## アラブ経済の徹底的な見直しを

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## Bibliographic details
- Authors: Jihad Azour, TALINE KORANCHELIAN
- Published: September 14, 2023

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### 要旨
- 中東・北アフリカ（MENA）は、世界の変化を利用して包摂的成長と良質な雇用を生み、6億の市民の期待に応える絶好のチャンスを迎えている。
- 地域はモロッコからイラン・イスラム共和国まで全長6,400km超、4つのタイムゾーンにまたがり、20を超える国々で構成される。富裕国（カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア）と最貧国（ソマリア、スーダン、イエメン）が同居する。
- 過去20年間で、2010～2011年のアラブの春を含む大きな変化と停滞が混在。成長は恒常的に停滞し、女性の就業者数は低く、若者の失業率は高い。

### マクロ経済・金融の安定（主要所見）
- パンデミックと生活費高騰への対応で歳出増と社会支援が行われ、多くの場合借入れを要したため、債務返済コストの増大が財政余地を狭めている。
- 一部の国では、現在の歳出構造が脆弱性を増大させている。例：チュニジアではこの種の支出が歳入の8割を占めている。
- 中央銀行は金融システムの安定と物価の安定に注力し、新出データや主要中央銀行の政策動向に応じて政策を調整する必要がある。
- マクロ経済の安定は土台であり、真の包摂的成長には構造改革が不可欠である。

### 社会的保護と補助金改革（主要所見と事例）
- 多くの国で社会支出は一般補助金が中心で、恩恵の多くが富裕層に流れるため莫大な無駄が生じている。
- 一般向け補助金の代替として対象を絞った支援を実施すれば、迅速に最も困窮する人々へ改善をもたらせる。
- 実施事例：
  - モロッコ：2016年に燃料補助金を廃止。
  - エジプト：2019年に自動的な燃料価格指数連動方式を導入。
  - モーリタニア：最貧困層への現金給付を段階的に増やしつつ一般国民への燃料補助金を大幅削減。
  - モロッコ（パンデミック期）：現金給付プログラムにデジタル給付を導入し、非正規労働者への支給を速やかに実施。
  - ヨルダン：現金給付プログラムの受給者選定方法を改善し対象者を大幅に拡大。

### 民間セクターの拡大とガバナンス
- 発展途上国では民間セクターが雇用の9割超を生み出す。民間が投資を増やし生産性と競争力を高めることが重要。
- 政府の役割は制度整備、市場の失敗是正、公共財の提供に集中すべきである。
- 多くの分野で国営企業が占める比重が大きく、公共セクターが第一の雇用主となっていることが非効率と生産性抑制の要因となっている。
- 強力で透明性の高い説明責任ある制度と腐敗防止が、包摂的成長と社会的信頼構築の前提である。

### 強靭性と気候変動対策
- 気候変動の影響は深刻で、水・食料不足、海岸浸食、干ばつなどにより生計と雇用が脅かされる。
- モーリタニアでは干ばつが深刻化すれば、成長が最大で1%ポイント落ち込む恐れがあるが、電化率の向上で損失を半減できる可能性がある。
- 投資と補助金政策の見直しで二酸化炭素排出に伴う実質的コストを引き上げ、再生可能エネルギーや適応インフラへの投資を進める国がある。
  - モロッコ：世界最大の集光型太陽熱発電所を建設（太陽光で熱を生み日没後も発電）。
  - エジプト：過去10年間で再生可能エネルギーの統合を急速に推進、地域で先駆けてグリーンボンドを発行。
- 世界銀行のモロッコを対象とするシミュレーション：水関連インフラへの投資により、干ばつに対する強靭性を高め、GDP損失のほぼ60％を削減し、公的債務の増加にも歯止めをかけられる。

