## 第一章：低成長、低金利下での金融安定性確保の課題 — 要旨

## Source details

**Canonical URL:** [第一章：低成長、低金利下での金融安定性確保の課題 — 要旨](https://www.imf.org/-/media/websites/imf/imported-flagship-issues/external/japanese/pubs/ft/gfsr/2016/02/execsumj.pdf)

## Other formats

- [Markdown version](/-/media/websites/imf/imported-flagship-issues/external/japanese/pubs/ft/gfsr/2016/02/execsumj.pdf.md)
- [Structured JSON version](/-/media/websites/imf/imported-flagship-issues/external/japanese/pubs/ft/gfsr/2016/02/execsumj.pdf.json)

---

### 短期的なリスクの状況
- 短期的な国際的金融不安定化リスクは低下している。  
- 一次産品価格は年初のボトムから上昇し、新興市場国における経済調整の進展と相俟って国際的な資本移動は回復。  
- 中国経済の減速懸念は成長維持のための政策採用により当面は落ち着きを見せた。  
- 先進国では成長は弱含むが、一層の金融緩和の可能性が資産価格を下支えし、リスクアペタイトは若干改善。  
- ブレグジットは当初大きな市場動揺を与えたが、その後の調整はスムーズに進展。

### 中期的なリスクの蓄積
- 中期的なリスクは上昇している。  
- 世界経済の成長率低下が続き、金融市場では長期的な低インフレと低金利の予想が蔓延し、金融政策の正常化にさらに時間を要すると見られている。  
- 多くの国で政治状況が不安定化し、所得の低迷と不平等の拡大が大衆迎合的内向き政策に勢いを与えている。  
- これら動向の結果、負の遺産の清算が困難化し、外的ショックへの耐性が低下、経済・市場が長期停滞に陥るリスクが高まる。  
- 金融機関が健全な財務状況を維持しにくくなり、これがさらに成長と金融の安定を阻害する可能性。

### 銀行・保険・年金など金融機関の主要課題
- 先進国の金融機関は循環的問題と構造的問題を抱える。低成長・低金利に適応しつつ市場環境と規制体系の進展にも対応する必要あり。  
- 銀行の収益力低下が進み、資本余力が傾向的に減少。先進国の銀行の四分の一以上は景気が改善しても脆弱な状態が続く。これらの銀行の保有資産は総額11.7兆ドルに達する。2016年9月26日  
- 早急かつ抜本的な経営改革が必要。特に欧州の銀行で必要性が顕著。日本の銀行もビジネスモデルの抜本的転換が必要であり、海外業務強化に伴うドルの資金調達リスク増大が懸念される。  
- 長期低金利は生命保険会社や年金基金の存続に危機をもたらす。人口の老齢化、投資収益の低さと変動の大きさが問題を深刻化。これら機関への不安の高まりは国民の更なる貯蓄増加を招き、金融経済のデフレ圧力を強める恐れ。

### 新興市場国の適応課題とリスク
- 新興市場国は世界的低成長、一次産品価格低迷、世界貿易停滞という新環境への適応を進めている。  
- 低金利環境は過剰債務を抱える企業がバランスシート改善を進める機会となっているが、企業の投資削減により多くの国で企業のレバレッジは天井に達したと見られる。  
- 企業債務の約11％（金額にして4,000億ドル超）は返済能力に問題のある企業によるもの。  
- 債務の縮小は我々の基準シナリオでも徐々にしか進展しない見込みであり、内外環境の悪化やリスクプレミアム上昇、売上減少が起これば調整過程が混乱し、一部新興国で銀行部門が資本不足に陥る可能性あり。

### 中国の金融システムの状況
- 中国では与信の伸びが引き続き高く、影の銀行部門（シャドーバンキング）における新規商品も拡大しているため金融不安定化リスクが高まっている。  
- 金融システムは急速に拡大し、レバレッジ上昇、相互の繋がり強化、新規投資商品・投資媒体の導入により複雑化が進行。  
- 返済にリスクがある企業債務の額は大きく、融資以外の形態での与信を勘案すると問題はさらに重大。

### 必要な政策対応と優先課題
- 経済成長を高め金融の安定性を強化するため、より強力でバランスのとれた政策の組み合わせが必要。中央銀行の負担を緩和するために、金融政策に加え財政政策・構造政策・マクロプルーデンス政策を活用することが喫緊の課題。  
- 金融が停滞し保護主義が高まれば、2021年にかけて世界ＧＤＰが累積で３％程度低下する恐れがある。  
- 低名目成長下の過剰債務解消には、成長促進的財政政策の採用と民間債務整理へのインセンティブ強化、銀行のバランスシート修復が必要。  

