## AIのマクロ経済学

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## Bibliographic details
- Authors: Erik Brynjolfsson, GABRIEL UNGER
- Published: December 14, 2023

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### 概要と政策の要旨
- 著者: エリック・ブリニョルフソン, ガブリエル・アンガー
- 公表: 2023年12月（ファイナンス＆ディベロップメント - セレクト記事）
- 中心論点: 生産性の伸び、労働市場（所得格差）、産業集中の3分野におけるAIのマクロ経済的影響と、それぞれの「分かれ道」に対する政策的選択の重要性。
- 初期の政策的提言（原文の表現を保持）:
  - 創造的な政策を実験する
  - 避けるべきネガティブな結末ではなく、社会がAIに求めるポジティブな目標を設定する
  - AIの技術的可能性は不確実性が高く、急速に進化しており、社会がそれに合わせて柔軟に発展していかなければならないことを理解する

### 第一の分かれ道：生産性の伸び
- 現状認識:
  - 米国経済の生産性の伸びは、1990年代後半と2000年代初頭に一時的に復活した以外は、過去50年のほとんどの間、憂慮すべきほどの低さが続いている（Brynjolfsson、 Syverson、Chad 2019）。
  - 生産性（単位投入量当たりの生産高）は国家の富と生活水準を決定する主要因であり、生産性向上は財政赤字、貧困削減、医療、環境への対処を容易にする。

- 生産性の低い未来（シナリオ）
  - AI導入が大企業に限られ、企業全体での導入が遅々として進まない（Zolas and others 2021）。
  - AIの経済的効果が狭い省力化にとどまり、労働者は低生産性の仕事へ再配分される可能性。
  - 技術的・法制度上の課題がAIの普及を阻害する可能性（知的財産法の不透明さ、規制の厳格化、あるいは一部組織による全面的禁止）。
  - 「ロバート・ソローのパラドックス」が一層顕著になる懸念（見た目の進歩に対して生産性統計が追いつかない）。

- 生産性の高い未来（シナリオ）
  - 多くの労働者の作業にAIが適用され、生産性が大幅に向上する（Eloundou and others 2023）。
  - AIは労働者を補完し、非定型的で創造的な作業に人が集中できるようになる。
  - AIが暗黙知を具現化し、研究・科学・イノベーションを加速、持続的に高い成長率を維持する可能性。
  - AIによる帰納的自己改良の類（科学的発見とAIの相互強化）により、従来想像できなかったイノベーションが実現される可能性。

### 第二の分かれ道：所得格差
- 背景:
  - 過去40年間で個々の労働者間の所得格差が拡大してきた。コンピューター等による中間所得層の定型的仕事の自動化が一因である（Autor、Levy、Murnane 2003）。

- 格差が拡大する未来（シナリオ）
  - AIが多様な人的労働を直接代替し、高賃金の職が機械に置換されることで賃金低下が進む。
  - 生成AIが言葉・画像・音声などで創造的成果を大量生産し、産業全体が根底から覆される可能性。
  - 大多数の労働者が低賃金のサービス業（接客業、ベビーシッター、ドアマンなど）に追いやられ、労働市場が高技能エリートと大規模な低所得者層の二極化を深める。

- 格差が縮小する未来（シナリオ）
  - AIが経験の浅い労働者や知識の乏しい労働者を補助し、仕事のやり方を改善させることで生産性の伸びをもたらす。
  - 具体例: ソフトウェアコーダーを支援するCopilotのようなモデルにより、経験の浅いコーダーのアウトプットが上がる。
  - 研究事例: コールセンター5,000人を対象とした調査で、AIアシスタントのサポートを受けた従業員のうちスキルが低い労働者や新人労働者が最も高い生産性の伸びを示した（Brynjolfsson、Li、Raymond 2023）。
  - AIは退屈な繰り返し作業を代替し、人間は創造的で満足度の高い作業に集中できる。これにより離職率が低下し、顧客満足度が向上する事例もある。

### 第3の分かれ道：産業集中
- 背景:
  - 1980年代初頭以来、多くの先進国で産業集中（セクターにおける最大手企業の市場占有率の合計）が劇的に上昇している。

- 産業集中度の高い未来（シナリオ）
  - 最大手企業のみがAIを大規模に開発・導入し、生産性・収益性・規模で優位を確立する。
  - AIモデルの学習と運用には巨額の費用がかかるため、初期投資を負担できるのは大手企業に限られる可能性。
  - 具体的数値（原文のまま）:
    - GPT-4モデルの初期開発時の学習には1億ドル以上の費用がかかったとされる。
    - 運用には1日当たり約70万ドルの費用がかかったとされる。
    - 「大規模なAIモデルの一般的な開発コストは、近いうちに数十億ドル規模になるかもしれない」との指摘。
  - 学習コストの増加とパフォーマンス向上の関係（スケーリング則）が続く限り、巨額の予算と大規模データセットを持つ企業が有利。

- 産業集中の低い未来（シナリオ）
  - オープンソースのAIモデル（例としてメタのLLaMA、バークレーAI研究所のKoalaが挙げられる）が広く利用可能となり、営利企業・非営利団体・学術関係者・個人開発者の協力で活気あるオープンソースAIエコシステムが構築される。
  - オープンソースモデルはプロプライエタリ・モデルより「演算が速く、カスタマイズがもっと柔軟にできて、もっと内輪で、パウンド・フォー・パウンドで比べてもずっと有能だ」という見解（グーグル内部メモの研究者の引用）。
  - オープンソースAIや分散化されたイノベーションにより中小企業が技術格差を縮め、一部は市場シェアを回復または拡大する可能性。

### 政策課題と優先事項
- 共通課題:
  - 各分かれ道において「惰性的な道」が最悪の未来（低迷、生産性停滞、格差拡大、産業集中度上昇）を招く。
  - 良い未来を実現するには、スマートな政策介入と積極的な研究投資が必要。

- 政策的問い（原文で提示された主要な論点）
  - 人間労働を模倣して代替するAIではなく、人間労働を補完するAIを公共政策でどのように奨励するか。
  - 最大手企業だけでなくあらゆる規模の企業がアクセスできるAIの開発を促す選択とは何か。
  - どのようなオープンソースのエコシステムが必要で、政策当局者はそれをどう支援すべきか。
  - AIラボはモデル開発にどのようにアプローチし、企業はAI導入にどう取り組むべきか。
  - 社会は抜本的なイノベーションを生むAIをどのように入手可能にするか。

- アクターと影響力
  - 大手企業、大学（AI・コンピューターサイエンス研究所）、連邦・地方の議員・規制当局、有権者、労働組合など、多様なプレーヤーがAIの未来を左右する力を持つ。
  - 労働組合はAIとの関係構築や要求内容を定める必要がある。

- 研究投資の必要性
  - AIの経済的・社会的影響が「数兆ドル」という単位で計測される可能性が高い今日、AIの経済学に関する研究にはこれまでにない大きな投資が必要。
  - 技術のブレークスルーに見合う規模で、経済や政策の理解におけるイノベーションが求められる。

*出典: ファイナンス＆ディベロップメント記事「AIのマクロ経済学」エリック・ブリニョルフソン、ガブリエル・アンガー、2023年12月*

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_Source: https://www.imf.org/ja/publications/fandd/issues/2023/12/macroeconomics-of-artificial-intelligence-brynjolfsson-unger_