### デジタル化と新技術の導入
- デジタル化が進めば効率性、包摂性、強靭性が高まり、この地域の1人当たりのGDPが4割以上増加すると世界銀行は試算している。
- 現状はスマートフォン普及は広いがeコマースは始まったばかりで、低所得国と高所得国間にデジタル普及の格差が残る。
- 政府によるデジタルインフラ拡張、デジタルリテラシー向上、労働者の技能向上が必要。例：チュニジアの2018年「スタートアップ法」は行政手続きを簡素化し、デジタル分野での起業やイノベーションを奨励。

### 改革プロセスの進め方（ガバナンスとコミュニケーション）
- 改革成功の鍵：
  - 政府の全面的オーナーシップ（国内の賛同なき外圧での変革は機能しない）。
  - 透明性の高い双方向コミュニケーションで国民の支持を得ること。
- 改革は直線的に進まないため、順序立てて実施し、広範な人々に利益をもたらす対策から成果を出して猜疑心を解消することが重要。
- 計画は野心的かつ柔軟であり、状況変化に対応可能でなければならない。

### 地域パートナーシップと外部連携
- 断片化が進む世界情勢に対抗するため、MENAでは域内貿易と域内投資を強化する必要がある。貿易取引や投資の地域内結びつきが重要性を増している。
- GCCの42周年を迎えるメンバー国（バハレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦）は域内投資支援措置を実施してきたが、域内貿易は依然低迷している。
- 多国間機関はルール改善、グローバルな公共財に関する協力、公正な競争、脆弱な人々への保護を強化する役割を果たすべきである。
- 実績：ヨルダン（2019年にIMF支援を求め、強力なオーナーシップを維持してプログラムを実施）。モロッコの過去10年間の改革成功はIMFの信用供与に支えられてきた。

### 主要統計・数値（原文表記を保持）
- 6億（地域の人口）
- 全長6,400km超（地域の地理的広がり）
- 4つのタイムゾーン
- 20を超える国々
- 2010～2011年（アラブの春の時期）
- チュニジア：歳出の8割（該当支出が占める割合）
- 発展途上国では民間セクターが雇用の9割超を生み出す
- 今後10年間で1億人以上（現行成長モデルのままでは吸収不可能な労働人口）
- モーリタニア：干ばつで成長が最大で1%ポイント落ち込む恐れ
- 世界銀行試算：デジタル化で1人当たりのGDPが4割以上増加
- モロッコ：2016年に燃料補助金を廃止
- エジプト：2019年に自動的な燃料価格指数連動方式を導入
- チュニジア：2018年の「スタートアップ法」
- GCCは42周年

### 政策勧告（要点）
- マクロ経済の安定を確保しつつ、構造改革を並行して推進する。
- 債務返済を進めながら、歳入配分を動的に見直し、非効率な減免措置を廃止し税の公平性を高める。
- 一般補助金を段階的に廃止・縮小し、対象を絞った現金給付やデジタル給付に切り替える。
- 中央銀行は物価安定と金融システム安定に注力し、国際的な政策動向に応じて行動する。
- 民間セクター主導の成長を促すために、法的障害や差別的慣行を撤廃し、教育と技能訓練を強化する。
- 腐敗防止、透明性、説明責任の強化によりガバナンスを高める。
- 水関連インフラや再生可能エネルギーなど気候変動適応・緩和への投資を優先する。
- デジタルインフラ拡張、デジタルリテラシー向上、SMEのデジタル化コスト削減を進める。
- 順序立てた、国民の支持を得るコミュニケーションを通じてオーナーシップのある改革を設計・実行する。
- 域内貿易・投資を強化し、多国間機関との協調でグローバル公共財と公平な競争を支える。

*出典: ジハド・アズール、タリーン・コランチェリアン「アラブ経済の徹底的な見直しを」、ファイナンス＆ディベロップメント（2023年9月）*

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_Source: https://www.imf.org/ja/publications/fandd/issues/2023/09/overhauling-the-arab-worlds-economies-azour_
