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### 針路の安定化：金融市場の不確実性の舵取り
- 2024年4月「国際金融安定性報告書（GFSR）」以降、世界経済は減速し、インフレ率は鈍化し続けている。主要な中央銀行が金融緩和を進める中、金融環境は緩和的な状態が続いている。  
- IMFの1年先の「成長リスク」指標によれば、短期的な金融安定リスクは歴史的水準の約40パーセンタイルにとどまっている。  
- 緩和的な金融環境は短期的リスクを抑える一方で、資産評価の高騰、民間債務・政府債務の世界的な増加、ノンバンク金融機関（NBFI）によるレバレッジの使用増加など脆弱性の蓄積を招き、将来の金融安定リスクを高める。  
- 不確実性と市場ボラティリティの乖離が拡大すると、いずれボラティリティが急騰し、資産の急激な価格調整が発生し得る。2024年8月上旬の日米株式市場のボラティリティ急上昇は、ボラティリティ急上昇と金融機関のレバレッジの組合せが激しい市場反応を引き起こし得ることを示した。  
- ボラティリティの急上昇と金融機関のレバレッジが相まると非線形な市場反応が生じ、リスク資産価格の下落が加速する可能性がある。

### 脆弱性と不均衡
- ソブリン債務が高水準かつ急速に増加していることは依然として世界的課題であり、多くの国・地域が長期的に債務が安定するような基礎的財政収支を達成できていない。  
- 量的引き締めが続く先進国では、価格に敏感な買い手が発行国債を吸収する割合が増えることで債券市場のボラティリティが高まる可能性がある。  
- 財政バッファーが乏しい新興市場国やフロンティア諸国では、ソブリン債とクレジット・デフォルト・スワップのスプレッドが他地域より拡大しており、債務返済がより困難になっている。  
- 新興市場国は、2024年4月のGFSR以降も引き続きレジリエンスを示しているが、貿易政策や地政学的情勢の不確実性、中国の成長見通しの鈍化などが将来の金融の安定をより困難にする可能性がある。  
- 近年、米10年債のタームプレミアムの変化が新興市場国の10年債タームプレミアムの変化にとってますます大きな要因となっている。  
- サステナビリティボンドの世界発行額は2024年に持ち直したが、新興市場国の年初来発行額割合はわずか13%であり、新興市場国の現地通貨建てサステナビリティボンドのシェアは小さい。気候ファイナンスの投資不足は緩和・適応を遅らせ、将来の金融安定性に課題を呈する可能性がある。  
- 世界的な金利低下下でも、多くの企業は今後数年間で債務返済の課題に直面する見込み。脆弱な企業のデフォルトは増加しており、プライベートクレジット市場で高金利を負担する中堅企業は逼迫し、ペイメント・イン・カインド（繰り延べ利息の元本への加算）に頼る動きがある。社債は過去の基準からするとタイトなスプレッド内で取引され続け、信用リスクの急激な再評価の可能性を示す価格のミスアラインメントが生じている。  
- 住宅用不動産の安定性リスクは大半の国で抑制されているものの、商業用不動産（CRE）部門は深刻な圧力下にある。オフィス部門を中心とした価格とファンダメンタルズのミスアラインメントにより、さらなる調整が予想され、資金引き上げ、価格下落、金融機関の負のフィードバックループにつながる恐れがある。CREに過度に集中する銀行や不動産投資信託等のノンバンク投資家がひっ迫する可能性がある。  
- 銀行部門は資本と流動性のバッファーを備えレジリエンスを保っている。消費者向けクレジットカードや自動車ローン、CRE等で不良債権比率が上昇しているが、資産の質は全体として大きく悪化していない。ただし、利下げは利ざやや収益性にマイナス影響を与える可能性がある。8月上旬の一部銀行株の一時的売却は、ビジネスモデル関連の課題に直面する脆弱な機関における大きなテールリスクの存在を浮き彫りにした。  
- 8月上旬の市場混乱は、NBFIを通じたストレスの拡散・増幅の事例である。レバレッジをかけたポジションの急速な巻き戻しは流動性の不均衡とボラティリティ上昇をもたらす。オープンエンド型ファンド、ヘッジファンド、プライベートクレジットの成長に伴い、NBFIの一部でレバレッジ使用が増加している。ノンバンクのレバレッジ関連脆弱性や大規模集中ポジションを特定する能力を妨げるデータギャップが主要課題となっている。  
- 資本市場活動におけるAIの活用はNBFI成長をさらに促す可能性がある。資産運用向けAI・機械学習に関連した特許出願割合は近年著しく増加している。AI採用の拡大は銀行・NBFI双方の効率向上をもたらす一方で、ボラティリティの上昇、不透明性増大、監視困難性、主要AIサービスプロバイダーへの依存度上昇による運用リスク増大、サイバー攻撃および相場操縦リスクの高まりといった金融市場脆弱性の悪化リスクをはらむ。

