## 序文

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### 状況と経緯
- 2025年4月の「世界経済見通し(WEO)」は、4月2日の米国政府の発表を受け、通常2か月以上かかる出版サイクルを10日未満で進めるなど、異例の状況下でまとめられた。
- 2025年1月の「世界経済見通し(WEO)改訂版」公表後、米国が主要貿易相手国や重要セクターに対する関税をいくつも発表し、4月2日にほぼすべての国を対象に関税を課した。
- 現在の関税引き上げは、米国と世界の関税率を100年ぶりの高水準まで引き上げている。

### 関税の経済的影響（中心的シナリオ：参照予測）
- 短期的影響：
  - 関税引き上げと不確実性の急増により、世界経済の成長が大幅に減速すると見ている（IMFの参照予測）。
  - 不確実性の高まりと金融環境の厳格化は、世界的な負の需要ショックとなる可能性が高い。
  - これは原油価格の急落に表れている。
- 中期的影響：
  - 関税は課す国にとってマイナスの供給ショックになり得る。競争力のない財の生産への資源再配分、総生産性の低下、経済活動の縮小、生産コストと物価の上昇をもたらす。
  - 競争の減少により国内生産者の市場支配力が高まり、革新のインセンティブが低下し、レントシーキングの機会が増える。
  - 貿易相手国にとっては概して負の外需ショックとなり、外国の顧客を自国製品から遠ざける。
- 為替への影響：
  - 関税が為替レートに与える影響は単純ではない。関税を課す国（例：米国）では通貨が上昇する可能性があるが、不確実性の高まりや米国の成長見通しの鈍化はドルを重石にする可能性もある。
  - 中期的には、米国の貿易財部門の生産性が貿易相手国より低下する場合、ドルが実質ベースで下落する可能性がある。

### グローバル・サプライチェーンによる増幅効果
- 多くの取引される財は最終製品となる前に何度も国々を渡る中間投入財であるため、特定セクターの混乱は世界の投入・産出ネットワークの上流から下流にまで伝播し、パンデミック時のような大きな乗数効果をもたらす可能性がある。
- こうした混乱を受け、IMFは今年の世界貿易の成長率予測を1.5%ポイント下方改定した。
- 2026年には小幅な回復が見込まれる。

### リスクの方向性と脆弱性
- 現時点ではリスクは下振れ方向に明確に傾いている。
- 世界経済は過去4年間の深刻なショックに対して強靭性を示してきたが、再び厳しい試練に直面している。特にバッファーが限られている新興市場国と発展途上国が脆弱である。
- より直近のリスク：貿易の報復措置により摩擦がさらに激化し、成長にマイナス影響を与えること。
- 市場が成長見通し悪化と不確実性の高まりにネガティブに反応した場合、金融環境はさらに（そしておそらく突然）厳格化する可能性がある。
- 銀行は総じて潤沢な資本を維持しており、市場の動きも秩序を保っているが、リスクオフが本格化した場合には銀行と市場の底堅さが試される。

### 政策提言（要点）
- 共通の指針：慎重さ、明確性、協調の強化を強調。
- 第1に（貿易政策）：
  - 安定を取り戻し、互恵的な貿易協定を見出すこと。
  - 企業は予測可能性を必要とし、世界経済は十分に機能するルールに基づいた貿易制度を必要としている。
- 第2に（金融政策）：
  - 複数の課題に直面する中で、金融政策は先手を打つべき。
  - 関税やサプライチェーン混乱によりインフレとGDPのトレードオフが大きくなる国では政策を力強く引き締める必要がある。
  - 一方で、負の需要ショックが支配的な国では政策金利を引き下げなければ経済が低迷する可能性がある。
  - いかなる場合も、金融政策枠組みの信頼性と中央銀行の独立性が鍵。
- 第3に（為替市場とIPF）：
  - 為替市場は強いボラティリティにさらされる可能性がある。特に新興市場国では舵取りが難しい。
  - IMFの「統合的な政策枠組み(IPF)」に沿い、基本的な政策要因によって相場が変動している場合には自国通貨が自然に調整されることが重要である。
  - IPFは為替市場に介入するべき特定条件を示している。
- 第4に（財政政策）：
  - 財政当局は高債務、低成長、資金調達コスト上昇に関連する既存の脆弱性に加え、より厳しいトレードオフに直面している。
  - 支援は一定程度不可避で望ましい場合もあるが、対象を絞り、自動的なサンセット条項を組み込むべきである。
  - 財政余地が乏しい国は予算枠内にとどまる必要がある。財政余力が十分な国は一時的な追加支出のみを債務で賄うべきで、恒久的支出は別の支出削減や歳入動員で相殺するべきである。
- 第5に（中期的成長と全要素生産性）：
  - 弱い中期的成長見通しを変える取り組みを継続する必要がある。全要素生産性の向上が重要。
  - 全要素生産性は、既存の根深い構造的制約に対処し、技術的ブレークスルーを活用することで高められる。
  - 生成人工知能の進歩はその可能性を提供しており、各国は責任ある形で活用するための体制を整えるべきである。
  - 必要なデジタルインフラの開発やAI移行に伴うスキル獲得のための政策導入が示唆されている。

### 補足：分析章の焦点
- 第2章「シルバー経済の台頭」：
  - 人口構造の逆風に起因する成長と財政の課題に焦点。健康な高齢化の進展が労働参加率の向上や男女格差の縮小を通じて一部の悪影響を相殺し得ることを示す。
- 第3章「道筋と分岐点」：
  - 移民政策が出身国、通過国、周辺国に与える波及効果に焦点。移民の統合改善、スキルのミスマッチ抑制、地元インフラへの圧力緩和の政策が大きな効果を発揮し得ることを強調。

*国際通貨基金 | 2025年4月*

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