今週のグラフ:一丸となったインフラ推進を通じた世界経済の成長促進

2020年11月24日

写真:Ljubaphoto/iStock by Getty Images

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ワクチン完成が間近に迫っており、間もなくパンデミックを制御できるようになるという期待が高まりつつある。とはいえ、より良い未来に向けて協調して取り組むことの必要性はかつてなく大きなものになっている。ワクチンの生産・流通をグローバルに行い、気候変動に対処し、危機からの景気回復を促進する必要性に関係した分野が優先分野となる。

G20首脳会合に先立って公表されたIMFの報告書では、インフラ投資を一斉に推進することによって、成長に活力を与え、危機の後遺症を抑え、気候面での目標に対処できると主張している。実際のところ、多くの国が同時に行動を起こせば、公共インフラ投資によって国内の成長を押し上げられるとともに、貿易の結びつきを通じて国外の成長も加速できるはずだ。こうしたプラスの波及効果は、世界GDPをさらに伸ばすことにつながりうる。

需要増大がもたらす波及効果は、景気が低迷していて金利が低い時に特に大きくなる。景気が良い時には、政府支出を増やすと物価上昇率が中央銀行の目標を上回るようになり、金融政策の引き締めを招いて、当初の需要喚起が部分的に相殺される可能性がある。しかし、景気が低迷していてインフレ率が目標を大きく下回っている場合には、政府支出の増大に反応して金融政策が引き締められる可能性は低く、GDPの伸びはより大きくなる。したがって、余剰生産能力が十分にある状況では、国内の公共インフラ支出による効果と、国外の公共投資増大から波及する需要の効果が増幅されることになる。

今週のグラフは、この点を示している。支出余地のある国がインフラ投資支出を2021年に対GDP比で0.5%拡大し、2022年にはそれを同1%に引き上げて2025年までその水準を維持し、同時期に財政余地の少ない国ではその3分の1ほど支出を拡大すると、2025年までに世界GDP2%近く押し上げられる可能性がある(黒色の破線)。そうした効果の約3分の1は、国際的な波及効果に由来するものと考えられる。そのことを確認するために、各国が単独でインフラ支出を拡大し、外国の支出拡大からは恩恵を受けないという一連の仮説シナリオを検討してみた。その場合、全体的なGDP押し上げ効果は平均で約1.2%となる(黒色の実線)。

要するに、G20諸国が協力して行動すれば、各国が単独で行動する場合に比べて同じコストで3分の2大きい成果が得られるのだ。

IMF

特定種類のインフラ支出を行うことで、重要な付加的利益がもたらされることになる。例えば、グリーン投資を優先する場合には、強靭性も高まり、次世代によりクリーンな世界を残せるようになる。効率的な大量輸送プロジェクトや、スマートグリッド、エネルギー効率性を向上させるための建物の改修を優先対象にできるだろう。インフラ保全や、効率的に実施される公共事業といった雇用集約的な公共投資も非常に重要である。

各国の政策担当者が協力して賢く質の高いインフラ支出を行えば、個別の行動の効果が増幅され、すべての国の経済を一層下支えすることが可能となる。

このブログ記事は、ジャレッド・ビービーおよびオィエ・チェラスン、ローネ・クリスチャンセン、アシケ・ハビブ、ベン・ハント、マルゴー・マクドナルド、ラファエル・ポルティーヨが行った研究に基づいています。

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