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### 総括的評価
- 大規模な政策手段の活用は金融環境の緩和と経済の下支えに寄与し、金融不安定化のリスクを抑えることに貢献している（図1）。
- 景気見通しが改善したことで事態の大幅な悪化の可能性は明らかに抑えられたが、将来的なＧＤＰ成長率の低下リスクが依然として残っている。

### 異例の政策支援の意図せざる副作用
- 異例の政策支援は過剰なリスクテイクを招き、資産価格の過大評価や金融面の脆弱性増大といった意図せざる副作用をもたらす可能性がある。
- 2020年第3四半期以降の急速な景気回復の下で株価は急激に上昇しており、現在の株価水準はファンダメンタルズを基に算出される理論株価に比べて有意に高い水準にある（図2）。
- 歴史的にみて低いリスクフリー実質金利の役割が株価を支える上で大きい。社債市場でのスプレッドも極めて低い水準にある。
- 長期金利の上昇が目立ち、特に米国で顕著である（図3）。金利が大きく上昇し続ける場合（特に実質金利の場合）には、リスクのプライシングの見直しを通じて金融環境の急激なタイト化をもたらす恐れがある。

### 先進国と新興市場国の非対称的回復リスク
- 景気回復のタイミングは国により異なり、非対称なものとなることが予想される（2021年4月版「世界経済見通し」を参照）。
- 新興市場国では金融環境が大きくタイト化するリスクがあり、先進国の政策当局が政策正常化に舵を切った場合には特に懸念が強い。金融環境の悪化は大規模な資本流出を惹起する可能性がある。
- 一部の新興･フロンティア市場国では本年の資金ニーズが高く、困難な政策対応を迫られる可能性がある。
- 緩和的な国際金融環境を主因として国際ポートフォリオ投資の見通しは全体としては改善が続いているものの（図4）、ファンダメンタルズが弱い国や新型コロナワクチンの調達が遅れている国は資本流出のリスクにさらされている。
- 新興市場国では国内銀行が国内債務の大半を引き受けたことで、政府と銀行部門の相互連関が強まり悪循環のリスクが高まっている（図5）。

### 中国に関する評価
- 中国経済の回復スピードは他国を凌駕しているが、高リスク企業の債務増加に代表される脆弱性の蓄積に直面している。
- 引き締め策の発動や銀行・地方政府・不動産開発業者を対象とした規律強化策の導入、暗黙の政府保証に対する信頼の低下などを背景に、金融環境は陰りを見せるかもしれない。
- 弱小銀行による資本性資金の調達環境はタイト化している（図6）。
- 中央政府当局は暗黙の政府保証の解消に早急に努めるべきだが、これが資産価格の無秩序な変動を引き起こす可能性もあり、極めてデリケートな対応を要する。

### 企業部門の現状と差異
- 異例の政策支援により企業部門の打撃は緩和されている。資本市場からの資金調達が可能な大企業は債券発行を増やし流動性不足を回避した（図7、図8）。
- 緩和的な金融環境に伴う企業レバレッジの拡大は、短期的な刺激効果と長期的な脆弱性・成長低下リスクのジレンマを政策当局にもたらす（第2章参照）。
- 個別企業ベースの分析では業種別・規模別で企業業績に大きな差がある。
- IMF職員の分析では、ほとんどの業種と国で規模の小さい企業の流動性は逼迫している。一方、支払い能力への影響は小規模の企業で大きいが、危機の影響を大きく受けた業種では中堅企業や大企業でも見られる（図9）。
- 第1章は、企業が民間資金調達を指向すべきか、政府支援を求めるべきか、或いはリストラ若しくは清算を選択すべきかを決める上で政府が活用できる分析の枠組みを提案している。

### 商業不動産の影響
- 新型コロナ危機によって商業不動産部門は大きな打撃を受け、2020年中は商業不動産の取引量も取引価格も大きく低下した（図10）。
- コロナ後においても経済活動がバーチャルな場から戻らない、あるいは大都市以外に移動するため、小売り、オフィス、およびホテルのセグメントでは低迷が一部恒久化する可能性がある。
- 需要の減少が構造的な場合には、公正価値は大幅に低下すると予想される。空室率が5%ポイント低下すると5年後までに公正価値は15%程度低下すると試算される（図11）。
- パンデミック以降、公正価値と市場価格の乖離は広がっていると見られ、この傾向が続くならば成長の下押し材料となり得る。