### 政策提言
- 短期的な金融安定リスクは抑制されているように見えるが、金融システムの脆弱性は高まっているため、政策当局者は脆弱性抑制のために行動を起こすべきである。  
- 中央銀行は、金融政策の道筋が個々のデータポイントに過度に反応すべきではないという明確なコミュニケーションを行い、不確実性の低減に寄与すべきである。成長とインフレのトレンドが続くと予想されるところでは、中央銀行は金融政策をより中立的なスタンスに向けて徐々に緩和すべきである。インフレ率が根強く目標を上回っている場合は、金融政策緩和に対する投資家の過度に楽観的な期待に反して断固たる政策を進めるべきである。  
- 多くの国でソブリン債務がパンデミック前水準を大幅に上回っているため、財政調整は主にバッファーの再構築に焦点を当て、資金調達コストを妥当な水準に保ち、中期的なインフレ期待を安定させ、ソブリン債の格下げリスクを抑制すべきである。財政余地が少ない国では、格付けの突然の低下（クリフ効果）が資金調達環境を悪化させるのを防ぐため、財政計画の信頼性が極めて重要である。フロンティア諸国と低所得国のソブリン発行体は、債権者との対話や多国間協力、国際社会からの支援を通じて債務脆弱性リスクの封じ込めを強化すべきである。  
- NBFIの成長に対しては、資産・負債のミスマッチやレバレッジ増加によるリスクを抑えるため、より積極的な規制・監督の関与が必要である。NBFIの報告義務を強化し、ノンバンクのレバレッジ由来の脆弱性と悪影響増幅メカニズムを軽減する政策を強化すべきである。NBFIの流動性備えを改善し、金融安定理事会（FSB）が合意した基準を導入し、ノンバンクに対するストレステストを強化することがシステミックリスク軽減につながる。  
- マクロプルーデンシャル政策枠組みを強化し、ノンバンク部門における過度のリスクテイクを抑制し、銀行システムの資本・流動性バッファーがストレス期の信用供給を支えるのに十分であるようにする必要がある。政策当局は、金融環境全体の大幅な引き締めを回避しつつ、各種ショックに対する強靭性を高めるためにマクロプルーデンスツールを引き締めるべきである。  
- 企業およびCRE部門の脆弱性監視には継続的警戒が必要である。当局は、銀行のレジリエンスを確保し、自己資本の適正度に関する適切な意思決定を行うために、貿易制限や地政学的出来事、CRE価格の大幅下落を含むシナリオを組み込んだストレステストを実施すべきである。プライベートクレジットの拡大に対応して、報告義務を強化しリスク監視と管理を改善することが不可欠である。  
- 脆弱な銀行のテールリスクとそれが健全な金融機関へ波及するリスクを踏まえ、金融の不安定化に対処する準備を整える必要がある。監督当局が早期介入できるようにし、銀行が中央銀行の流動性にアクセスできる体制を維持することが重要である。金融安定性を損なわず公的資金を脅かさずに脆弱銀行や経営悪化銀行に対処するには、再建・破綻処理の枠組みの採用・実施におけるさらなる進展が肝要である。国際基準を適時、一貫して、完全に導入することがプルーデンス枠組み強化に引き続き重要である。

*出典: 報告書全文（英語版）参照: http://IMF.org/GFSR-October2024*

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_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/gfsr/2024/october/japanese/execsum.pdf_
