コロナウイルス感染症流行の潜在的影響 今わかっていること、できること

2020年3月10日

写真:xavieramau/iStock By Getty Images

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コロナウイルス感染拡大をめぐる状況は非常に深刻であり、さらなる状況悪化も十分ありうることは、私たちの誰もが認識しているところです。誰もがこの影響を受けるのです。まずはコロナウイルスについて今わかっていることと、まだわかっていないことについて踏まえた上で、この危機の影響を受けている人々を効果的にかつ連携して支援するために国際社会に何ができるのかについて述べたいと思います。

わかっていること
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は急速に流行していることがわかっています。国際通貨基金(IMF)加盟国の3分の1以上が直接影響を受けていることを考えると、この感染症はもはや地域限定の問題ではなく、全世界的な対応を要する全世界的な問題です。

やがて事態が沈静化することはわかっていますが、どれだけ早く沈静化するかは不明です。

新型コロナウイルス感染症のショックはやや特異であることもわかっています。需要と供給の両面で重要な諸要素に影響するからです。

供給はウイルスによって感染者と死者が発生することで混乱するでしょうが、封じ込め努力による移動制限や、サプライチェーンの制約や融資の引き締めによる事業コスト増加も供給の乱れにつながると思われます。
不確実性の高まりや、危機を警戒した予防的な行動が増えること、封じ込め努力がなされること、金融コスト増加で支出能力が減ることなどよって、需要も落ち込むでしょう。
こうした影響は、国境を越えて波及していきます。

これまでの経験を踏まえると、新型コロナウイルス感染症による経済損失の3分の1程度が人命喪失、職場閉鎖、検疫などの直接的コストになるでしょう。残り3分の2は、消費者心理の冷え込みや企業活動の収縮、金融市場のタイト化などを反映した間接的コストとなるでしょう。

朗報は、世界金融危機前と比べれば金融システムの耐性が高まっているということです。しかし、私たちにとって目下最大の課題は不確実性への対処です。

どう転んでも、2020年の世界経済成長率は昨年のレベルを下回るでしょう。どれほど下回るのか、また、どれだけ長きにわたって下回るのかを予測するのは困難です。それは新型コロナウイルス感染症の広がり次第ですし、私たちの対策措置の適時性や有効性にも左右されます。

医療体制や危機対応能力が弱い国々にとって、この状況への対処はより困難な課題であり、需給回復を加速させるための国際的連携メカニズムが求められます。

国レベルではどう対応すべきか
財政面の対応における最優先事項は、最前線の医療関連支出を確保して人々の健康と安心を守り、病人を看護し、ウイルスの感染拡大を減速させることです。医療関連措置強化の緊急性と、医療用品を確実に生産して需給が釣り合うようにする必要性は、どれだけ強調しても強調しきれません。

2番目の優先事項としては、マクロ金融政策措置を講じて、先ほど申し上げた需給ショックの問題に取り組む必要があるかもしれません。目指すべきは、経済的影響を短期化し軽減するための悔いの残らない措置です。措置は適切なタイミングで行い、最も深刻な影響を受けている産業・企業・世帯に対象を絞ったものにすべきです。

市場心理によって、または貿易、観光、一次産品価格、金融環境タイト化などの経路を通じて影響が波及して需要が全般的に落ち込めば、追加の政策対応で需要を下支えして、十分な信用供給を確保することが求められるでしょう。

第3の優先事項として、金融安定性リスクを相殺するために十分な流動性も必要になるでしょう。

要するに、状況は急速に変化しており、私たちは必要とあらばより強力で連携した対応を取れるように備えておかねばならないのです。こうした考え方に沿う形で、先日G7加盟国から、適時性と有効性を備えた措置を講じるにためにさらなる協調を進める用意があるとの声明が出されたことを嬉しく思います。

IMFはどう支援できるか
IMFは、加盟国を支援する態勢を整えています。IMFは、支援を求める可能性のある低所得国・新興市場国のために、速やかな支払いが可能な緊急融資制度の下で、約500億ドルの融資を用意します。このうち100億ドルは、ラピッド・クレジット・ファシリティ(RCF)を通じて、最も貧しい加盟国向けに無利子の融資として用意されます。

医療体制整備が進んでいなかったり、政策余地が不十分であったり、交易条件ショックにさらされる一次産品輸出国であったり、その他、波及効果に対して特に脆弱であったりするなど、リスクのある加盟国が数多く存在します。

私は、加盟国の中でも脆弱性の高い国々や低所得国のことを特に心配しています。こうした国々では、ウイルスの経済コストや人的コストが増加すると、資金調達ニーズが急速に高まる可能性があります。

IMF職員は現在、脆弱な国を特定し、状況がさらに悪化した場合にどの程度の資金調達ニーズが生じうるかを試算しています。

IMFには、加盟国支援のために提供できる資金があります。

加盟国からの惜しみない協力のおかげで、IMFは合計で約1兆ドルの融資力を有しています。
低所得国向けには、最大で100億ドル(適格加盟国クォータの50%)の緊急融資の用意があり、この融資は迅速に提供でき、完全なIMF融資プログラムの設定なしに利用可能です。

他の加盟国は、ラピッド・ファイナンシング・インストルメント(RFI)を通じて、緊急融資を利用できます。この融資制度では、IMF融資による支援を求める可能性がある新興市場国向けに、約400億ドルを提供できます。

IMFには、適格加盟国を対象とした大災害抑制・救済基金(CCRT)の用意もあり、支払期限がきた対IMF債務を救済するための贈与を一括で提供できます。

2014年のエボラ出血熱流行時にはこのCCRTの有効性が示されましたが、10億ドルを超える資金が必要となる可能性がある中、提供可能額はわずか2億ドル強となっており、CCRTは現在資金不足の状態です。私は、この融資制度に完全な資金補充を確実に行って目下の危機に対応できるよう、加盟国諸国に支援を求めました。

手短にまとめますと、IMFは加盟国、とりわけ最も脆弱な国々の支援に全力を尽くしていく所存であり、支援のためのツールを有しており、パートナー機関と緊密な連携を行っています。

IMFコミュニケーション局
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