## 国際金融安定性報告書（GFSR）市場アップデート（2009年7月）

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### 概要
- 空前の政策措置によりシステム崩壊のリスクは遠のき、金融状況は好転しているが、脆弱性は依然残存している（国際金融安定性報告書（GFSR）2009年7月）。
- 金融セクターは大規模な公的支援に依存しており、民間部門から公的部門への未曾有のリスク移転が生じている。
- 2009年4月のGFSRで指摘した主要リスク（(i)先進国銀行部門の弱さ、(ii)エマージング諸国への資本流入の減少・停止、(iii)公的バランスシート負担の上昇による国債金利の上昇とクラウド・アウト）は前進が見られるものの懸念は続く。

### 金融システムの現状
- 中央銀行・政府の政策で銀行財務は安定化し、資金調達逼迫は改善、取引先信用リスクへの不安は緩和された。
- インターバンク貸付市場やマーケットは動き始めたが、いずれも大規模な公的支援に依存している。
- LIBOR-OISスプレッドやCDSスプレッドは低下しており、流動性・カウンターパーティー・リスク不安は軽減された。
- とはいえ、先進国の対民間部門向け銀行与信の伸びは低下を続けている。証券化市場は公的支援がない場面では機能しておらず、低格付けの借手は資本市場からの調達がほとんど閉ざされている。
- 深刻な景気後退リスクは協調的な財政金融刺激策により低下（「２００９年７月の改訂世界経済見通し」を参照）。これによりリスク選好は若干回復し、ボラティリティーは低下しているが信用リスクは依然高水準。

### 銀行のバランスシートの課題
- 広範な銀行危機のリスクは遠のいたが、融資にかかる償却（損失）は今後も続くと予想される。
- 米国では予想を上回る利益計上、良好なストレス・テスト結果、米政府の大規模19行支援公約、銀行自身の増資により信認は改善。
- 欧州のユニバーサル・バンクも収益改善と資本増強の恩恵を受けるが、損失率は上昇を続けると予想される。
- 世界的景気後退が長期化・深刻化すれば不良資産損失が更に嵩み、銀行経営を圧迫する危険がある。
- 政策的助言（要点）：
  - ストレステストと、それに伴う明確な資本不足対応は銀行バランスシート回復に有効。
  - 自己資本不足だが存続可能な銀行は自己資本比率向上の行動計画提出を義務付けるべき。
  - 短期で資本増強が困難な存続可能な銀行には適切な条件付きの一時的公的資本注入を行うことが適当。
  - 公的資本注入後は銀行の一部売却ないし清算を含めたリストラを実施する必要がある場合がある。
  - 存続不可能とみなされる銀行は可能な限り早期に処理すべきである。
  - こうした確固たる対応と透明性が銀行部門に対する信認回復に寄与する。

### 社債・証券化市場と銀行与信
- 社債市場は正常化しつつあり、特に米国など非銀行の市場性資金調達依存度が高い国にとって重要な進展。
- スプレッドは大幅に低下、発行額も増加。高利回り債の発行増加は相対的に高格付けに限定され、スプレッドは歴史的に大きい水準にとどまる。
- しかし銀行貸出は依然抑制されている。レバレッジ解消圧力が続き、総与信の伸びは低下を継続。
- 証券化商品は政府支援や中央銀行貸出の直接対象となるもの以外は市場機能が乏しい。

### エマージング・マーケットの状況と脆弱性
- エマージング資産の反転は一次産品市況回復と成長期待、特にアジアの成長期待回復に支えられている。
- エマージング株式は2月末の底から30-60％上昇。EMBIグローバル指数のソブリン・スプレッドは10月のピーク時比で半減。
- しかし世界経済成長期待の低下や国際的銀行貸出の制約が、将来の見通しを悪化させる恐れがある。
- 銀行は国内融資より対外融資をより大きく削減しており、国際的なレバレッジ解消は金融のグローバル化の逆転につながっている。
- 欧州のエマージング諸国及びCIS諸国は資金流入減少の影響が特に大きく、他地域ほどの相場反発が見られない。
- エマージング諸国の民間企業は債務ロールオーバーの必要性が高く、代替資金調達源が乏しいため大きなリスクに直面。

### 国債市場の懸念
- 世界的に国債のイールドカーブは立ち上がってきている。短期は低位にとどまる一方、景気回復期待やデフレ懸念解消を反映して長期金利が上昇している。
- 多くの先進国で債務残高は大幅に上昇すると予想されている。
- 金利から逆算されるソブリン・CDSスプレッドが危機前に比べ高水準に留まる背景には、債務の持続可能性への懸念の高まりがある可能性。

### 今後のリスク
- 空前の政策対応により大規模な破綻可能性は減少し、信認回復の一助となったが、改善は脆弱で逆転のリスクが残る。
- 市場の好転は広範な公的支援に依存しているため、幅広い市場の再生が進まなければ効率的な金融仲介機能は復活しない。
- レバレッジ解消が必要以上に大きくなると経済回復を阻害しうる。資産価格が実体経済の改善を大きく追い越すと反動で市場状況が悪化する恐れがある。
- 資産価格の大幅な反落は金融機関の信認を毀損し、極端な例外的リスク（テール・リスク）が顕在化する懸念がある。
- エマージング市場は先進国からの波及で資本流入の減少・停止にさらされるリスク、民間企業はロールオーバーと代替資金不足のため特に危険にさらされる。
- 一部エマージング市場での局所的問題は適切対応がなければ他に飛び火する恐れ。

### 国際的に整合的な出口戦略の必要性
- すべての公的支援措置を撤回し始める時期には未だないが、慎重に検討された協調的な出口戦略の導入が重要。
- 出口戦略の基本目標は物価安定、市場原理に基づく健全な金融市場、持続可能な財政である。
- 各国は通貨、金融、財政政策面の出口戦略を相互に調整する必要がある。
- 中央銀行は市場を混乱させずに流動性を適時引き揚げるための多様で効果的な政策手段を整備すべきである。
- 中央銀行のバランスシート上に蓄積した資産を政府に移転して浄化するなど、擬似財政的施策による対応が必要になる可能性がある。
- 異例の公的支援は信認が回復するに応じて満期到来による自然消滅や秩序ある廃止で段階的に引き揚げるべきである。
- 出口戦略実現にあたっては規制の差を悪用した裁定や望ましくない資金フローの発生を避けるため各国間の政策整合性に留意することが重要。
- 政治的圧力で施策の早期撤回や遅延が生じることが予想されるが、上記の点から圧力に屈してはならない。

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fmu/0709j.pdf_
