## レジリエントな世界経済、なんとか前進

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### 現状の評価
- 世界経済はパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻、生活費高騰の危機による打撃からゆっくりと回復しているが、成長率は依然として低く、地域によってまちまちであり、格差は広がっている。  
- IMFの最新の予測：
  - 世界経済の成長率は2022年の3.5%から今年には3%、来年に2.9%へと鈍化する。  
  - 2024年の数値は7月時点の予測から0.1%ポイント下方改定された。  
- 総合インフレ率の見通し：
  - 2022年の前年比9.2%から今年は5.9%、2024年は4.8%。  
  - コアインフレ（食品とエネルギー価格を除く）は2024年に4.5%と予測されている。  
- 労働市場・インフレの状況：
  - 米国では失業率の上昇が非常に限定的（3.6%から2025年までに3.9%）。  
  - 多くの先進国で賃金の散らばりが大幅に縮小し、実質賃金はパンデミック前の水準のまま。

### 主な力学
- サービス業の回復：
  - サービス業はほぼ完全に回復しており、労働集約的なサービスへの力強い需要が労働市場の引き締まりやサービス部門のインフレの助長・長期化につながった。  
  - ただし製造業の減速が続く中でサービス業の活動も弱まり、2024年にはサービス業のインフレ率が鈍化し、労働市場と経済活動が弱まることを示唆している。  
- 金融引き締めの波及：
  - インフレ抑制のための金融の引き締めが景気に影響を及ぼし始めている。信用環境のタイト化が住宅市場や投資、経済活動を圧迫している。  
  - 変動金利型住宅ローンの割合が高い国や家計の貯蓄余裕が乏しい国で特に影響が大きい。  
  - 米国とユーロ圏では企業破綻が増えている（ただしそれまでは歴史的に低い水準にあった）。  
  - 日本を除く先進国では利上げサイクルはピークに近付いている一方、ブラジルやチリなど一部の新興市場国はすでに緩和し始めている。  
- 一次産品価格ショックの影響：
  - ロシアからのエネルギー輸入に依存する国では、エネルギー価格の上昇により経済がより大幅に鈍化した。  
  - コアインフレ圧力はユーロ圏ではエネルギー価格の上昇を反映した部分が大きく、米国では労働市場のひっ迫を反映している。

### リスク
- 中国の不動産危機の悪化可能性：
  - 経営難の不動産開発業者の再編、金融の安定維持、地方財政の逼迫への対処が必要。  
  - 不動産価格の急落は銀行や家計のバランスシート悪化を通じて金融面で深刻な波及効果をもたらす恐れがある。  
  - 反対に不動産価格を恣意的に押し上げると他の投資機会が阻害され、地方政府の歳入悪化につながる可能性がある。  
  - 中国経済は信用主導型の不動産成長モデルからの転換が必要である。  
- 地政学リスクと気候変動：
  - 地政学的緊張や気候変動に伴う混乱で一次産品価格が不安定化する可能性。  
  - OPECプラスが供給削減を延長したことを背景に、石油価格は6月以降、約25%上がった。  
  - 食料価格は高止まりしており、ウクライナでの戦争激化により一段と混乱する可能性がある。  
  - 地経学的分断化は重要な鉱物などの一次産品の価格が地域間で広がる要因となっており、マクロ経済とクライメート・トランジションに深刻なリスクをもたらしうる。  
- インフレ期待と金融政策リスク：
  - 短期的なインフレ期待はピークをつけたもようだが、目標を大きく上回っている。  
  - 労働市場の逼迫、一部の国での貯蓄増加、エネルギー価格の悪化が続くと、インフレ圧力が一段と高まり、中央銀行がより強力な措置をとらざるをえない可能性がある。  
- 財政・金融の脆弱性：
  - 多くの国で債務水準が高く、資金調達コストが上昇しており、成長鈍化と政府の資金需要と利用可能な資金のミスマッチが拡大している。  
  - 財政バッファーの損失により危機への脆弱性が高まっている国が多い。  
  - 金融引き締めにもかかわらず多くの国で金融環境が緩和しており、新興市場でのリスク急激な再評価が米ドル上昇、資本流出、借入コストと過剰債務の増大を招く恐れがある。

### 政策対応と提言
- 金融政策の基本シナリオ：
  - ベースラインでは中央銀行が緊縮的な姿勢を維持する中でインフレが後退し続ける。  
  - 多くの国が引き締めサイクルのピークに近づく中、追加的な引き締めはほとんど必要ない。  
  - ただし、時期尚早な緩和は過去18か月間の措置の効果を台無しにする恐れがある。  
  - ディスインフレが確実に進行し短期的なインフレ期待が低下するようになれば、政策金利を下方に調整することで実質金利を据え置くことができる。  
- 財政政策の役割：
  - 財政政策は金融政策の戦略を支え、ディスインフレを後押しすべきである。  
  - 財政バッファーを再建することに焦点を当てるべきであり、具体例としてエネルギー補助金の廃止が挙げられる。  
  - 米国の財政政策はプロシクリカルであってはならない。  
- 中期的構造改革：
  - 成長率低下、金利上昇、財政余地の縮小を踏まえ、構造改革が鍵となる。  
  - ガバナンス、ビジネス規制、対外（貿易・投資）セクターに焦点を当てた「第一世代」改革を慎重に導入すべきである。  
  - これらは長期的成長を高め、その後の改革（信用市場改革やグリーン経済への移行）をより効果的にする。  
- 多国間協力の重要性：
  - 世界貿易機関のルールに反する国際貿易を歪める政策を避けるべきである。  
  - クライメート・トランジションに必要となる重要な鉱物の流通を守る「緑の回廊」を確保し、ボラティリティを低下させグリーン経済への移行を加速させるべきである。  
  - 地経学的分断を食い止め、透明性と政策の確実性を高め、ルールに基づく多国間の枠組みへの信頼を回復する努力が必要である。  
  - 十分な資金を備えたIMFを中心とする強固なグローバル金融セーフティネットが不可欠である。

*ピエール・オリヴィエ・グランシャ 経済顧問 — 国際通貨基金 | 2023年10月*

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