## 2012年1月市場アップデート：国際金融情勢は危険水域奥深くに

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### 概要と現状認識
- 国際金融安定性は、前回の国際金融安定性報告書（GFSR）公表時に比べて高まっている。  
- 欧州当局は中期的な問題解決に向けた政策を提示し、市場心理の部分的改善に寄与しているが、国債の円滑な消化回復には至っておらず下振れリスクが残っている。  
- 銀行が資金繰り悪化から資産圧縮に動くと、ユーロ圏での実体経済悪化と金融・経済の悪循環を引き起こす恐れがある。

### ユーロ圏の国債市場と銀行システムのストレス
- 周縁国の国債利回りが急上昇し、2011年の第4四半期には利回り曲線が逆イールドとなった。  
- 2011年末にはユーロ圏国債残高の三分の二に当たる国債について、CDS（クレジット・デフォルト・スワップ）のスプレッドが200ベーシスを上回るようになった。  
- 国債市場の混乱は銀行の資金調達市場にも波及し、一部資金調達市場が機能不全に陥り、期間構成が月単位→週単位→日単位へと短縮化した。  
- 米国のマネー・マーケット・ファンド（MMF）はユーロ圏銀行発行証券の保有を大幅に減少させ、これにより多くのユーロ圏銀行はドル建て資産の売却を余儀なくされた。  
- 多くの市場で資金調達コストはリーマンショック時を上回っている。結果として銀行からの中小企業や家計向け貸出が厳しくなり、信用リスクが上昇している。  
- 一部銀行はバランスシートの大幅縮小計画を公表しており、ユーロ圏、米国、他の先進国および新興国で資産処分が行われれば、貿易金融、プロジェクト・ファイナンス、市場間裁定取引等に広範な影響が及ぶ可能性がある。

### これまでの政策対応
- 10月と12月の欧州首脳会議で、経済ガバナンス強化と成長促進構造政策、銀行資本・資金面の支援、ギリシャに対する民間部門の任意債務交換、EFSFの機能強化、ESMの前倒し発足等について合意が得られた。  
- 各国でイタリアやスペインの政権交代を通じ、財政赤字削減や債務/GDP比の中期的改善、構造的硬直性への対応などが公表された。  
- ECBは預金準備率引下げ、適格担保対象拡大、3年満期のリファイナンス・オペ（LTRO）導入など大胆な施策を実施し、銀行の資金繰り改善を図った。米連銀を含む中央銀行6行はドルのスワップ取極の適用金利を引き下げた。これらは市場心理と資金調達環境の好転に寄与し、特に3年満期LTROの効果は大きい。  
- ただし、国債市場の本質的安定回復には至っていない。

### 支援能力と資金面の制約
- EFSFは流通市場にも関与可能となったが、支援可能な資金は既存コミットメント差引きで約3,000億ユーロにとどまる。  
- 通常想定される程度のレバレッジでは、最悪ケースでのスプレッド拡大を阻止するには不十分である可能性が強い。最近のEFSF債のスプレッド拡大とS&PによるEFSFトリプルA格付け引下げは資金調達にマイナス圧力を及ぼしている。

### 銀行資本・バランスシート調整に関する評価
- 欧州銀行監督機構（EBA）は銀行の自己資本比率引上げを促す政策を導入した。  
- EBAの試算では、コア・ティア1比率を9％に引き上げるためには、（ギリシャ銀行部門に必要な300億ユーロとは別に）さらに850億ユーロの資本増強が必要である。  
- 銀行の資産圧縮は「良い」圧縮と「悪い」圧縮に分かれ得る。良い圧縮は不良債権処分や非核心事業売却などで資金供給を損なわない場合があるが、貸出回収に見合う新規貸出を行わない圧縮は実体経済への信用供与を大きく縮小させる。

### 米国および新興市場への波及リスク
- 欧米間の強い金融・貿易連関を通じ、欧州ショックは米国へ波及する可能性がある（米銀の対欧与信、欧州銀行による米資産売却、欧州主体の資産処分によるCMBS・ABS市場の軟化等）。  
- 2011年央以降、ユーロのインターバンク金利上昇に伴いドル金利も上昇した例がある。  
- 米国内発のリスクも存在し、米国は政治的停滞を乗り越え財政合意を形成する必要がある。住宅金融部門の問題は未解決で、個人消費回復の重荷になっている。  
- 欧州からの影響は、欧州進出の深い欧州新興国に甚大な影響を与える可能性がある。2009年の欧州新興国の深刻な景気後退は西欧銀行からの資金流入の突然の途絶が主因であった。  
- 欧州以外の新興国も影響を受け得る。新興国のマクロ経済見通しは全般的に悪化しており、欧州の状況次第でさらに下方リスクにさらされる。  
- 波及経路としては（1）与信チャンネル：貿易金融や対外貸付・支店貸出の縮小、（2）資産市場チャネル：外為、債券、株式市場での資金流出・流動性低下・価格下落が挙げられる。  
- 欧州の銀行はアジアにおける資産残高シェアは約5％だが、貿易金融とプロジェクト・ファイナンス分野では約30％のシェアを有している。

### 政策上の勧告（包括的対策の要点）
- 欧州当局は信認回復のための包括的施策を直ちに実施すべきである。適切なマクロ・金融政策の遂行に加え、10月と12月の首脳会議で合意された事項の実現に鋭意取り組むべきである。  
- 補足的に以下を実現すべきである：
  - 十分規模で信頼に足るファイアウォールを構築すること。改革を継続する国に対して投資家が戻るまでの間、無理のないコストで外部資金調達を確保することが決定的に重要である。EFSF/ESMの規模と機能を早急に強化することが極めて望ましい。強化されない限り、国債市場と銀行の資金調達市場の安定維持にはECBによる大量の流動性供給が不可欠となる。  
  - 「マクロプルーデンスを担当する門番」の役割を果たす仕組みを整備し、銀行の資産圧縮計画が経済活動を支える資金供給と齟齬を来さず、資産価格の連鎖的下落を防ぐ監視機能を与えること。EUではEBA、ESRB、各国監督当局及び個別銀行が協力してこの役割を果たすことが想定される。ウィーン・イニシアティブがその例である。  
  - EBAの勧告に沿った自己資本比率の充実を確実に達成すること。可能な限り与信削減ではなく資本増強で達成すべきであり、自己資本の絶対額目標を要求する対応が既に始まっている。民間資金による資本増強を促す一方で、必要に応じ公的資金による補完的手段を用意すること（厳しい条件付）。欧州レベルで銀行に直接出資する機能を持つ組織も必要である。ECBのLTROを補完するユーロ圏全体での銀行保証の仕組み導入も検討すべきである。極めて脆弱な銀行にはリストラ、資本注入、清算が必要となる場合がある。  
  - 財政調整は中期的信頼確保のため必須だが、成長への短期的影響を勘案して規模とテンポを決定すべきである。景気の予想外の減速が生じた場合、財政の自動安定化機能を妨げるべきではない。米国では一時的財政刺激策の終了時期を迎える措置を延長すべきである。金融政策は十分緩和的スタンスを維持する。構造政策は成長促進的施策に特化すべきである。  
  - 新興国は資金市場や貸出市場混乱時の対応策を準備し、発動の余地がある場合には景気刺激策の採用を検討してよい。多くの新興国は多額の対外準備を蓄積しており、外的流動性ショックに対応可能である。ただし政策発動に際して金融的歪みを生じさせないよう留意すべきである。

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fmu/0112j.pdf_
