## 過ぎたるは及ばざるが如し

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## Bibliographic details
- Authors: RAGHURAM RAJAN
- Published: March 13, 2023

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### 概要
- 著者: ラグラム・ラジャン
- 公表: 2023年3月
- 主題: 中央銀行は任務を絞り、介入度合いを弱めることでより良い成果が得られる可能性があるという主張。

### 中央銀行当局者を擁護する見方
- パンデミックや予期せぬショック（例: 2022年2月のプーチンの戦争）は予見困難であり、中央銀行の対応遅れを部分的に説明する要因である。
- FRBはパンデミック下で「低過ぎる物価上昇率を押し上げる」ために枠組みを変更し、緩和的政策を長期維持する姿勢を示した点が、後の状況変化に適合しなかった。
- 中央銀行はインフレ抑制のために成長を意図的に減速させる必要があり、その正当性がなければ独立性を失うリスクがある。
- 利上げの先制的実施は、公的正当性を欠く場合が多く、人々がインフレの危険を認識していない環境では政治的支持を得にくい。

### 中央銀行を非難する見方
- 長期の低金利と高い流動性は資産価格とレバレッジを上昇させ、政府と民間の両方で借入拡大を招いた。
- 中央銀行の長期金利抑圧や量的緩和が、債券市場を麻痺させ、政府支出の拡大を助長した側面がある。
- 中央銀行が購入した国債は政府・中央銀行連結バランスシートの資金調達年限を短期化させ、金利上昇時に脆弱な財政問題を喚起するリスクを高めた。
- 流動性依存の拡大:
  - FRBの量的緩和で準備預金が供給される一方、市中銀行はホールセールの要求払預金で準備を調達し、負債年限が短期化した。
  - 市中銀行は顧客向けにコミットメントラインやマージンサポート等の流動性確約を提供し、継続的な中央銀行流動性供給への依存を強めた。
  - 事例: 2022年10月の英国の年金不安では、中央銀行介入と政府の歳出計画撤回の組合せで鎮静化したが、流動性依存の脆弱性を露呈した。
- 中央銀行の政策の非対称性:
  - 景気後退や資産価格下落時の緩和は迅速だが、資産バブル抑制のための利上げには消極的である傾向。
  - 歴史的参照: 2002年のジャクソンホール会議でグリーンスパンFRB議長が指摘した非対称性。
- 主要準備通貨国の政策は周縁国に波及し、周縁国の中央銀行は対応を強いられるために、主要国の政策の対外影響は中央銀行の責任範囲外とは言えない。

### 任務の肥大化（マンデートの拡大）に関する問題点
- 中央銀行に気候変動や包摂性といった政治性の高い新たなマンデートを与えることへの懸念:
  - 中央銀行のツールの有効性は限定的である。
  - 新たな責務は主要マンデート（物価の安定）達成に悪影響を与える可能性がある（例: 包摂性配慮が利上げを妨げる懸念）。
  - 新たなマンデートは中央銀行を新たな政治的圧力にさらすリスクがある。
- 中央銀行は、選挙で選ばれた代表の明示的指示に従うという形で一部対応することは可能だが、それは外部からのマイクロマネジメントのリスクを伴う。
- 結論として、気候変動や格差に直接対処する役割は政府に委ねるのが望ましい。

### 物価安定に関する枠組みの選択問題
- 低インフレレジームと高インフレレジームは性質が大きく異なり、同一の枠組みが両者に適合しない可能性がある（カルステンスBIS総支配人の主張に沿う認識）。
- 低インフレレジームでは、将来のインフレをある程度許容して物価上昇率を引き上げるコミットメント（「合理的に無責任」になるコミット）が必要とされうる。
- 高インフレレジームでは、ショックがさらなる価格上昇を誘発しやすいため、早期に強くインフレ退治へコミットする必要がある。
- 両レジームで求められるコミットメントは相容れないため、中央銀行はどのレジームを前提に枠組みを選ぶかで難しい選択を迫られる。コミットメントを後から変えるのは困難である。

### 枠組み選択と政策指向（示唆）
- リスクバランスに鑑み、中央銀行は金利政策等の標準的ツールを用いて高インフレに対処するという第一義的マンデートを改めて強調すべきである。
- 低インフレの場合は、量的緩和のようなツールをむしろ回避すべきであるとの示唆。量的緩和は実体経済への有効性が疑わしく、信用・資産価格・流動性に歪みを生じさせ、終了が困難であることを理由とする。
- 中央銀行は、物価の安定を維持しやすくするためのより強力なマンデートを必要とする可能性がある。
- 金融安定性（マクロプルーデンス）政策の限界:
  - マクロプルーデンス監督は重要だが、実効性に疑問があり、住宅価格ブームなどの実例が示すように十分でない場合がある。
  - ノンバンクやシャドー金融など銀行以外の領域ではマクロプルーデンスの効果は限定的である可能性。
  - したがって、金融政策が「あらゆる隙間に浸透する」ことの重要性を指摘（ジェレミー・スタインの言葉を参照）。
- 対外波及（主要国→周縁国）については、中央銀行当局者と学者がバーゼルのBIS等で非政治的な対話を開始し、最終的にはIMFを含めた場でマンデート変更についてより広い合意形成を図るべきという提案。

### シナリオと示唆される結論
- 中央銀行がインフレ抑制に成功すれば、低成長・低インフレの世界に戻る可能性が高い。成長回復の担い手は民間部門と政府に戻るべきである。
- 中央銀行がマンデートを複雑化することは得策でないが、物価安定のために焦点を絞り、介入度合いを弱めることは望ましい。
- 結語: 中央銀行にとっては「過ぎたるは及ばざるが如し」であり、より焦点を絞り介入を弱めることが、現在の高インフレ・高レバレッジ・低成長の局面よりも良い成果をもたらす可能性がある。

*ラグラム・ラジャン, ファイナンス＆ディベロップメント, 2023年3月*

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_Source: https://www.imf.org/ja/publications/fandd/issues/2023/03/central-banks-less-is-more-raghuram-rajan_
