## 極度の金融リスク：今や行動の時

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### 概況・市場動向
- 公表: ワシントン2012年7月16日午前9時30分（米国東部標準時）。  
- IMFの「国際金融安定性報告書（GFSR）」2012年4月公表時点より金融不安定化のリスクは高まっていると指摘されている。  
- 投資家の撤退により南欧諸国の国債利回りは急騰し、欧州周縁国では信用力低下リスクが高まっている。  
- 2011年末に欧州当局が行った措置とECBの3年ものLTROにより一時的に流動性は改善し資産価格は反発したが、回復は短命に終わった。  
- 2012年5月以降、政治的不安定（例: ギリシャの総選挙後の不安）とスペイン銀行システムへの懸念によりリスク回避姿勢が急速に強まった。  
- 2012年5–6月にかけて金融市場のストレス指標は2011年11月の最悪期のレベルに戻り、一部でそれを超えた。主要株式市場と外為市場のボラティリティは2012年の最高値を更新。  
- 安全資産への逃避で米国、ドイツ、スイスの国債利回りは急低下。米ドルは他の主要通貨に対して20ヶ月ぶりの高値を記録。日本国債利回りは歴史的低水準に近づき円高が進行。  
- 新興国では為替下落が顕著で、ブラジルやインドの通貨は3ヶ月もしないうちに15から25％も下落した。  

### ユーロ圏の銀行と資金市場のストレス
- 多くのユーロ圏周縁国の銀行や企業の資金繰りは悪化。銀行間市場は極めてタイトで無担保の期限もの取引はほとんど成立していない。  
- 中核国の銀行が流動性をため込み、ユーロ圏の国際ホールセール市場は消失。預金流出が続き周縁国の銀行はECBの流動性支援に依存。  
- 資産圧縮は2011年第4四半期の大幅縮小の後、2012年第1四半期でも継続。ギリシャ、スペイン、ポルトガル、アイルランドでは貸出は縮小、一方中核国では安定。  
- 格付け動向: ムーディーズが資本市場業務のウエートが高い欧米主要15行の格付けを引き下げた。S&Pも2011年11月に類似の見直しを公表。格下げの背景には資金調達上の課題や規制強化による長期収益力の低下の懸念がある。  
- スペイン: 2012年6月10日に国際支援を要請したが市場心理は即時改善せず。支援が国を通じた融資となる点や支援資金の劣後性に関する懸念が指摘された。EU首脳会議で支援が銀行への直接出資の形を取り得ること、ESMが支援に優先弁済権を持たないことが決定され、懸念は幾分緩和。  

### EUの対応と必要措置（政策提言）
- 6月末のEU首脳合意は当面の危機対応として正しい方向だが、完全実施で銀行と国家財政の負の連環を遮断し銀行共同体（銀行ユニオン）構築に繋がる可能性がある。特にユーロ圏銀行の一元的監督体制確立が重要で、主要決定は2012年末までに採られる予定。  
- 追加的短期措置（要点）:  
  - 銀行の資産内容にかかる疑念を払拭し銀行バランスシート強化を支援する政策を採る。多くの金融機関で自己資本の不足や資金調達構造の弱さが認められるため、資本増強や資産リストラが必要な銀行がある。ESMによる弱体化した存続可能な銀行への直接資本注入は一つのオプションとなる。  
  - 各国とも既に約束している財政の強化と広範な構造改革を実際に実施する。  
  - 単一の銀行監督制度に加え、欧州全域の共通預金保険制度と共通の財政支援に裏付けられた銀行の破綻処理システムを構築する。ESM創設のための条約改正を全てのEU加盟国が早急に承認するなど、合意の実施が必須。  
  - 景気支援的な金融政策と流動性支援策の継続。ECBは最近政策金利を引き下げたが、一層の金融緩和の余地がある。非伝統的な政策手段の検討例としてはSMPの再開、LTROの拡大（適切な担保を求めつつ）、何らかの形での量的緩和を含む。ECBの担保ルールの緩和は重要であり、担保ルールの厳格化を新たに導入すべきでない。  

