## 総括

## Source details

**Canonical URL:** [総括](https://www.imf.org/-/media/files/publications/weo/2019/october/japanese/foreward.pdf)

## Other formats

- [Markdown version](/-/media/files/publications/weo/2019/october/japanese/foreward.pdf.md)
- [Structured JSON version](/-/media/files/publications/weo/2019/october/japanese/foreward.pdf.json)

---

### 世界成長の現状と見通し
- 2019年の成長率は再び下方修正され、世界経済の成長率は3.0%と予測されている。  
- 2017年の3.8%と比べると深刻な落ち込みである。  
- 2020年の世界経済の成長率は3.4%へとやや改善する見込みだが、4月の見通しからは0.2%の下方修正となる。  
- 先進国の成長率は2019年と2020年ともに1.7%に低下する見込みである。  
- 新興市場国や発展途上国の成長率は2019年の3.9%から2020年の4.6%に上向く見通しである。  
- 回復の約半分は、トルコやアルゼンチン、イランなどストレスを抱える新興市場国の回復、残りはブラジル、メキシコ、インド、ロシア、サウジアラビア等の回復を反映している。

### 部門別の動向
- 製造業と世界貿易は急速かつ地域的に広い範囲で減速している。  
- 2019年前半における貿易数量の増加率は1%であり、これは2012年以降で最も低い水準である。  
- 製造業低迷の要因には、関税引上げや貿易政策をめぐる長引く不透明感、各国特有のショック（例：ユーロ圏や中国での新排気ガス規制による自動車産業の後退）が含まれる。  
- 一方、サービス部門はほぼ世界各国で堅調であり、先進国の労働市場は好調、賃金は順調に上昇している。  
- 製造業とサービス業の乖離が長期間継続しているため、製造業低迷のサービス部門への波及について懸念が高まっている。

### 金融政策・財政政策の効果と制約
- 先進国と新興市場国でほぼ同時に金融政策が大幅に緩和されたにもかかわらず、世界成長率は3.0%にとどまっている。  
- インフレ圧力が欠如しているため、主要中央銀行は先制的な政策対応で下振れリスクを抑制し、インフレ期待の不安定化を抑制してきた。結果、金融環境は良好な態度を維持している。  
- 試算では、こうした金融刺激策が講じられなかった場合、世界経済の成長率は2019年、2020年それぞれにおいて0.5%ポイント低くなる。  
- 米中貿易摩擦は、2020年における世界GDPの水準を累積で0.8%引き下げると推計される。  
- 中国や米国の財政刺激策は、関税引き上げによるマイナス効果の削減に寄与している。  
- ただし、中央銀行が政策の誤りの影響を打ち消すために使える手段は限定的であり、景気がさらに悪化した場合には使える火力はほとんど存在しない可能性がある。

### リスクと長期的課題
- 見通しは下振れリスクが高い。貿易障壁や英国のEU離脱など地政学的緊張の高まりがサプライチェーン混乱、景況感や設備投資、経済成長の抑制をもたらす可能性がある。  
- こうした緊張と国内政策の不透明感が、新興市場諸国やユーロ圏での景気回復にマイナスの影響を与える恐れがある。  
- リスクが現実化すれば、リスク心理の急変により低金利下で蓄積された金融市場の脆弱性が表面化する可能性がある。  
- 先進国での低インフレの長期化は金融政策の余地を狭め、将来の政策有効性を制約しかねない。  
- 気候変動に伴うリスクは現在進行中であり、喫緊の対策が講じられなければ将来的にますます高まる。

### 政策の優先度と推奨行動
- 最優先事項は、持続的な合意によって既存の貿易障壁を解消し、地政学的な緊張を抑制することである。これにより景況感改善、設備投資回復、貿易・製造業の後退阻止、世界経済成長の上向きが期待できる。  
- もし貿易・地政学リスクが解消されない場合は、景気下振れリスク回避と潜在成長力向上のために経済活動への支援をよりバランスよく行う必要がある。  
- 金融政策が唯一の選択肢ではない。財政的余裕がある場合、または財政が過度に拡大していない場合には、金融緩和と組み合わせた財政刺激策が検討されるべきである。  
- ドイツのような国では、社会・インフラ資本投資のためにマイナスの借入金利のメリットを活用すべきである。  
- 景気がさらに悪化した場合は、国際的な協調の下で各国の事情に応じた調整された財政対応が要請されるだろう。  
- 長期にわたる低金利環境の下で金融面の脆弱性が高まるため、有効なマクロプルーデンス政策の実施が不可欠である。

### 構造改革と人的資本
- 各国は生産性や頑健性、公平性を高める構造改革を同時に推進すべきである。  
- 第2章で指摘されているように、人的資本の向上、労働市場と製品市場の柔軟性改善の改革は、1980年代後半に始まった先進国内における格差拡大傾向の反転に寄与し得る。  
- 統計は、平均的な先進国における労働市場パフォーマンスの地域間格差拡大の背景には貿易面のショックではなく自動化があることを示唆している。したがって適切な技能訓練により労働者を未来に備えさせる必要がある。  
- 第3章では、新興市場国や低所得発展途上国における構造改革推進の必要性を強調している。改革の順序とタイミングの適切さが重要であり、改革は経済が順調な時、また良いガバナンスが既に導入されている場合により大きな成果を生むとされる。  
- 低所得発展途上国ではグループ内で成長率の差が拡大しており、ベトナムやバングラデシュなど非一次産品輸出国では高成長が期待される一方、ナイジェリアなど一次産品輸出大国ではさえない成長が続く見込みである。

### 追加の優先課題
- 気候変動（2019年10月の「財政モニター」が具体的な解決策を提示）や国際課税、汚職、サイバーセキュリティなど主要課題の解決に向けて各国が協調して取り組み続けることが重要である。  
- 世界成長率が3.0%という状況では政策の失敗を容認できる余裕はなく、各国政府が協調して貿易面や地政学的な緊張を後退させることが急務である。

*経済顧問 ギータ・ゴピナート*

---


_Source: https://www.imf.org/-/media/files/publications/weo/2019/october/japanese/foreward.pdf_
