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### 国際金融環境とリスク
- ウクライナでの戦争の結果、国際金融環境は顕著にタイト化し経済見通しの下振れリスクが高まっている。
- ロシアとのつながりが強い東欧や中東諸国でタイト化が強く見られ、株価下落と資金調達コスト上昇が発生している。
- 現時点でシステミックな問題は生じていないが、金融不安定化リスクの拡大が見られる。戦争の激化と制裁の強化を契機にリスクプレミアムが急騰し、パンデミックで蓄積した脆弱性を表面化させ、資産価格の急落を招く恐れがある。
- 既存のインフレ圧力に一次産品価格の急騰が加わり、中央銀行は「記録的な物価上昇を抑え込む」ことと「パンデミック後の経済回復を維持する」ことという困難なトレードオフに直面している。
- 先進国の名目国債利回りは年初から上昇し、ロシアの侵攻後さらに上昇、利回りのボラティリティーも増加している。一次産品価格の急騰を受け、ブレイクイーブンインフレ率も大きく上昇している。

### 金融システムへの影響経路
- ロシアの侵攻と制裁は複数の経路で影響を拡大・増幅しており、金融システムの耐性が課題となっている。
- 想定される経路：
  - 銀行やノンバンクの直接的・間接的エクスポージャー
  - 商品市場の混乱と市場におけるカウンターパーティー・リスクの拡大
  - 流動性低下と資金調達困難化
  - 新興国における仮想資産の利用拡大
  - サイバーリスクの顕現化
- 欧州は地理的隣接性、エネルギー依存度、銀行・金融機関の対露エクスポージャーの規模等によりリスクが大きい。
- 銀行部門の直接的対露エクスポージャーの額は、欧州の一部小規模銀行を除けば比較的小さい。ただし、銀行のロシアに対する間接的エクスポージャーに関する情報は限られており、特定と定量評価は困難である。
- 外国ノンバンク金融仲介機関（NBFI）はロシア資産に相当量投資しており、米国と欧州の投資ファンドが大半を占めるが、総資産比ではロシア資産の割合は小さい。
- 商品市場の混乱は商品市場でディーラー業務を行う銀行に中核的役割と大きなエクスポージャーをもたらし、商品貿易ファイナンスとデリバティブ市場での圧力を助長している。
- 商品市場での圧力は市場流動性の低さと相俟って、リスク選好低下とカウンターパーティーリスク上昇を招き、資金調達面にも影響が出ている。
- 商品トレーディング会社へ与信・流動性を供給する大手銀行は、多くが規制対象外で非公開企業である。

### 新興市場への影響
- 新興・フロンティア市場は資金調達環境のタイト化と資本流出リスク増大に直面している。
- ウクライナ戦争後、新興市場の外貨建て債の利回りは急速に上昇したが、3月中旬以降は若干戻っている。
- 債券価格がデフォルトレベルに低下している発行体は「全体の25％近く」に達しており、パンデミック前のピークを上回っている。
- スプレッド拡大と米国金利上昇の結果、多くの新興国の借入金利はパンデミック前に比べ大幅に上昇しているが、高金利を甘受すれば資金調達自体は可能な状況にある。
- 現地通貨建て債券や現地株式も資金流出圧力にさらされ、週次データでは「2020年3月来最大規模の償還」が記録された。
- 米国金融政策の正常化と地政学的不確実性の高まりにより、新興国へのポートフォリオ投資の下振れリスクが増大すると見込まれる。
- 中国ではハイテク関連の株価下落と新型コロナ感染件数増加に伴う成長低下が懸念され、これが他の新興市場へ波及する恐れがある。低迷する不動産業界による金融不安定化リスクの高まりと成長圧力の増大が指摘される。
- 新興市場のファンド保有動向：
  - 2014年のクリミア占領以降、ロシア債券保有は減少し、2014年前には「10％超」だった保有比率が「2022年には4％をわずかに超える水準」にまで低下している。
  - グローバルなインデックス投資を行うファンドの対露エクスポージャーはさらに小さく、2022年では平均して総資産の「0.2％」にとどまっている。
- 新興国における政府と銀行部門の連関は過去2年でさらに深まり、2021年に国内銀行による自国国債保有は歴史的な高水準を記録した。経済悪化時には政府と銀行の相互連関を通じた悪循環が懸念される。