### 米国発のリスク
- 「財政の崖」（年末に減税措置の期限切れと自動的な歳出カットが同時に発動する点）への懸念が高まっている。何も対応措置がなくこの財政の崖を転げ落ちれば、対GDP比で4％にも相当する財政緊縮効果がもたらされる可能性がある。  
- 財政の崖と債務残高上限到達がほぼ同時期に起こることが市場混乱のリスクを高める。2011年8月の債務残高上限引き上げ時と類似の政治的瀬戸際が繰り返されれば市場混乱の可能性。2011年の事例では短期マネー・マーケット金利上昇、レポ市場の縮小、国債利回り曲線のスティープ化、ソブリンCDSスプレッドの短期上昇・逆イールド化が観測され、S&PはAAAからAA+に格下げした。S&Pは米国の財政見通しの悪化と政治的合意の欠如を理由に見通しをネガティブに据え置いている。  
- 市場のコンセンサスとしては財政緊縮の大部分は先送りされ債務上限もデフォルト前に引き上げられる見込みだが、財政の崖が現実化するリスクが織り込まれれば米経済への影響が極めて大きく市場状況が大きく悪化する可能性がある。連邦債務残高上限は早期に（2013年初めに債務額が上限に達する前に）引き上げるべきであると論じられている。信頼できる財政再建計画の進展がなければ国債格付けのさらなる引き下げの恐れがある。  

### 新興市場の影響と政策対応
- 新興市場は対外ショックと国内問題の二重のリスクに直面。年初は大規模資本流入と為替上昇が懸念されたが、現在は為替の急落と変動の高まりが懸念に替わっている。  
- 2012年前半に新興国の株式市場は上昇後に反落しほぼ年初の水準に戻っている。外国人投資家は債券市場では為替リスクを選択的にヘッジする動きが見られ、債券価格はある程度下支えされているが、大規模な流出が起きれば債券利回りが急騰し国内市場の不安定化に繋がる恐れがある。  
- 地域差: 中東欧はユーロ圏との結び付きが強く影響を受けやすい。アジアはユーロ圏との直接リンクが小さく外貨準備が大きいので影響はより軽微と見られるが、ドル調達市場は3月中旬以来タイト化している。ブラジル、中国、インド等では成長率低下が銀行収益を圧迫し金融システム不安定化のリスクとなりうる。  
- 新興国当局の選択肢: 多くの国は金融緩和余地があり大きな需要減退時には財政政策を副次的に発動可能。インフレは概ね目標範囲に収まっており金利引き下げ余地がある国も存在する。ただし、商品価格が未だ高く流動性環境も良好な現状では、余力を積み増す機会とすべきであり、2013年時点の信用拡大志向は適切ではない。ブラジル、中国、インドなどではここ数年間与信が大幅に拡大しており信用循環の末期に近づいているとの懸念が示されている。信用拡大は将来のGDP成長と金融安定を阻害する恐れがある。  

### 規制改革の進捗と課題
- 規制改革はルール策定から実施段階に移行しているが進展は一様でない。G-20の一部（インド、日本、サウジ）では2013年初めから適用となるバーゼルIIIの最終ルールが発表された国があるが、大多数の国ではまだ策定か市中協議段階にある。EUでは資本規制指令IV（CDR IV）について妥協が成立し最終ルール制定に近い。米国は2013年1月から適用されるルールの最終版を公表したがバーゼルIII導入については協議用ペーパーを公表した段階。  
- 店頭（OTC）デリバティブ改革はG-20の2012年末目標に向けて完全実施を目指すべきであり、定型デリバティブの取引所・電子プラットフォーム移行と集中清算機関（CCP）への清算集約が必要。CCP自体がグローバルシステム上重要な金融機関になり得るため、CCPの破綻処理の仕組みの確立と合意が喫緊の課題。  
- 一般的な金融機関の破綻処理の仕組みの構築は遅れがちで多くの国で必要な法的整備が未完。金融安定理事会（FSB）が示した「金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性」に従った法改正が進む国もある。欧州委員会は金融機関と投資会社の整理回収に関する指令草案を公表したが、ユーロ圏としては統一的な監督制度、危機管理と破綻処理の整備をさらに強化する必要がある。

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/fmu/0712j.pdf_
