戦争と需要、労働市場を要因にインフレの高止まりが長期化する見通し
IMF Blog, April 27, 2022
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- 戦争と需要、労働市場を要因にインフレの高止まりが長期化する見通し
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- Authors: Jorge-Alvarez, Philip-Barrett
- Published: April 27, 2022
概要
- 一次産品の値上がりや広範にわたる物価上昇圧力により、物価上昇率が高止まりするとの見方が従来からあったが、ウクライナでの戦争によりこれが当初予測より長く続く見通し。
- IMFの最新の世界経済見通しでは消費者物価が今年、先進国と新興市場国・発展途上国ともに、当初予測よりも速く上昇する。見通しは不透明感が高い。
主要な物価上昇の要因
- 一次産品価格の急上昇に戦争が追い打ちをかけた。
- 昨年はエネルギーと食品が物価を押し上げていた。
- 石油とガスは投資低迷や地政学的不透明感により供給が逼迫していた。
- 欧州での影響が特に大きく、米国でも程度は低いが同様の傾向あり。
- 新興市場国・発展途上国では異常気象による収穫減、肥料費上昇による食品価格上昇が主要因。
- 供給の混乱
- 政策支援で需要が急増する一方、工場閉鎖、港での規制、出荷の停滞、コンテナ不足、労働力不足が供給混乱を悪化させた。
- 中国でのロックダウンの繰り返し、ウクライナでの戦争、ロシアへの制裁により、一部の部門で混乱が来年まで続く見込み。
- 需要の回復と構造変化
- パンデミック中は支出がモノに集中し、モノの価格が上がった。
- パンデミックが和らぐにつれてサービス需要が増え、消費者物価の全体上昇率は危機前の水準に戻る見込み。
労働市場と賃金動向
- 一部先進国(例:米国や英国)では労働市場が非常に逼迫しており、労働供給は限定的。
- 人との接触が多い職種で労働力不足が顕著で、賃金は上昇しているが物価上昇で賃金の実質価値は蝕まれている。
- パンデミックによる労働参加率の低下(職場復帰を望まない・できない労働者や早期退職、労働時間短縮など)を反映。
- 衛生危機の後退で労働供給は徐々に改善すると見るが、その程度は限定的で賃金の大幅な上昇圧力を大きく和らげる効果はないと想定。
予測(IMFの物価上昇率見通し)
- 先進国の物価上昇率は38年ぶりの高水準となる5.7%へ加速する。
- 新興市場国と発展途上国の物価上昇率は2008年の世界金融危機以来の高水準である8.7%へ加速する。
- 翌年の予測は、それぞれ2.5%と6.5%へ減速する。
シナリオとリスク
- 基本シナリオでは物価は徐々に和らぐ見通し。
- 物価がさらに高まる可能性のある要素:
- 戦争などにより需要と供給の不均衡が悪化する場合。
- 一次産品価格が一段と上がる場合。
- 戦争とパンデミックの再燃が供給の混乱を長引かせ、中間財の費用が一段と上がる場合。
- 労働市場逼迫の下で労働者が購買力維持のために賃金増加を求め、名目賃金が消費者物価指数の上昇ペースに追いつく場合、物価上昇圧力が加速・広範化し、インフレ期待が上放れするリスク。
分配面と政策的含意
- 低所得国を中心に脆弱層が最大の影響を受ける。
- 物価上昇率が高いことは、各中央銀行が物価圧力を抑制しつつ成長を守るという両立困難な課題を複雑化させる。
執筆者(出典に基づく)
- ホルヘ・アルバレス(IMF調査局世界経済研究課のエコノミスト)
- フィリップ・バレット(IMF調査局のエコノミスト)
- 掲載日:2022年4月27日
出典: ホルヘ・アルバレス, フィリップ・バレット, 2022年4月27日