### 中期の構造課題
- ウクライナでの戦争に伴い、向こう数年間で対処すべき中期の構造的課題が浮き彫りになった。
- 挙げられる課題：
  - エネルギー安全保障の地政学的要素により脱炭素への移行がリスクにさらされる恐れ
  - 国際資本市場の分断化と米ドルの地位への影響
  - 決済システムの分断化と中央銀行デジタル通貨のブロック化の恐れ
  - 新興市場国における暗号資産の利用拡大
  - 制裁回避のための複雑で個別対応的な資産配分の普及
- エネルギー危機は、炭素集約的エネルギー依存の低下と再生可能エネルギー転換の加速の必要性を明らかにしたが、短期的には化石燃料補助金の削減・廃止のペースが落ちる可能性がある。また、政府はインフレ影響緩和のため補助金等による財政支援を迫られるかもしれない。
- ロシア制裁や資本規制導入を機に、一部新興市場通貨と暗号資産間の取引量が急増した。これは既往の趨勢的増加の延長であり、資本取引規制や制裁の実効性確保の重要性を示している。
- フィンテックは競争強化、金融発展、金融包摂強化を通じ包摂的成長に寄与しうるが、フィンテック企業への規制が不十分だとリスクの高い業務分野が拡大し金融安定性への懸念となる。

### 政策提言
- 中央銀行：
  - インフレ上昇圧力が常態化しインフレ期待が上放れすることを防ぐため、断固たる措置を取るべきである。
  - 先進国の中央銀行は、データに基づいた政策判断を維持しつつ、金融政策の正常化プロセスに関する明確なガイダンスを発するべきであり、金融市場のボラティリティを不要に上昇させないことが重要である。
- 新興市場国：
  - インフレ期待を低位で安定化させ金融政策の信認を維持するため、必要に応じ金利の追加的引上げやパンデミック下で取られた（資産購入などの）施策の正常化を進めるべきである。
- マクロプルーデンス措置：
  - 金融環境の無秩序なタイト化を避けつつ、局所的に存在する脆弱性の高い状況に対応するため、マクロプルーデンス措置を適切に強化すべきである。脆弱性蓄積を抑えつつプロシクリカルなタイト化を避けるバランスが重要である。
- 気候・エネルギー政策：
  - 各国当局はエネルギー安全保障にも留意しつつ、COP26のロードマップ実現に向けた努力を強化すべきである。
  - 化石燃料代替や再生エネルギー利用促進と価格低下、エネルギー効率改善につながる措置を講じるべきであり、グリーン経済への転換を促す民間金融のスケールアップと気候ファイナンスのための情報基盤整備に注力すべきである。
- 暗号資産・フィンテック規制：
  - 政策当局は暗号資産に関し、その利用状況やリスクの程度に対応した国際的で包括的なスタンダードを策定すべきである。
  - フィンテック企業や分散ファイナンス（DeFi）のプラットフォームに対する監視体制を強化し、暗号資産利用拡大の環境下で資本フロー管理策の有効性を維持するため多様な施策を動員する必要がある。
  - 最近の商品の価格ボラティリティの高止まりに対して取られた措置は、監督当局が取引所のガバナンス体制や取引システムのリスク耐性、リスクの集中、証拠金の設定、取引所や店頭（OTC）市場における取引の透明性など、より広範な視点から対応を検討する必要性を示した。

*国際通貨基金 | 2022年4月 — 国際金融安定性報告書 要旨*

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/gfsr/2022/april/japanese/execsum.pdf_
