## 国際金融安定性報告書（GFSR）改訂報告書 2020年6月

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### 要旨（主要所見）
- 年初来急落していたリスク資産の価格が反発し、主要金利も低下した結果、金融環境は全般的に改善した。  
- 中央銀行が深刻な市場ストレスの対処を目標として迅速かつ大胆な施策をとった結果、市場マインドは好転し、新興市場を含めて金融環境は緩和している。  
- しかし、大幅な不確実性が蔓延する中、金融市場と実体経済の動向に乖離が生じており、この脆弱性を背景に投資家のリスク選好の低下が景気回復の中断につながる恐れがある。  
- 新型コロナウイルスのパンデミックが、企業・家計の高水準の債務や銀行・ノンバンクの脆弱性など、過去10年で蓄積された脆弱性を顕在化させる可能性がある。  
- 一部の新興市場国やフロンティア市場国では債務の借り換えリスクが深刻で、資本市場へのアクセスを失っている国もある。  
- 当局は、実物経済を引き続き支えつつ、金融面での脆弱性を注意深くモニタリングし、金融安定性の確保に努めるべきである。

### 金融市場の回復とその要因
- 株式市場は3月の底値から反転し、国別差はあるものの平均では1月中旬水準の85%程度まで回復している。  
- ボラティリティは3月のピーク水準から低下したものの、依然長期的な平均を上回っている。  
- 中央銀行の迅速かつ例を見ない措置が市場の反発に大きく寄与した。例として米国では連邦準備銀行による危機対応の信用供与制度の発表（規模：2.3兆ドル）が株式市場の反転と時期を同じくしている。  
- 貸出市場のスプレッドは高騰時のピーク水準から大幅に低下し、平均では当初の拡大幅の3割程度に縮減した。  
- 高格付け発行体の債券発行は急増し、投機的格付けの発行体も調達が可能となっている。  
- 新興市場向けの投資家センチメントは改善し、証券投資資金の流入・安定化が見られるが、国や資産クラス間の二極化が継続している。  
- 世界中の政府による個人・企業への緊急支援の総額は約11兆ドル規模に達しており、金融当局の各種施策と合わせて信用供与を維持している。  
- G10諸国の中央銀行の総資産額は1月中旬以降6兆ドル近く増加しており、この増加額はG10諸国のGDPの約15%に相当する。

### 金融市場と実体経済の乖離（リスク評価）
- 市場はV字型の急速な景気回復を織り込む期待を示しているが、高頻度データは経済の落ち込みが従前予想を超える厳しいものとなる可能性を示している。  
- 株式市場や債券市場の価格はファンダメンタルに基づく価格を上回っており、その乖離は過去最高水準に近い市場が多い。  
- リスク資産の価格が再調整局面に入る契機としては、以下が挙げられる：  
  - 景気後退が想定よりも長期かつ深刻に続く場合。  
  - 感染の第2波によりロックダウン等が再導入される場合。  
  - 中央銀行による市場下支えが期待ほど長期に続かないと市場が判断した場合。  
  - 貿易摩擦の再燃や社会不安の拡大により投資家心理が悪化する場合。  
- 投資家リスク選好の後退は、リスク資産価格の再調整を通じて景気回復の頓挫につながる恐れがある。

### 潜在的な金融脆弱性（主なチャネル）
- 企業・家計の債務水準：  
  - 企業部門の総債務残高はここ数年増大を続け、対GDP比で過去最高に近い水準にある。  
  - 家計債務も増加を続け、特に2007–2008年の世界金融危機の影響が比較的小さかった国で顕著である。  
  - 経済ファンダメンタルズの劣化に伴い、世界金融危機以降最速のペースで社債のデフォルトが発生している。  
- 銀行部門：  
  - 改革後のバッファー（資本・流動性）は過去より充実しているが、企業破綻の増加により銀行の健全性維持が問われうる。  
  - 既に第1四半期決算で貸出損失の拡大に備えた引当増加が観察されている。  
  - 銀行収益に対するアナリストの厳しい予測は、低金利環境下での圧力を反映している。  
- ノンバンク金融機関・市場：  
  - ノンバンクの金融システムでの役割は従前より大きく、資産価格低下や資金流出が発生すると、ファンドからの資金流出と投げ売りが自己強化的に進むリスクがある。  
- 新興国・フロンティア市場の外部資金圧力：  
  - 多額の債務借り換えニーズを抱える国があり、外貨準備が低い国は対応が困難となる恐れがある。  
  - 年初以降、主要格付け対象の産油国のうち3分の1を超える国々が格付け引き下げを受け、その他の国々でも約4分の1が格付け引き下げとなっている。

### 危機における優先的政策対応（推奨事項）
- 中央銀行：  
  - 家計や企業への与信の流れを維持するため、必要な限り緩和的な金融政策スタンスを維持し、伝統的・非伝統的な金融政策ツールを活用し続けるべきである。  
  - 資金調達環境と主要な資金・外貨・証券市場の機能が損なわれないよう流動性の供給を継続する。  
  - 支援プログラム設計にあたっては、金融安定性の観点から重要な市場を慎重に検討し、モラルハザードや中央銀行自身へのリスクを最小化すること。  
- 新興市場国・発展途上国当局：  
  - 国外からの圧力を吸収するため、可能なら弾力的な為替相場を採用すること。  
  - 外貨準備が十分な国では、為替介入は流動性低下への対応や過度な変動の緩和に役立ちうる。  
  - 危機的状況回避が困難な場合、資本流出規制の導入は一要素として検討されうるが、透明で時限的な実施と状況改善後の速やかな撤廃が必要。  
  - 国債管理当局は、国外調達市場へのアクセスが長期に制限される可能性を想定した危機管理政策を確立しておくべきである。  
- 銀行当局・監督：  
  - 経済への資金供給を維持するため、既存の資本、流動性、マクロプルーデンス上のバッファーを活用すること。  
  - 危機が続く間は銀行に配当や自社株買いの停止を促し、バッファー減少に歯止めをかけるべきである。  
  - ショックの規模が大きく長期化し、銀行の自己資本水準が問題となる場合には、監督当局は銀行に対して実効性のある自己資本回復計画の提出を要求するなどの対応をとること。  
  - 監督当局はリスク情報を適切に開示し、明確なガイダンスを発出することが重要である。  
- 保険監督当局：  
  - 非常に厳しい市場ストレスに直面している国では、影響を受けた保険会社に対し規制上決められている資本回復期間を弾力的に運用するなどの対応が必要となる可能性がある。  
- 資産運用会社・規制当局：  
  - 資産運用会社は流動性リスク管理を厳格かつ効果的に運用するよう注力すべきである。  
  - 監督当局は流動性管理のためのツールを提供し、最終投資家の利益にかなう場合にはこれらのツールの活用を勧奨すべきである。  
  - 基準設定主体は資産運用会社向けのマクロプルーデンス枠組みを再検討すべきである。  
- 多国間協力：  
  - 国際金融システム保護のために必要に応じて、二国間・多国間のスワップラインをより多くの国に提供することを検討すべきである。  
  - 国際的なスタンダードの後退を避け、規制の分断を招く個別的行動を阻止することが重要である。

*出典: 国際通貨基金「国際金融安定性報告書（GFSR）2020年6月改訂報告書」（日本語訳）*

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