融システムへ移行すること」である。

### 銀行と与信
- 最重要課題は銀行システムの健全性回復と与信市場全般の改善である。
- 損失の吸収は進捗しており、資本増強も進んでいる。IMFは先進国銀行部門の損失総額の再推計を2010年4月のGFSRで行う予定としている。
- バーゼルの新自己資本規制のもとで経済成長に必要な信用供与を維持するためには、今後もかなりの規模の追加的増資が必要となる可能性がある。
- 商業不動産向けエキスポージャーにかかる与信ロスは今後大幅な増加を示すと見込まれている（図2 を参照）。
- 2009年10月のGFSRでも指摘されたように、2011年から2013年にかけて償還の大きな瘤があり、満期集中が将来の資金調達リスクを高める可能性がある。
- 中央銀行による流動性供給プログラムや政府保証の停止が与える影響は当面の懸念であり、これらに依存する弱い銀行への対応策が必要である。
- 先進国における銀行与信の伸びは回復しておらず、米国とユーロ圏では貸出態度は依然として厳格化の方向にある（図3 を参照）。
- 非銀行部門による社債発行等の資金調達は拡大しているが、銀行融資の縮小を完全に補う規模ではない。
- 償却の増加、資本・資金調達面の圧力、与信伸びの低さが銀行収益性に悪影響を与える恐れがあり、より大胆な銀行リストラと資本バッファーの積み上げが必要とされる。

### 新興市場国への資本流入
- 銀行資金の流入は回復していないが、ポートフォリオ投資資金の流入回復により新興市場の資産価格が反騰している（図4 を参照）。
- 株価の回復が特に顕著であり、不動産価格も回復している。これらの資本流入は資産価格バブルや為替増価圧力への懸念を招いている。
- 流入の初期はプッシュ要因（リスク選好の復活と先進国の低金利）であったが、その後の持続はプル要因（アジアと中南米の成長見通しの好転と為替上昇期待）に支えられている。
- 資産価格上昇は広範かつ過剰とは言えないが、一部の国ではかなりの上昇圧力が観察される。
- 中国を除けば新興国の与信伸びは明確な回復を示しておらず（図5 を参照）、資産価格上昇がレバレッジ増大によるものではないことを示唆している。
- 景気回復が定着するにつれ、資本流入に伴う流動性増大が過度の与信膨張と持続不可能な資産価格上昇に繋がる恐れがあり、当局は無防備でいるべきではない。

### プレッシャーにさらされる国家信用
- 先進国の財政安定性が市場の注目点となっており、財政持続可能性への懸念と政治的不確実性の下で英国と日本のCDSスプレッドが拡大している（図6 を参照）。
- ギリシャをはじめとする複数の欧州諸国は格付け引下げや財政赤字・財政健全化策の不確実性により強いプレッシャーにさらされている（図7 を参照）。
- 予測では、公的債務の純供給は長期的平均に比べ今後二、三年は大幅に増加する見込みである。
- 想定されるリスクシナリオ：
  - 最小リスク：公的債務の発行増が民間への信用供与をクラウドアウトし、民間貸出金利が上昇して景気を鈍らせる。
  - より重大なリスク：公的債務にかかる金利の急上昇によりイールド・カーブがスティープ化し、国債価格下落を通じ金融機関に悪影響を与える。
  - 最深刻なリスク：一部国債への投資家信認が大幅に低下し、経済成長と信用が損なわれる。直接的な信認低下は特定国に限られるかもしれないが、波及リスクもある。

### 政策の優先課題
- 出口戦略の時期、ペース、順序に関しては極めて繊細なバランスが必要である。財政・金融政策間のバランスや財政赤字と債務削減の中期戦略の発動時期が重要である。
- 支援策の早すぎる解除は金融不安定化の再発リスクを招く（景気回復が遅く金融システムが脆弱な国の場合）。
- 支援策の遅すぎる解除はインフレ圧力を高め、将来の危機の原因となり得る（金融緩和が行き過ぎ景気過熱が懸念される国の場合）。
- 短期的優先課題：金融安定性の確保。銀行のバランス・シート健全化、円滑な資金繰りの確保、弱い銀行のリストラを継続する。
- 新興市場での優先課題：資本流入に対して、為替レートの弾力化を含む適切なマクロ政策とプルデンシャル政策で対応すること。
- 中期的優先課題：金融安定性の確立を通じ、信頼性ある財政健全化で公的部門のリスクを低減し、民間金融活動のリスクは新たな規制枠組みで管理すること。

### 明日の金融システム（改革の方向性）
- 出口後の新たな金融システムは「より安全」であると同時に「持続的な経済成長を支えるダイナミックで革新的」なものでなければならない。
- 金融規制の不確実性は金融機関のビジネス戦略と信用供与拡大を阻害するコストを伴うが、十分な評価なく拙速に規制導入することもリスクがある。
- 新たな金融規制は国際的にできるだけ統一的に実施されることが極めて重要である。競争条件の不公平や規制の「いいとこ取り」を許すと金融システムの安定が脅かされる。
- 金融規制改革の成功には、ミクロの銀行監督規制とマクロ・プルーデンス政策が相互に補完し合う仕組みの構築が必要である。これにより、貯蓄主体から借入主体への資金の流れを仲介するという金融システム本来の役割を果たしうる。

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