### 銀行部門の現状
- 2007年から2008年の金融危機後に導入された監督強化措置のおかげでパンデミック勃発時に銀行は資本及び流動性の余力を十分に持っていた。これまでのところ銀行の体力が低下しているとの兆候はない。
- しかしながら、景気回復過程で従来通りの信用供与が続けられるかは不透明である。企業向けを中心に貸出の伸びは一部の国で減速しているが、回復の基調が強まるにつれ借り入れ需要は高まると予想される。
- 大多数の国の銀行融資担当者は貸出態度が緩まるとは見ていない（図12）。
- 政策的支援の段階的な縮小・廃止は一部の銀行に大きな影響を与える可能性があり、貸出意欲の減退につながる恐れがある。
- 多くの銀行で貸出損の動向が不確実で収益見通しにも暗さがあるため、銀行は資本余力を下げてまで貸出を拡大しないと見られる。これにより資金調達手段が限られ銀行依存度が高い企業は特に懸念とならざるを得ない。
- 政府当局は復興を支えるために銀行によるバッファー活用を奨励すべき場合がある。

### 政策提言（マクロ・ミクロ両面）
- 経済への与信の流れを維持しパンデミックが国際金融システムの危機をもたらすことを防ぐためには、持続的で包摂的な景気回復が定着するまでの間、政策的な支援を続けることが不可欠である。
- 金融政策は所与の政策目標が達成されるまでは緩和を維持すべきである。
- 金融面での脆弱性が解消されず後遺症として永続することを避けるため、当局は早急に行動する必要がある。
- マクロプルーデンス施策は効果が出るまで時間がかかるため、早期の政策発動が必要である。
- 金融環境の全般的なタイト化を避けつつ、特定の脆弱性に狙いを定め、マクロプルーデンス政策を選択的に発動する必要がある。
- 一部のノンバンク資金仲介部門に対しては適用できるマクロプルーデンス施策が現状ないかもしれないが、そうした政策を早期に整備すべきである。既存の枠組みでは設計と運用に難しい点もあるため、ノンバンク部門の資本バッファー増強策の検討が必要である。
- 新興市場国・フロンティア市場国は次を検討すべきである：
  - 国際資本市場へのアクセスが可能な国は現下の有利な資金調達環境を利用して債務構成の改善を図るべきである。
  - 市場アクセスが限定されている国では国際社会からの支援が必要となるであろう。
  - 債務負担が大きく資金調達に大きな困難を抱えている場合は、より一層の深度をもった債務リストラの実現が望ましいかもしれない。
  - 対外準備等の対応のためのバッファーを再構築することは急激な価格調整や資本移動の反転流出に備える上で最も重要な施策のひとつとなりうる。
- 持続的かつ包摂的な回復のために企業のバランスシートの回復を最優先課題とすべきである。存続可能であるものの市場での資金調達に制約があり、一時的な流動性や支払い能力のリスクにさらされている企業には企業の実態に合わせた直接的な政策支援が必要となるかもしれない。
- 財政的余裕がない国ではディストレス債や不良債権市場の整備を含む破綻処理の枠組みの改革を加速すべきである。
- 商業不動産部門については、構造的な変化の程度が明らかになった後、対象を絞ったマクロプルーデンス政策手段（具体的には融資比率や元利金返済カバー率の制限など）の活用により経済成長の失速リスク軽減を図るべきである。
- マクロプルーデンス政策の対象を広げ、特定の不動産金融市場への関与が目立つノンバンク金融機関にも適用できるようにすることが重要である。
- 金融機関に対しては、プロシクリカルな資本変動を避けるために期待損失に対する引当に関する監督上のガイドラインを設定することが適切であるが、実際の引当の適否を監督当局が精査することも必要である。
- 資本の社外流出は引き続き制限すべきである。パンデミックを克服しつつある国が制限を緩和する場合でも解禁は徐々に行うべきであり、十分な資本準備が維持されることを確認するための監督当局によるストレステストの実施を条件とすべきである。

*国際通貨基金 | 2021年4月*

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/gfsr/2021/april/japanese/execsum.pdf_