### 銀行に対する具体的措置
- 既往の問題債権を縮減しバランスシートをスリム化、銀行業構造の整理、陳腐化したビジネスモデルの変更と収益性確保が必要。弱い銀行の退出や銀行システムの縮小が必要となるケースもある。  
- 監督当局は資本規制の質を維持しつつ過大な規制は避ける形で規制改革を完成させ、不確実性解消に寄与すべき。  
- ユーロ圏では不良債権の存在に加え収益性に構造的問題があるため早急な抜本対策が必要。債権回収の迅速化や破綻処理制度改革により、ユーロ圏全体で不良債権の売却に伴う財務上の影響を800億ユーロの損失から600億ユーロの利益に変え得る。さらに支店網整理等で経費を400億ユーロ程度減少させることが可能。  
- 日本については、国際的規制基準強化に対応しつつ十分な収益を確保し健全な資金調達構造を維持するため監督を強化する必要。

### 資本規制・監督の調整に関する提言
- 規制の不確実性を排除し、規制が景気循環を増幅しないようにすべき。バーゼルIIIの自己資本規制は重要だが、新資本規制導入の目標（2016年末までに導入し大幅な要求資本増加を避ける）は困難化している。  
- 新規制を弱めたり導入を断念したりするのではなく、永続性のある自己資本規制の枠組みを構築することが望ましい。導入が景気循環を増幅する懸念があるため、より時間をかけた段階的導入も検討すべき。  
- 規制の整合性評価で内部モデル利用銀行間のリスクウエート差が大きいことが明らかになっており、結果の比較可能性を確保するため過大な差異の是正が重要。

### 生命保険会社・年金基金への対応
- 低成長・低金利の持続で生保・年金は大きな困難に直面。中期的支払い能力リスクや資金調達ギャップの確認、内部モデル使用基準や資本規制枠組み強化、透明性向上など規制改革の強化が必要。

### 新興国向けの優先的措置
- 重要課題： (1) 不良債権を迅速かつ透明に認識し破綻処理枠組を強化、(2) マクロプルーデンス政策・監督体系を改革し監視・対応能力を強化、(3) 規制・監督を強化し対外リスク評価を改善、国際的金融サービスへのアクセスを維持（コルレス業務含む）。

### 中国向けの優先的措置
- レバレッジ縮小を支援するため包括的政策を動員し監督体制を強化することが早急に必要。影の銀行部門取引を含む過大与信の拡大を抑え、銀行間資金市場の健全性を確保することがシステム・ストレスの発生や波及を防ぐ。

### 国際的な金融機関の貢献可能性
- 国際的に活動する金融機関は包括的成長推進とグローバル化を巡る幅広い対話に寄与可能。銀行サービスへのアクセス改善はマクロ的成長を高め、男女間の銀行口座利用差をなくし預金者層を拡大することが幅広い経済的メリットをもたらす。

### ノンバンク金融仲介の拡大と金融政策の効果
- 過去十年の大きな変化は資産運用業者、保険会社、年金基金などノンバンク金融仲介業者の台頭。ノンバンク拡大により金融政策の効果が弱まるとの懸念は概ね杞憂に終わっている。  
- 第二章の分析では、ノンバンク金融部門が大きい経済ほど金融政策の効果は大きい傾向がある。金融政策引き締め時には銀行よりノンバンクがバランスシートをより縮小する傾向がある。  
- 低金利は銀行・ノンバンクともにリスクテークを拡大させる要因となったが、銀行バランスシート悪化と銀行規制強化に伴いノンバンクの役割が相対的に重要になっている。これにより金融政策の効果発現のスピードと規模が変動するため、中央銀行は政策発動のタイミングと規模を不断に見直す必要がある。  
- ノンバンク部門の拡大を踏まえ、ノンバンクのバランスシートから得られる情報は伝統的な通貨供給量指標なみに有用となる可能性があり、ノンバンクからのデータ収集改善は是非必要。

### 新興市場国における企業統治と投資家保護
- 過去20年間で新興市場国の企業統治と投資家保護は総じて向上しているが国ごとの差は大きく、さらなる改善余地あり。  
- 企業統治と投資家保護の強化は外的ショックへの耐性を高める。例えば、ブレグジットに伴う株価変動は企業統治レベルが低い新興市場国ほど下落幅が大きかった。  
- 企業統治向上は株式市場の効率性・深み・流動性を高め、ショック吸収能力を高める。企業統治が優れている新興国では企業のバランスシートがより健全な傾向。  
- 政策例：外部投資家（特に少数株主）の権利強化、ディスクロージャー要件の国際的最良慣行レベルまでの引上げ、取締役会の独立性向上は金融安定性確保に資する。

*国際金融安定性報告書 2016年10月 — 第一章 要旨*

---


_Source: https://www.imf.org/-/media/websites/imf/imported-flagship-issues/external/japanese/pubs/ft/gfsr/2016/02/execsumj.pdf_
