環境に配慮し雇用を生み出す復興を各国政府が世界で実現する方法

2020年12月4日

写真:STEFANOLUNARDI/iStock by Getty Images

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気候変動と新型コロナ危機には多くの共通点があります。どちらの危機も人々に大きな犠牲を強い、経済に壊滅的な被害をもたらしました。世界的に流行した新型コロナウイルスによって、何百万もの命が失われ、何億もの人々が失業しました。また、今後5年間に失われるGDPは28兆ドルにのぼると見込まれています。一方、気候変動は人々の生活と生計を危険にさらしています。これら2つの危機はどちらも世界中で弱い立場の人々と地域に一番大きな打撃をもたらしています。また、準備不足であったり、先見の明に欠けていたりした場合に各国が代償を支払う点でも共通しています。

この他にも両者には共通点があります。強力かつ協調的で環境に配慮した公共投資の拡大がいずれにおいても危機対策に貢献するという点です。

世界は経済を再開し、人々が仕事に戻れるように並々ならぬ努力をまさしく今、進めているところです。数週間前、世界各国の首脳がパリ平和フォーラムで一堂に会し、次のステップを議論しました。この議論は先日のG20首脳会合でも継続されています。協調的で賢明な決断を下す機会に私たちは恵まれています。復興が速やかに始まるように、また、気候変動による破壊が生じる確率とその影響を減らせるように、環境配慮型の投資を促進しうる決断を下せるのです。

新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした経済的な被害を受けて、世界の経済大国は復興のために12兆ドルを超える財政支出をすでに約束しています。そして、これらの国々には、さらなる取り組みを行う余地も存在します。こうした国々にとって、新たな投資を一斉に進めることの重要性は明白です。G20の国々が単独で行動をとった場合、諸国が一緒に動いた場合に得られる効果を実現するためには、3分の2ほど多く支出を行う必要があるだろうという強力なエビデンスが、10年前の世界金融危機から学んだ点を含めて、存在しています。

気候変動を加速させる石炭火力発電所など化石燃料を使用する技術に投資するよりも望ましい方法、環境に配慮した方法を選ぶことが私たちには可能です。雇用創出型のプロジェクトの例としては、森林やマングローブにおける植林、土壌保全、建物のエネルギー効率性を高めるための改修が挙げられます。気候変動に対して強靭なインフラを構築したり、環境に配慮した公共交通機関や、再生可能エネルギー、スマートグリッドを拡大したりすることも不可欠です。送電網から独立した再生可能エネルギーに投資することで、現時点では電力を十分に利用できていない35億人の一部に新たに電力を供給して成長を生み出せます。

世界は最新の技術革新を活かすべきで、大規模な取り組みが展開されている様子を私たちはすでに目撃しています。欧州連合(EU)は今後数年間に6,400億ドル5,500億ユーロ)を超える支出を環境配慮型のプロジェクトに対して行うと約束しました。インドネシアエジプトといった新興市場国もグリーン債券を発行しています。しかし、どの経済大国にも、どの国際機関にも、どの慈善基金にも、どの民間投資家にも、もっと多くのことができるはずです。事実、経済協力開発機構(OECD)が指摘したように、環境配慮型と非環境配慮型の支出のバランスを確認すると、これまでのところ後者の方に比重が置かれすぎており、さらなる環境破壊のリスクが存在しています。

2008年の世界金融危機において、G20首脳は協調的な復興プログラムを一緒に支持しました。これと同様の動きが今後数週間、数か月間に見られることで、気候変動への適応の大部分を担うことになる低所得国など新たな資本を必要とする国々への資金源が動員されることになるかもしれません。したがって、G20による低所得国支援はパンデミック勃発以降に講じてきた措置を土台にして進めていくことになるでしょう。債務返済を一時的に停止したり、個別の事情に応じて持続不可能な債務を解決できるように共通の枠組みを設定したりする取り組みです。

また、各国政府は民間部門の資本と創意工夫を解き放つような政策を設計することもできます。現在、環境に配慮した投資はコストが下がる中、リターンが大きくなっています。しかし、さらにクリーンなエネルギーやより高いエネルギー効率性への民間部門の移行を加速させる上では、炭素価格を着実に上昇させるか、類似の措置を講じることが必要になります。これによる歳入の一部は、貧困層をエネルギー価格上昇から守り失業者を支援する「公平な転換」を確実なものにするために活用できるでしょう。債務によって資金を調達するグリーン投資計画をカーボンプライシングと組み合わせることで、何年にもわたり経済成長を加速させることが可能になるかもしれません。2027年まで新たに創出される雇用の純数は約1,200となりえます。

もし今から持続的な行動をとれば、歴史は新型コロナ危機と気候危機の両者にまた別の共通点があったと記憶することになるでしょう。つまり、どちらの危機においてもその終息時に私たちの力強さと強靭性が向上していたという点が歴史に残されることになるのです。

この記事はFortune.comに最初に掲載されたものである。

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クリスタリナ・ゲオルギエバ

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