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IMF駐在代表「柔軟かつ創造的な政策でパンデミックからの回復を」

[2020年7月30日、東京]

マレーシア、フィリピン、シンガポールのIMF駐在代表は今日、東京にあるIMF地域事務所主催のウェビナーに登壇し、COVID-19のパンデミックにより打撃を受けたアジア経済の見通しは依然として不透明であり、政策立案者は柔軟な措置で経済回復を支えるために創造的であるべきだと語りました。

マレーシアとシンガポールの駐在員事務所代表であるヨハン・シュミットマンは、両国はパンデミックにより深刻な打撃を受けたと述べました。シンガポールは、1965年の「独立以来最も深刻な不況」を迎えています。同駐在代表は、観光と小売販売を含む建設と顧客向けサービスが最も影響を受けたと述べました。失業率は、第二四半期に大幅に増加しました。また、経済と人々の暮らしを支援する実質的な金融・財政措置を伴う、シンガポールの迅速な政策対応を称賛しました。さらに、フィンテックと労働力のスキル向上を含む革新への投資が、国を危機からより強く立ち上がらせると結論付けました。

マレーシアについて、シュミットマンは政府の移動規制命令がCOVID-19の拡大抑制に効果的であったと指摘しました。それでもなおパンデミックは経済に大きな打撃を与え、政府にGDP20.4%相当の強固な政策を講じることになったと、言います。またこれまでのところ、回復はセクター毎に不均一で、失業率は急激に上昇し、インフレは依然として低いままであると付け加えました。「今後数ヶ月でパンデミックがどのように進展するかは分かりませんが、COVID-19にはデジタル化やイノベーション、新技術の採用を加速させる可能性があります。その点において、マレーシアはうってつけの立場にいます」と述べました。

一方、フィリピン駐在代表のヨンゼン・ヤンは、パンデミックは「強力な構造改革の波に乗りアジア地域トの優等生」であったフィリピンの経済に深刻な影響を与えたと語りました。同駐在代表は、フィリピンは感染曲線を平坦化させる努力を続けているため、2021年に回復に向かう前に、2020年のGDPは急激に縮小すると予想しました。政府は、金融・財政政策の適時緩和と影響を受けた世帯及び企業、特に零細中小企業に向けた支援を行い、危機に対応しました。ヤンは、社会保護プログラムや中小企業への支援の強化など様々な措置を通して、労働者のスキルの喪失や倒産の増加など長期的な悪影響を緩和する必要性を強調しました。

今回のオンラインセミナーは、IMFスタッフの知見をアジア太平洋地域の人々と共有するために、IMFアジア太平洋地域事務所が新たに立ち上げた「アジア太平洋地域ウェビナーシリーズ」の初回。今回のウェビナーには、地域内外の18か国から400人を超える視聴者が参加しました。

質疑応答では、多くの参加者がさらなる議論のために質問を投げかけました。その中で共有された主な懸念の一つは、多くの国々が限られた資源しか持たない中、マクロ経済政策でパンデミックの長期的影響にどのように効果的に対処できるのかという点でした。この点に関して、ヤンは政策介入は命を救うことと、人々の暮らしを保護することに焦点を当てるべきだと述べました。「政策立案者は極めて創造的である必要があります」とヤンは強調し、シュミットマンが述べた回復プロセスに沿って最も差し迫った問題に柔軟に対処することの重要性を繰り返しました。「現在いくら費やして、将来のためにどれ程の財政スペースを確保するのか、その絶妙なバランスが重要です。全ての国に効く万能の解決策はありません。だからこそ、全ての国が財政スペース、流動性状況、長期的な開発目標に取り組む必要があります」と締めくくりました。