## 財政リスクの顕在化に伴い金融安定性が後退

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### 世界的な金融・資本市場の動向
- 世界経済は回復軌道を保っているが、金融安定化への動きは4月末から5月初めにかけて後退した。  
- 安全資産（米国債、独国債、金）の価格は上昇、先進国・新興市場の株式など比較的リスクの高い資産は下落し、年初来の上昇分はほぼ失われた。  
- 商品価格も昨秋のレベルまで低下。ボラティリティは最近多少低下しているが、今回の修正局面以前に比べればなお高水準である。  
- 指標: Composite Volatility Index（1/1/2009 = 100）

### ソブリン（財政）リスクの深刻化
- ユーロ圏の一部でソブリンリスクが顕在化し、投資家は域内国債のリスクを見直し始めた。これによりユーロ圏諸国は確実な財政再建計画と経済ガバナンス強化が必要。  
- 欧州金融安定取極（EFSF）とECBの債券買入プログラムの公表で極端な市場圧力は幾分緩和されたが、介入効果は薄れつつあり当該債券の流動性は乏しい。  
- 影響の動向（図示内容より）: ギリシャ、ポルトガル、アイルランドの対ドイツ国債スプレッドは低下したが、スペインとイタリア国債のスプレッドは上昇を続けている。ベルギー、オーストリア、フランス国債との乖離も出始めている。  
- 借換（ロールオーバー）負担:
  - ユーロ圏の一部国では、本年第3, 第4四半期で総額約3000億ユーロに及ぶ借換債の発行が必要とされる。  
  - さらに米、英、日および他のユーロ圏諸国でも同時期に計4兆ドルトに及ぶ借換需要が見込まれ、これらと競合しての発行となる。  
- ECBの買入累計（注記）: ECBはこれまでで流通市場から純額ベースで約590億ユーロを購入している。

### 銀行部門への波及と市場機能の劣化
- 銀行が国債を多く保有していることから、ソブリンリスクの上昇は銀行の信用コストに直接波及。欧州の銀行CDSスプレッドと当該国のソブリンCDSスプレッドとの連動が高まっている。  
- 銀行のCDSスプレッドは英、米、ユーロ圏で拡大。背景には過去3年のバランスシート調整が不十分で、ユーロ圏で特に作業が進んでいない点がある。  
- 銀行間市場の機能悪化:
  - 銀行間与信に対する慎重姿勢が再燃、特にユーロ圏国の銀行に対する与信は消極的。  
  - LIBOR－OISスプレッド（長期）は再び拡大している。  
  - ECBと米FRBは流動性供給オペの弾力化を図り、ECBはギリシャ国債を担保除外とし一部長期オペを再開、FRBは外貨スワップラインを復活させた。  
  - それにもかかわらずユーロ圏の銀行は資金を貯め込み、ECBへの預金の積み上げを続けている（ECB流動性オペ累計の図示を参照）。

- 債券・償還圧力: 銀行は過去発行債の償還が今後二、三年に集中しており、ユーロ圏銀行で顕著（金融機関債の発行需要は低下）。

### 実体経済への波及リスク（回復への懸念）
- 現時点で影響は主に金融面に限定されているが、実体経済への波及懸念が急速に高まっている。2010年7月の改訂世界経済見通しでも景気回復失速の懸念が示されている。  
- 銀行の資金調達問題によりレバレッジ解消が加速すると貸出が抑制され得る。ユーロ圏の貸出伸びは最近対前年比かろうじてプラスで安定化しているが、先行きは不透明。  
- 市場の混乱と信用スプレッド拡大で5月に事業債発行が激減。6月に増加したものの欧州企業の発行は依然低調で、企業の資金調達に悪影響が出るおそれがある。  

### 新興市場国への影響
- 新興市場国もユーロ圏リスク上昇の影響を受け、ポートフォリオ投資の流入増が一部反転し資産価格が低下。5月には新興国の国債・社債・株式の発行は急停滞。  
- 地域差あり: アジアの発行規模はさほど急激には落ち込んでいない。  
- 先進欧州との結びつきが強い新興欧州は影響が強く、ルーマニア、ハンガリー等の株式市場は大きな影響を受けている。欧州先進国の銀行が対外貸出を縮小すれば新興国で信用収縮が再燃する可能性。  
- アジア不動産市場の加熱懸念は金融監督措置の浸透で薄れつつあり、不動産取引量（額）は落ち着きを見せ、新規融資に占める不動産融資割合も低下している（図11）。

### 為替リスク
- ユーロの下落は成長鈍化の一部を相殺するが、ソブリン信用、銀行部門、マクロ経済リスクが同時に現れると為替の無秩序な調整リスクが高まる。ユーロの実効レートは中期的ファンダメンタルに近づきつつあるが、ボラティリティは上昇。

### 優先すべき政策課題（推奨される政策対応）
- 根本対処: ソブリンリスクの問題に対処し、特に圧力を受けるユーロ圏諸国は財政赤字の確実な削減とより適確な国債管理政策の確立が必要。  
  - 財政再建は緊急措置だけでなく中期的な財政再建策の一環として実施すること。  
  - 財政計画は信用に足るものでなければならず、公表と同時に潜在成長力強化に向けた構造政策を明らかにすることが求められる。

- 金融面での具体的対応（箇条列挙は原文順を維持）:
  - 4,400億ユーロ規模の欧州金融安定取極を完全に活用可能なように整備する。  
  - 国債流通市場におけるECBの流動性支援を継続する。市場機能がさらに低下する事態を防ぐために必要なら購入額の拡大も辞さないとの決意を中央銀行が有していることを示す。  
  - 欧州の銀行のストレス・テストを透明かつ信用される形で推進する。対象銀行の大幅な拡大、個別銀行ごとの結果公表、資本不足に陥っている銀行をどう扱うかの具体的枠組み提示が重要。報告・開示基準の改善（特に非上場・四半期財務諸表未公開の銀行）も必要。  
  - 内容が劣化した銀行への有効な対応を実施する。銀行の清算、リストラ、資本増強の包括的枠組みを活用し、国境を越えた仕組みも必要に応じ適用する。

- 規制改革と監督:
  - 資本の質と量の強化、流動性向上に関する結論を早急に得て導入スケジュールを確立する。改革の詳細と導入時期を明確にし、金融機関の経営状況と景気回復を勘案したタイミングとする。  
  - 監督の強化は最重要。監督原則の遵守で各国間の規制差異の悪用を防ぐ。

- 新興国向け助言:
  - 資本流入の変動激化に備え、マクロ経済政策と金融監督政策の充実、金融インフラ改善、金融システム発展を目的とした構造政策を強化する。

- 不適切対応の回避:
  - 単独での単発的取引停止措置等はリスクを他市場や他国へ移転するだけであり回避すべき。市場の不安を増幅する政策変更の断続は避ける。

まとめ:
- 国際金融システムの安定性は改善してきたが、ユーロ圏の財政・銀行の複合危機により再び不安が高まっており、協調した政策対応の継続強化が不可欠である。ユーロ圏当局の決定の迅速かつ効果的な実施、金融機関の安定化のための即応的措置が金融市場の沈静化と経済回復の鍵となる。

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